1113 橋頭堡的なビジネスの進め方
一昨日、『鋭く刺さるユーザー層からエントリーし、橋頭堡を築く』という記事を書きまして、強烈に刺さるユーザー層にしっかりしたサービス体験を届けた後、そこを足がかりに次々と別のセグメントに広げていくのって良いですよね、という話を書きました。
今日はその良い事例を見つけたので紹介します。
先日、プレシリーズAで1.5億円の資金調達をしたカスタマイズサプリメントの「FUJIMI」です。
「20問ほどの肌診断からユーザにあったサプリメントをカスタマイズ処方、サブスクで定期配送するサービス」ですが、これの何が橋頭堡的かというと、サプリメントを買う人たちには、いろいろなセグメントがいると思いますが、20代~30代(おそらく)の女性の美容に特化して体験を提供しているところです。
サイトに入ると「肌診断」からスタート。
23個の診断に答えていくと、、
オススメのサプリメントの種類が提案されます。
サイトのデザインからUXまですべて、女性の美容かつ、バラ売りではなくカスタマイズされた複数種類処方に特化しています。
ところがサプリメント市場全体を見ると8000億円(足元7889億円)ぐらいあって、
引用:https://www.zaikei.co.jp/article/20190326/502267.html
健康食品・サプリメントの合算での用途としては、「美肌・肌ケア」目的は2番目の規模ではあるものの
引用:https://www.intage.co.jp/gallery/healthcarefoods2/
引用:https://www.intage.co.jp/gallery/healthcarefoods1/
年代構成比で見ると20-30代の割合は16%と小さい。この中で女性かつ、「美肌・肌ケア」の領域だと市場全体の中では5%ぐらいなのではないでしょうか?
つまり、健康食品・サプリメント市場としては、
・20代~70代の男女まで幅広い層がいる
・健康維持/増進、疲労回復、栄養の補給・栄養バランスなど、様々な用途がある
なかで、「FUJIMI」は
・20~30代の女性
・美肌・肌ケア
・かつ、カスタマイズでの複数種類をパッケージ処方
に絞って、ビジネスを展開しているわけです。
・ユーザー層と創業メンバーの属性が近く、ユーザーの気持ちを理解できる
・20~30代の女性にデジタルマーケでリーチしやすい
・複数種類をパッケージ処方にした方がサブスクにしやすく、経営が安定する
などがあると思いますが、サプリメントのような巨大な市場に参入する際、まずは一部のセグメントに絞り切って、サービス体験を提供しているのが橋頭堡的だなと感じました。
逆に、サプリメント市場に対して、
・想定ユーザー層を絞らず
・総花的なサプリメントのECサイトを作って
・大々的に広告を打つ
のは、あまり橋頭堡的ではありません。
ユーザー層を絞らず、マスに対してメッセージを伝えると、広告のクリエイティブも複数作る必要がありますし、サービス体験も複数作らなければいけません(品数を増やしたり、複数サプリのパッケージにせず、バラ売りにしたり、販売チャネルにネットだけでなく訪問販売を加えたり)。
そう考えると戦略上、特に急ぐ必要がなければ、「FUJIMI」のように市場への初期参入時は、狙うセグメントを絞って、そのセグメントが満足してくれる状態を作った後に、プロダクトや体制をアップデートし、次のセグメントへと拡げていく方がいろいろとやりやすいかもしれません。
そして、こういう「絞る」判断は、市場や顧客への理解が深くないとできません。
・被験者を集めたユーザーインタビュー
・サプリメントを店頭で買ってる人にインタビュー
・サプリメント購入者、非購入者に対する定量調査
・プロトタイプ的なプロダクトを提供してみて、反応を見る
などで、顧客への解像度が高まってはじめて、セグメントAに行こう!と判断できるわけです。
橋頭堡的進め方のわかりやすい例だなと思ったので例としてあげてみました。
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