1014 プレゼンが面白くなる、たった一つのコツ
経営者やコンサルタントという職業柄、プレゼンをしたり、聞いたりすることが多い。特にここ数ヶ月は、プレゼン、セミナー、研修などについて集中的に考える中で、面白いプレゼン(=役に立つのは前提で、聞いていて面白い/惹きつけられる)をするメソッドを考えていた。
その中で、見えてきたのが、結論、面白い話しかしなければ良いのでは、ということ。どういうことか解説しよう。
アメリカの某著名コメディアンの話
どの本で読んだか忘れてしまったのだが、アメリカの某著名コメディアンがTV番組で「なんでそんなに面白いコントができるのですか?」と聞かれて、「他の場所(TV番組以外)でたくさん失敗してるからね」と答えたらしい。
つまり、彼は、地方巡業で様々なネタを試し、時には爆笑を取り、時には滑り、10~20回の地方巡業というテストマーケを経て、本番にあたるTV番組では、面白いネタ“だけ”を披露している。つまりこんな感じ。
過去に100のネタを試し、95個のネタでスベっても、ウケた5個のネタだけをその日に披露すれば、その人は100%面白い人になれる。
某セミナー系の師匠の話
当社のパートナーで、セミナーや研修のプレゼンがすごく上手な人がいるのだけど、その人が師匠から伝授されているアドバイスもこれと近い。その師匠は「話せることだけを話せ。話せないことを、その場で話そうとするな。」とアドバイスするらしい。
つまり練習の場や、他のプレゼンで話した実績のあることだけを話し、当日、うまく話せるかどうかわからない新しい話をするな、ということらしい。
たしかに、プレゼンの本番になって急に不安になり、網羅的に、説明的に追加の説明してしまい、プレゼンに失敗した経験は過去に何度かある。
某業界のドンのセミナーの話
さらに先日、当社が属する業界に近しい領域で、その道の第一人者のプレゼンを聞く機会があった。その方のプレゼンは5、6年前にも一度聞いたことがあったのだけど、驚いたのは、その方が5、6年前とほとんど変わらない話をしていたこと。
前に聞いたことのある話なんだけど、相変わらず面白く、聴衆としての満足度は高い。長年のプレゼンで研磨された至極のネタたちなので、当然のように面白い。
聴衆は新しい話を聞きたいのではなく、面白い話を聞きたいのだなと感じた。
ピーター・ドラッカーの話
上記のプレゼンを聞いた後に思い出したのが、経営学者ピーター・ドラッカーの執筆法。
彼は口述筆記で文章を一通り書き上げる
↓
はじめから読み直して、章の並び替えや内容の差し替えを行うために、再度、口述筆記
↓
これを3回繰り返して、本を書き上げるらしい。
つまり、一冊の本になる前に2回のテストマーケを経ている。
さらに、95歳まで生きたドラッカーは、30歳ぐらいから執筆活動をはじめ、60年間も書籍を執筆し続けている。その中で特に面白いものが、マスターピースとして残り、海を渡って世界の経営者に読まれている。『経営者の条件』『現代の経営』『プロフェッショナルの条件』など。
もちろん、ドラッカーの洞察力・言語化能力があってこそだが、知的生産のプロセス、優れたアウトプットが生まれるプロセスとしては、上記のような「複数回のアウトプット → 優れたアウトプットだけを残す」構造がある。
つまり、プレゼンを面白くしようと思ったら、何回もテストマーケを繰り返し、面白い話“だけ”を残し、当日はそれだけ話せば良いのでは、という気づき。
北島三郎は代表曲「まつり」を1984年・1993年・1999年・2006年・2009年・2013年の紅白歌合戦で歌っている。何度も聞いてるけど、毎回満足度は高い。優れた面白い話は、何度聞いても面白いのである。
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