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「オーソモレキュラー」もインチキではないの?

先日、がん患者さんを騙す「詐欺クリニック」を批難する記事を書きましたが…。

一方で私は過去に科学的根拠が乏しいオーソモレキュラー栄養療法については肯定的な意見を書いています。

世間ではオーソモレキュラー栄養療法もインチキ・詐欺と思われていることが多いと思いますので、今日はこれについての私の考えを書きたいと思います。

この記事は3分くらいで読めます。

オーソモレキュラー栄養療法とは

私はこの「オーソモレキュラー栄養療法(分子整合栄養医学)」という言葉、本当はあまり好きではありません。理由は、言葉そのものが分かりにくく胡散臭く聞こえるということと、あともうひとつ理由があります(これは後で述べます)。ただ、単に「栄養療法」などと言うと何を指すのか分かりにくくなってしまうので、noteでは今後もオーソモレキュラーという言葉を使います。

オーソモレキュラーの基本は、偏った・不適切な食事習慣により、ある栄養素が欠乏することで人は体調を崩したり病気になることがある。そして適切な量の栄養を補うことで失われた健康が取り戻せるのではないか、という考えです。

オーソモレキュラー栄養療法の問題点


さて、ではこのオーソモレキュラーの何がいけないかということですが、まずは冒頭で述べたように科学的根拠に乏しいということです。根拠が全くないとは言いませんが、少なくとも高度なエビデンスに裏付けされた学問とは言えません。

もうひとつは、色々な先生が自分の考えに基づいて情報を発信しているので非常に混沌とした状態が続いています。譬えて言えば政党や宗派のような感じです。中には陰謀論などと結びつき、反ワクチンや安易な西洋医学を批判する先生までいます。言うまでもなく、私はこれらの全てを「オーソモレキュラー」と一括りにして肯定しているわけではありません。

「オーソモレキュラーという言葉が指すものが、あまりに多様である」ということが、先ほど書いた、私が「オーソモレキュラー」という言葉をあまり好きではないもうひとつの理由です。

では、何故オーソモレキュラーを支持するのか

これはもう単純に、私の娘やほかの身内をはじめ、調子が良くなった人を何人も見ているからです。

私はこのオーソモレキュラーを専門にやっているわけではありませんが、2019年頃からこのアプローチに興味を持ち、採血を希望する方のお手伝いをして来ました。藤川徳美先生の本やブログに私のクリニックが載っているので、それを見て受診される方が多いです。延べ50人くらい診察しています。もちろん、良くならない人もいますが、少なく見積もって半分は著効~改善といった具合です(今度、自院の統計を取りたいと思います)。

比較対象を置いていないので、プラセボ効果かもしれないことは承知しています。しかし、フェリチンなどの血液データの改善に伴い症状が良くなり、だいたい二~三か月で調子が良くなるというある程度の再現性もあります。

オーソモレキュラーに対する個人的な考え

以前も書きましたが、私は科学や西洋医学を否定する立場では全くなく、可能ならまず科学的根拠のある治療を勧め、行うべきだと考えています。しかし、有効な治療がない、出来ない時に、「ないですね」で終わりにすることが医師の正しい態度かと言うと、それで良いのかな…とも思います。自ら勧めることはしませんが、一緒に考えたり、科学的根拠がなくても治療をしたいという人には手伝いが出来る存在でありたいです

しかし同時に患者さんに言われるがままに有害な治療を行うのもどうかと思います。有害とは副作用だけでなく効果がある治療を受ける選択肢を奪ったり、金銭的な負担も含みます。私は代替治療の全てがいけないというよりも、患者さんに有害かどうかを十分に検討するべき、という考えです

その点オーソモレキュラーは、やり方によりますが患者さんにとって極力負担のない方法で行うことが出来るのではないでしょうか。

まとめ

オーソモレキュラー栄養療法についての自分の考えを書かせて頂きました。がんや認知症が治ってしまうような魔法の治療法ではありませんが、うつ病や不登校のお子さんの治療の助けになることはあると思っています。他に有効な手段がないのであれば、二~三か月くらいを目安に、ぜひ検討してみて下さい。

最後までお読み頂き、有難うございました。オーソモレキュラー栄養療法についてのマガジンもあります、興味があればご登録下さい😊


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