シネマグ/映画のラストネタバレ考察(伊良波航太)

シネマグ(伊良波航太)。フリーライター。映画の考察&解説、ドラマの最終回感想レビュー、…

シネマグ/映画のラストネタバレ考察(伊良波航太)

シネマグ(伊良波航太)。フリーライター。映画の考察&解説、ドラマの最終回感想レビュー、シナリオ執筆、哲学、写真、小説を書いたり、映画ブログは月間最高120万PV→https://cinemag-eiga.com

マガジン

最近の記事

『室井慎次 敗れざる者』ネタバレ感想,重厚な人間ドラマ,犯人と黒幕の正体を考察

あらすじ室井慎次(柳葉敏郎)は「現場が動きやすいように組織を改革する」という青島俊作(織田裕二)との約束を果たせなかったことに失望し、定年前に退職した。 秋田に帰った室井は2人の里子をとる。母が暴行されて殺された森貴仁(齋藤潤)と、父が強盗で服役中の小学生・柳町凜久(リク/前山くうが&前山こうが)だ。里子を迎えてから1年。湖の向こう岸に埋まった死体が見つかる。死体の身元はレインボーブリッジを封鎖できなかった事件の犯人・瀬川だった。なぜ室井の家の近所に死体が埋められたのか?犯人

    • 『ジョーカー2』ひどい?つまらない理由,ラスト考察と海外での酷評,フォリ・ア・ドゥ感想

      『ジョーカー2 フォリ・ア・ドゥ』を鑑賞。テーマやコンセプトは素晴らしいが予想の斜め上を行く内容で、海外では賛否両論どころか否定派が圧倒的に多い状況だ…。その理由を解説していく。 『ジョーカー2』あらすじ『Joker』(2019)で地下鉄での殺人、司会者・マレーを殺し、暴動を扇動したとされるアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)はアーカム・アサイラム(アーカム精神病棟)に収監されていた。アーサーは隣の病棟でみんなと歌っている患者ハーレイ・リー・クインゼル(レディー・ガ

      • 『プラットフォーム2』ネタバレ感想,衝撃ラストの意味を考察!子供や老人トリマガシも登場

        『プラットフォーム2』あらすじ&感想2のあらすじ (前作『プラットフォーム1』のストーリー復習はコチラ↓) 主人公の女性・プレンプアンと、太っていて短気な男・ザミアティンが新人として“穴”に入居して同じ部屋になる。2人は上から24層目にいた。 すぐ上の階にはロベスピエールという男がいた。彼はマスター(救世主)の教義を忠実に守るロイヤリストで、教えとしてプレンプアンたちに「テーブルに乗ってきた料理の中で自分が好物だと面接で申告したものだけを食べろ。そうすれば最下層まで食料

        • 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ネタバレ感想:戦場カメラマンの危険な視点,ラストシーンの意味

          『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ネタバレ感想あらすじ→キルスティン・ダンスト演じる戦場カメラマンのリーが、彼女に憧れる23歳のカメラマン・ジェシー(ケイリー・スピーニー)を連れて内戦中のアメリカを縦断する危険な旅をする物語。 アメリカの内戦を描く作品なので主人公は軍人か政治家?と思いきや、戦場カメラマンだという設定が渋い。銃撃戦は映画館のイスから飛び上がりそうなほどの迫力。 独立軍側にも政府軍側にもどちらにも属さず、人助けなど考えずに死体に向かってシャッタを切り続ける戦

        『室井慎次 敗れざる者』ネタバレ感想,重厚な人間ドラマ,犯人と黒幕の正体を考察

        マガジン

        • 映画の考察
          7本
          ¥200

        記事

          映画『あんのこと』ネタバレ感想:実話がもとの鬱ラスト考察,元ネタの新聞記事ハナ

          映画『あんのこと』を鑑賞。ドキュメンタリーと映画の中間のようで、シリアスに現実を伝えた傑作だと感じた。河合優実と佐藤二朗、稲垣吾郎の3名のキャストは本当に素晴らしく、3人の友情が尊くみえた。しかしそのぶん、後半の生々しい胸糞鬱展開が心に重くのしかかる…。 『あんのこと』ネタバレ感想主人公の杏(河合優実)が自分の感情をぜんぜん出さないのがリアルだと思った。幼い頃から母のDVを受け、自分の気持ちを出すことを忘れてしまっているのだろう。 そんな彼女が、刑事の多々羅(佐藤二朗)と出

          映画『あんのこと』ネタバレ感想:実話がもとの鬱ラスト考察,元ネタの新聞記事ハナ

          映画『不都合な記憶』ネタバレ感想:アンドロイドの記憶喪失を描く意味

          映画『不都合な記憶』を鑑賞。新木優子がアンドロイドの妻・マユミを演じ、伊藤英明が研究者の夫・ナオキに扮するサイコサスペンスロマンス。アンドロイドと人間の境界線を問うような素晴らしいテーマはあるが…。 ネタバレあり感想人間が完璧な人間を想像しようとする話しは、小説「フランケンシュタイン」からあり、手塚治虫の「火の鳥 未来編」では主人公がかつての自分の恋人を再現しようと何度もアンドロイドを作っては壊しをする。『不都合な記憶』もこの系譜の既視感バリバリ設定である。 ストーリーに既

          映画『不都合な記憶』ネタバレ感想:アンドロイドの記憶喪失を描く意味

          『京城クリーチャー』シーズン2を観る前に相関図で復習,ホジェの正体は?キャスト

          とうとう韓国ドラマ『京城クリーチャー』(キョンソンクリーチャー/Gyeongseong Creature)シーズン2が今日から配信開始!個人的に前シーズンよりも断然面白くなっている印象。 ただシーズン1の細かい部分を忘れていたので復習用に前シーズンのストーリーをまとめておきました。 前シーズンの相関図&最終回結末の解説→シーズン2のアンケート評判や新キャストの解説はコチラ← ユン・チェオク(ハン・ソヒ)は生体実験によって寄生虫で怪物にされた母親・惺沁(せいしん)を日本軍の

          『京城クリーチャー』シーズン2を観る前に相関図で復習,ホジェの正体は?キャスト

          ネタバレ考察『Cloud クラウド』ラスト結末,佐野が助けた理由,感想:雲のように抽象的

          ネタバレ感想実体のないネット上のサービスを冠した『Cloud クラウド』。実体がないという部分が商品を転がして利益を得るだけの転売屋とリンクしているのが興味深い。 現実の工場 現実とネット両方をまたぐ転売屋 ネットの不毛な論争のような最後の銃撃戦 上記のように、主人公・吉井(菅田将暉)がいるフェーズがどんどん抽象的になり、最後は雲の中に消えていくようだった。フェーズが上昇して雲になる。クラウドだけに雲を掴むような不思議なお話。 →本作のアンケート評判やキャスト紹介←

          ネタバレ考察『Cloud クラウド』ラスト結末,佐野が助けた理由,感想:雲のように抽象的

          映画『ミッシング』ネタバレ考察/なぜ犯人は…!母親の絶望とラストシーン感想

          ネタバレ感想:欠落を囲む物語誘拐されるところから始まるのではなく、すでに娘が失踪した状態から物語がスタート。この始まりからしてエグい。 タイトルのMissingには行方不明の他に“欠落”などの意味があるが、行方不明の少女・美羽と事件の真相はもはやブラックホール化しており、母と父、報道陣はその渦に巻き込まれていく。欠落を囲むことで、欠落している美羽の尊さがくっきりと浮かびがある…そんな映画。 母親は娘が誘拐された日にアイドルのライブに行っていて誹謗中傷を受け、徐々に心が壊れ

          映画『ミッシング』ネタバレ考察/なぜ犯人は…!母親の絶望とラストシーン感想

          映画『渇水』ネタバレ考察ラスト:男はなぜ水を浴びたのか?感想と解説

          映画『渇水』を鑑賞。水を止める権利のある人間はいるのか?鋭い社会問題を突きつけつつ、岩切(生田斗真)という男が育児放棄された姉妹と交流していく。 ネタバレあり感想水道料金を払わない伏見役の宮藤官九郎が「水なんてタダでいいじゃん!」と言い放つ。設備管理に莫大なお金が必要なのはわかるけど、確かに水ってだれのものなの?と本質を突かれたような気分にもなる。 電気を止められても死なないが、劇中の恵子と久美子のような姉妹は水を止められたら最悪死んでしまう危険もある。炎天下に水を使えなく

          映画『渇水』ネタバレ考察ラスト:男はなぜ水を浴びたのか?感想と解説

          ネタバレ考察『ラストマイル』ロッカー2.7m/s→0,70kgと顧客中心主義の罠&伏線の解説と感想

          ネタバレ考察1:伏線回収が緻密↓映画『ラストマイル』のラスト結末まであらすじネタバレ・真犯人や動機の解説はコチラの記事へ↓ 野木亜紀子さんの脚本がすごいと思った。 一幕は物流センターの爆弾探しのサスペンス 二幕は巨大企業が下請けの配送を虐げる構図を露呈。エレナ(満島ひかり)が犯人だとミスリードさせる 三幕・ラストは物流業界の問題点を浮き彫りにする社会派に ジャンルが変化していくのも見どころ。ディティールがこだわり抜かれているため、たくさんの登場人物それぞれに解決感が

          ネタバレ考察『ラストマイル』ロッカー2.7m/s→0,70kgと顧客中心主義の罠&伏線の解説と感想

          映画『湖の女たち』ネタバレ考察:真犯人の動機とラスト結末/男女関係の意味と感想

          映画『湖の女たち』。松本まりかと福士蒼汰が危険な関係を演じるかたわらで、湖近くの施設では殺人事件が発生。さらに戦時中の731部隊の残虐な行為にまで言及される…射程が広くて芸術的なザ・賛否両論作品。 ネタバレあり感想→あらすじラスト結末までネタバレ解説はコチラ← 佳代(松本まりか)が湖に車をとめて自○行為をしているところを刑事の濱中(福士蒼汰)が偶然見てしまう。 そして佳代が務める老人ホームで殺人事件があり、濱中は佳代に体の関係を強要し、なぜか佳代もそれを受け入れてしまう。

          映画『湖の女たち』ネタバレ考察:真犯人の動機とラスト結末/男女関係の意味と感想

          映画『あの人が消えた』ネタバレ考察,ラストの結末と名前の暗号・伏線!感想と解説

          あらすじ&感想あらすじ:配達員の丸子(まるこ|高橋文哉)は、人が消えると噂のマンションの205号室に自分が読んでいるネット小説の作者・小宮千尋(北香那)が住んでいると知って歓喜。先輩の荒川(田中圭)にそのことを話す。しかし、302号室の島崎が小宮をつけ狙っていると気づく。考えてみると、このマンションの住人はみんな怪しい人物ばかりだ。3ヶ月前にも女性が失踪した事件があるらしい…。丸子と荒川は小宮を救うことができるのか!? →ラスト結末までストーリー解説はコチラの記事へ← 感

          映画『あの人が消えた』ネタバレ考察,ラストの結末と名前の暗号・伏線!感想と解説

          Netflix『極悪女王』ネタバレ相関図,最終回ラスト流血マッチがエグすぎ!あらすじ感想

          企画・脚本を鈴木おさむが務め、ゆりやんレトリィバァ主演で女子プロレスラー・ダンプ松本の苛烈な半生を描く『極悪女王』(ごくあくじょおう)!唐田えりか&剛力彩芽がレスラーとして脇を固める! キャスト相関図&あらすじ極悪女王の異名を持つヒール・ダンプ松本の貧乏な幼少期、プロデビュー前の過酷な練習。そしてプロになってから悪役として成り上がっていく様を描く。 松本香(まつもとかおる/ゆりやんレトリィバァ)はプロレスラーのジャッキー佐藤の熱狂的なファンだった。パン屋に就職を決めるが、

          Netflix『極悪女王』ネタバレ相関図,最終回ラスト流血マッチがエグすぎ!あらすじ感想

          映画『あんのこと』ネタバレ考察:実話の重くのしかかるラスト解説,新聞記事の元ネタ:ハナ

          映画『あんのこと』を鑑賞。個人的に傑作だと感じた。河合優実と佐藤二朗、稲垣吾郎の3名のキャストは本当に素晴らしかった。しかし、そのぶん生々しい胸糞鬱展開が心に重くのしかかる…。 ネタバレあり感想主人公の杏(河合優実)が自分の感情をぜんぜん出さないのがリアルだと思った。幼少期から母のDVを受け、自分の気持ちを出すことを忘れてしまっているのだろう。 そんな彼女が、刑事の多々羅(佐藤二朗)と出会い、シャブ中から抜け出せと救いの手を差し伸べられる。多々羅が杏を救いたい気持ちは真実だ

          映画『あんのこと』ネタバレ考察:実話の重くのしかかるラスト解説,新聞記事の元ネタ:ハナ

          『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』シーズン2第5話ネタバレ感想,狂いゆく王様「岩の館」

          『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』シーズン2第5話「岩の館(Halls of Stone)」を鑑賞。今回は各国の王様が狂っていく話。あらすじや感想を書いてゆく! 力の指輪:シーズン2第5話あらすじ&感想今回のメインの舞台はカザド=ドゥーム、エレギオン、そしてヌーメノール。 アンナタール(サウロン)が作った指輪をドワーフの王・ドゥリン3世がはめてしまい、強引な採掘を進めるなど様子がおかしくなる。エレギオンではケレブリンボール卿がアンナタールに惑わされてさらに9つの指輪を

          『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』シーズン2第5話ネタバレ感想,狂いゆく王様「岩の館」