黄色いチューリップ
感じない。動かない…。
デジタル時計についている温度計は、室温を十三度と表示している。寒さで鈍くなった指を強引に動かして、ペンを走らせる。
乾いた空気を、肺に吸い込むたびに自分の中の何かが、乾燥した空気にさらわれて行く。
それと一緒にきっと、自分の中の何かが外に出される。
この循環は、死ぬまで止められなくて、外部から足されない限り、僕の中の大切な何かは、一生減り続けてしまうんだろう。
彼女から僕に注がれた、透明で触れることはできない何か。
でも、確かにそれはもう少ないけれど僕