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バタンキューの「キュー」ってなに?

 バタンキューは、仕事や学校から家に帰ってきて、そのまま布団やソファーに倒れ込むことを指す。バタンは、自分の体が倒れ込む時の音を表しているのだろう。バタンは、扉が閉まる時にも使用されるオノマトペだ。体が床に倒れ込むときにも「バタン」という言葉を使うが、実際にそのように聞こえるかといえば、少し違和感がある。バタンよりも、「どさっ」「どん」のほうが実際の音に近いと思う。
 キューは、バタンよりも曖昧な表現だ。これは実際の音を表しているのではない。「きゅ〜」と音を立てながら寝る人をこれまでに見たことがない。音ではないので、眠る人の様子を表したオノマトペだろう。「すやすや」に近い表現だといえるが、「キュー」のほうが大きいものが小さくなっていく印象がある。
 これはあくまでも僕の「バタンキュー」の理解であって、一般的にそのように理解されているかはわからない。人によってバタンキューのイメージは異なるだろう。日本語を学習している海外の人からすれば、バタンキューは上級日本語に分類されるだろう。

 そもそも、オノマトペというのはわかるようでわからない。「わんわん」は犬の鳴き声だが、「わんわん」と鳴いている犬は見たことがない。大きいサイズの犬ほど、声も低くなり「バフバフ」に僕には聞こえる。「目がゴロゴロしますか?」と眼科医に聞かれても、どういう感じがゴロゴロなのかがわからない。胃がいつもと違うのはわかっても、「胃がキリキリする」といえるのかはわからない。みんなは、「胃がキリキリする」をどのように知ったのだろう。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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