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『生きづらい君に叫ぶ1分半』を書き終えて。

こんにちはこんばんは、小谷です。
お久しぶりの『書き終えて。』タイトルです。
現在の私は新しい職場に慣れたようで慣れてない、新しい街に慣れたようで慣れてない、そんな毎日を過ごしながら原稿と戦っています。原稿はなぜか倒しても倒しても生き返るんです。不思議ですねー…

さて、前回の投稿でもちらっと予告した通り、今回は『生きづらい君に叫ぶ1分半』の刊行記念にいろいろ語りたいと思います。
まぁでも、まだ刊行前なのでね!内容についてはあまり深く書きません。ただ今はまだWEBから無料で読めるので、ネタバレも何もないんですが(2024/5/2現在)。

本作は小説投稿サイト『アルファポリス』さんにて2022年に連載をはじめました。それは第13回ドリーム小説大賞へ参加するためでしたが、見事(?)奨励賞に入選いたしました。それからご縁をいただき、書籍化の運びへ。
思えば、この2年間かなり濃厚な時間を過ごしていましたね。書籍化作業は大変ですが、楽しいお仕事です。これからも続けていきたいですね!

それでは一旦、本作のあらすじと情報をおさらい。

あらすじ
――僕の命が消えたら、初めて尊い存在になるのだろうか?
自信がなく宙ぶらりんに生きる高二女子、 中崎晴は音楽と過激な詞で視聴者を虜にする大人気クリエイター『earth』オタクで、密かにアフレコ動画を投稿している。ある日、とある理由から『earth』の正体がクラスメイトの星川凪だと知ると同時に、晴は詞に声を吹き込む覆面声優に抜擢されてしまう。凪と出会い、晴が声を届ける喜びに目覚めていく中、突然『earth』は解散危機に追い込まれてしまい……?
生きづらさを抱えるあなたに贈る、温かい涙が止まらない感動作。

書籍情報
タイトル:生きづらい君に叫ぶ1分半
イラスト:萩森じあ様
ISBN:9784434338991
出荷日:2024年5月中旬頃

アルファポリスより
書影(イラスト:萩森じあ様)
ご購入の際は、この画像を書店員さんに見せてください。

本作は実は、遡ることおよそ3年前……それは『おいしいふたり暮らし(アルファポリス文庫)』を書き終えた後、次は何を書こうかと悩んで、コンテストに出すものや企画として出すものをあれこれ考えていたときにできたものの1つでした。なので、実は小谷杏子3作目の『大正偽恋物語(スターツ出版文庫)』と同時期に書いたものです。4作目だったはずが、いつの間にか6作目になってしまいました。さて、3年前と言えばコロナ禍2年目の頃ですね。まだマスクも自由じゃなく、やっとワクチン接種ができるようになった時代でしたかね。そんな時だからというわけではないのですが、ふと学生さんたちの生活が気がかりで、この最悪な時代に青春真っ盛りな子たちはどうやって乗り越えているんだろうと思っていました。私はこれでも青春系物書きの端くれなので気になったものです。こんな真っ暗な世界じゃ夢なんて持てないよ!と思いましたが、私も学生時代は「夢?くだらねーな!私は着実に目標を作ってそれに成るだけだ!」と思っていたので、壮大な夢を抱いていたわけではありませんでした。それに夢って素敵でキラキラしてますが、その裏側はなかなかドロドロというか……私もたまにドロドロへ落ちることがありますし。

そんな感じで自分が思う青春を考えて考えて考えてつくったものが本作ではあるのですが、さぁ、ここで、いただいた質問に答えましょう!

質問1:クリエイティブな人たちを題材にしようと思ったきっかけはなんですか?

えっと、簡単に言うと『生きづらい君に叫ぶ1分半』というお話は、動画クリエーターと覆面声優が動画投稿を通じて夢を追い求めたりぶつかったり挫折したりする青春小説です。
私自身もう10年近くクリエイティブな仕事に就いており、なんだったら小説もクリエイティブ職なわけですから常に〝ものづくり〟の現場にい続けているので書きやすいんですね。
あと古い漫画ですが『バクマン。』が好きで、それを読んでクリエイティブな現場やサクセスストーリーを書きたいと常々思っていました。
また前述した通り、世はコロナ禍で動画が流行った時期でもありましたから、いまどきなら動画クリエーターだろうなという、そんな結びつきから生み出しました。

さて、クリエイティブな人を題材にしようと思ったきっかけはまだあります。
それはデビュー作『八月、ぼくらの後悔にさよならを(スターツ出版文庫)』でカバーイラストを手掛けてくださった、ふすい様のイラストを拝見したこと。自分の作品がイラストになるというあの瞬間は今でも鮮明に思い出せますが、かなり興奮しました。それからも素敵なイラストレーター様にカバーイラストを手掛けてくださり、イラストの力に引き込まれたのです。
私はもともとイラストレーターにもなりたかったんですよね……書籍の装画をデザインしたり、イラストを描く仕事がしたかったんです。でもそれは高校生の時に打ち砕かれました。デザイン系の学科に入ったものの、上には上がいる。そんな状況ですぐに諦めました。
その程度だったわけですから、きっと思いは本気じゃなかったんでしょう。でも、どこかくすぶったものもあったからか、イラストを描く人を書きたかったんです。

また、一方で声優の方ですが……これはお恥ずかしいことに、小学生の時になりたかったものの一つでした。これは壮大な夢ですね。小学生当時、放送委員に入っており、朗読もうまいとよく褒められていたこともあって母から「声優になったら?」と言われたのがきっかけで密かに憧れていたんです。でもどうやってなったらいいか分からなかったのであまり熱心に調べようとも思いませんでした。夢なんて、そんなものです笑(晴のセリフに似たような言葉があるので、ぜひ探してみてください)
今の時代は声優という職業もポピュラーですし、大人気職ですし、主人公の憧れの一つとしてはちょうど良かったように思います。

質問2:動画の投稿とか声の投稿とか、リアルに投稿者の動きが描かれていたと思います。なにを見て学ばれたのでしょうか?

この作品を書くために、Tik ○okのアプリを入れました!笑
それまで実は動画が苦手で……今もまだYou ○ubeは苦手ですが、なんだろ、その……画面にずっと拘束されるのが苦手で、またストーリー性のない動画が苦手というのもありますかね……そんな感じで尺が長い動画は今も苦手です。
でもTik ○okくらいなら気軽に見られてとても便利です。あとは若者の生態やトレンド、アイデアお料理動画もサクサク見られるので今もアンテナ張りに使わせてもらってます。

あとは自分でも動画を作りました。なんとか動画クリエーターのリアルさを体感しようと頑張りましたね……。
えっと、使った動画ソフトは『Wondershare Filmora』の無料版だそうです。
写真と動画を撮ってソフトに入れて加工して、文字が出てくるタイミングを調整して……文字は自作小説の一節などを引っ張りまして、まさに『earth』と同じような世界観の1分半動画を作りました。2日?以上かかったのかな……かなり時間がかかったのでもうやりたくないですが。確か本作を書き始める前に試しに作ってみたんです。もうやりたくないです(笑)

あとは声優の演技プランのシーンでしょうかね、リアルに感じ取っていただけたなら幸いです。
声優の演技プランなどは想像が7割、アニメ漫画知識が2割、声優やアーティストのドキュメンタリーを見たのが1割くらい。親しくしていただいている『ある自』さんの朗読スペースも参考にさせていただきました。
ちなみに私は商業出版の書籍は初稿、再校でどっちも音読して誤脱衍字を見ていますが、本作はコンテストなどに出す際から音読チェックをしており、若干熱が入って朗読っぽくなっていました。それもあってリアルさが出たのかもしれません。

さて、長くなってきましたね。
ご質問をいただけて本当に良かったです……もう少しほしかったところですが、こんなに長くなるなら3つでちょうど良かったかもしれません!本当にありがとうございました。

それでは最後の質問。

質問3:作品の見所やどういった点に注目してほしいか、等がありましたら教えてほしいです!

ありがとうございます。これがないと締まりませんよね!
まずは作中に出てくる『earth』という動画クリエーターについてですね。イラスト担当の凪、動画編集の芯太が二人で作る動画の世界は『幻想と狂気』がテーマです。喜怒哀楽をイラストと詞(ことば)で表現します。
詞というのは歌詞ではなく、どちらかと言えば詩に近いです。視聴者の心に訴えることばという意味で詞。
そんな詞にも注目です!内容は正直とても痛いですが、青春を生きる彼らの全力の叫びでもありますので、どうか見届けてください。
そんな詞に声を吹き込むのが、主人公の晴です。晴の声を本から直接聞くことはできませんが、想像の声に心を傾けて読んでもらえると嬉しいです。

私は創作するのにそれまでかなり自己投影が多かったです。しかし最近は自己投影するところとしないところで調整できるようになりました。自己投影型ってなんか命削って創作している感じがあり、なかなかきついです。しんどい。
作中のイラストレーター、凪も自己投影型ですね。めちゃくちゃキツそうです……私の分身というんでしょうかね。凪ほど創作にのめり込めているかは分かりませんが。そういう部分も含めて読んで感じてほしいです。

夢がある人、ない人、諦めた人、今追いかけている人、すべての人に当てはまるような物語だと思います。かつてがむしゃらな少年少女だった大人にももちろん読んでいただきたいです。
みんな割と血反吐はきながら生きてるよねって、そんな風に思えるかもしれません。
キラキラが強い分、ドロドロもかなりあります。痛くて切なくて、キラキラでドロドロで、一直線に全力投球。青臭さと泥臭さもいろんな感情もたくさん詰まっています。
なかなか限定的な内容だから、共感性はあまりないかもしれません。それでも大丈夫です。私自身、泥臭くて痛いなあと思っているので。

気になった方は刊行されましたら、ぜひ、萩森じあ様のイラストを目印に探していただけますと幸いです。

それでは最後に、本作にはあとがきがなかったのでこの場をお借りして感謝の言葉を。
作品に携わっていただいた編集部や担当様などすべての方々、応援してくれる友人たち、タイトルを考えてくれた松藤かるり様、質問を投げてくださった葛城騰成様、イラストを手掛けてくださった萩森じあ様、本作を買っていただけるだろう読者様、ありがとうございました。
この物語が皆様の心の片隅に置いてもらえますように。

2024年5月 小谷杏子

公式サイト、レンタルなどは以下のリンクから▼

ちなみに、今回質問していただいた葛城騰成さんも同月同レーベル刊行です。
瞬間、青く燃ゆ』というタイトル、とてもかっこいいです。刊行が楽しみです!ぜひ、チェックしてくださいね!

追記:発売日を迎えましたので、公式サイトのリンクを紐付けしました。よろしくお願いします!

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