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セーターの季節

セーターの季節がやってきた。

数年前、親しくなりそうな雰囲気になった人に聞いたことがある。好きな洋服のファブリック(素材)は何? と。

その時は何気ない質問だったが、今となって僕にはその質問はとても大切なものだと気が付いた。

僕はファッションに目覚めた頃からとにかく天然の素材の物に惹かれてきた。

革、コットン、麻、ウール。

実際今こうして文章を書いている間に着ているものもウール100%のタートルネックのセーターとコットン100%のジーパンである。最近肥えて来たのでウエストがちょっとタイト。

天然素材なんて高いだろうというご意見を頂戴しそうだが、今僕が着ているのは日本国民の味方ユニクロの物だ。どちらも数年着ていて合わせても一万円は絶対に超えない額の代物だ。

SDGsとかサステナブルとか、持続可能な社会的なことが耳にわりと馴染んできて。では実際自分の周りを見渡すとどうなのだろうと思うと、ストレッチ素材入りのジーパンは一本残らず手元を離れたし、化学繊維のパンツは擦り切れて捨ててしまったし、アクリルメインのセーターはかゆくなっていつからか買うことすらなくなったし。

今年新しくクローゼットに加わった服は数着だし、ここ数日着ているウールのコートは軽く五年選手くらいだったり。見渡してもコットン素材のパンツばかりが吊るしてある。

だからなんだ、意識高いアピールかとか言われそうだがそうではない。そうとられても仕方がないが、僕にとってはそうではない。

天然素材の物に触れ、着て過ごしていると季節の移り変わりを感じる。夏の麻の風を通す清涼感、秋が来て薄いウールのセーターに温もりを感じ、冬はレザーが風をさえぎる。春が近づくとまたコットンのアウターなんかが目を覚ます。

天然素材のよさは他にもある。ジーパンにしても革のアイテムにしろ自分の形に合ってくる。体型に合ってくる。年月を経るごとによさが増してくる。

現実的にプラスチックやそれに類似する物を一切使わずに生活することは不可能だと思うし、それらは必要だと思う。実際部屋着に関しては運動のしやすさも含めてポリエステル100%の物をユニクロで買おうかとちょうど考えていたところだった。

だが天然素材の物を愛し、天然素材の物に愛されている身としてはダボッとしたいわゆる履きやすい合繊のパンツやクッションばかり効いているスニーカーばかりではなんだか生きることが楽しくなくなってしまうように思うのだ。

僕の持っているセーターやコートにももちろん通気性をよくするためや裏地にポリエステルが使われている。それらを悪としたいわけではない。

ただ温もりのようなもの、それを忘れて生きていくには人生はあまりに長すぎる気がするのだ。

志紀

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