心の懐剣:オペラ《蝶々夫人》から学ぶ生き方〜ピアノを通して心を磨くこと〜

日本は長崎を舞台にしたイタリアオペラ《蝶々夫人》のラストシーン。
主人公の蝶々さんは自らの懐に忍ばせていた懐剣で自害をします。

このシーンは、数あるオペラの中でも有名で、プッチーニが書いた音楽の効果も多大にはたらき、観客に強烈な印象を残すものになっています。

懐剣は、武家社会において女性が護身用として持っていた短剣で、男性にとっても重要な護身武器でした。
また、精神的なお守りとしての意味も持ち、新しい人生のスタートに際して幸福や安全を願うシンボル、悪い霊から身を守るアイテムとしても用いられました。
現代の結婚式では、花嫁が懐剣を持つことで、新しい家庭が平和で幸せに満ちるよう願いが込められています。

ところで、僕はある時から、心の中に刀を忍ばせるという意識を持つようになりました。
最初のうちは、誰かから心ない言葉を浴びせられた時に、返す刀(言葉)としての護身用のものでした。
実際に反撃に使ったこともあったと思います。

「そういうお前は何者なんだ? 誰の何の役に立って、どれだけの人を笑顔に出来るんだ!」

痛いですか? 痛かったと思います。
でもある時からわかりました。相手を痛がらせたら、必ず自分も痛い思いをする。

蝶々夫人は、家系の歴史を象徴する懐剣で自らの命を絶ちましたが、懐剣は自分を堂々とさせ、凛と立たせ、安心して笑顔でいられるものと現代に生きている僕は思っています。

だからこそ、この懐剣を磨き、育て上げていく必要があるのです。
それは心そのものです。

僕の心の成長は、ピアノというツールを通して得られました。多くの方々からのご縁が紡がれ、今の私があります。

今日は月曜クラスの生徒さんたちの新年度初のレッスン日です。
担当教師さんと生徒さん方への感謝の心を込めて、レッスン室を掃除しました。
床を磨き、ピアノをピカピカにしながら、感謝の気持ちを新たにしました。
心より。




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