見出し画像

心肺停止と警察

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、自宅で暮らしていた患者さんが心肺停止となり救急車を呼んだ場合、警察が介入することが多いです。今日はこの、心肺停止の際の警察の捜査について知っておいた方が良いことをお書きします。高齢のご家族、特に要介護状態の患者さんがいる方は是非ご一読下さい。

■救急隊が到着時既に明らかに亡くなっている
■心肺蘇生をしながら病院に行ったが間もなく死亡が確認された

上記のいずれの場合も、救急隊あるいは病院の医師から警察に連絡が入り、警察から家族への聞き取り調査や、検死が行われることになります。

この記事は、だいたい2~3分で読めます。

警察が立ち入る理由

これは、言うまでもなく事件性の有無を判断するためです。もっとはっきり言うと、第一発見者や家族が患者さんが亡くなったことに関与していないか。あるいは、虐待はなかったかなどを調べる、ということです。

警察も仕事なので、好きでやっているわけではないと思いますが、「念のため」というような簡単なものではなく結構しっかりと捜査します。家族は複数の警察官から何度も同じ質問を受けたり、ご遺体を裸にして写真を撮ったり、介護していた自宅の状況を確認したりします。

もちろん、警察は事件性がないと判断すれば帰って行きますが、数時間の捜査は患者さんを亡くしたばかりの家族にとって、かなりキツイことであると思います。

それだけでなく、自宅に大勢の警察がやって来れば近所から奇異な目でみられるのではないか、賃貸では事故物件などのうわさが立つのではないかと気にされる方もいらっしゃいます。ちなみに、最近「事故物件」については定義が定められ、病死は「事故物件」には該当しないことが明らかになりました。詳しくは過去の記事をご参照下さい。しかし、うわさや風評は絶対にないとは言えません。

警察の捜査を避けるには

ひとつは入院した患者さんが、少し経ってから亡くなった場合は担当医は警察に連絡することはせず、病死として診断書を書いてくれます。しかし、入院した患者さんがいつ亡くなるかなど家族に判断できるはずはありません。

もう一つは、明らかに呼吸が止まっている場合などは救急車を呼ばず、かかりつけのドクターに相談すると診断書を書いてくれる可能性があります。開業医の先生は夜間や休日は連絡がとれないことが多いですが、訪問診療であれば24時間連絡がつくので、いつでも来てくれます。

患者さんが進行したがんの患者さんや老衰など、ある程度看取りが予想される状況では、訪問診療を利用しておくと良いと思います。

訪問診療については以下をご覧下さい。

捜査を受けるのは義務?

ただ、上記に書いた捜査の全てを受けなければいけないかというと、そうでもありません。あくまで任意のものもあるようです。過去に私が別のブログで書いた記事を参考にして頂ければと思いますが、このケースでは家族が「捜査は法律に基づく強制的なものですか?」と尋ねた結果、自宅の捜査はなくなりました。

初めから「任意です」と言ってしまうと家族の協力が得られなくなるのは分かりますが、この辺りを曖昧にして「念のため」の捜査を行うというのは、傷つく家族の立場に立てば誠実ではないなぁと思います。

患者さんが苦しんでいるかどうか

患者さんの容態が急変し、痛みや呼吸困難を訴えていたり、苦しんでいると周囲で判断出来る場合はもちろん救急車を呼ぶことをためらうことはありません。

しかし、患者さんが苦しんでいない時は、可能ならまずかかりつけ医に相談することをお勧めします。

ちなみに、ご家族の目から明らかに亡くなって時間が経っていると分かる場合は、救急隊ではなく直接警察に連絡することは可能です。もちろん、上記のような捜査の対象にはなってしまいますが。

まとめ

患者さんの急な心肺停止の際、警察が関与する可能性についてお伝えしました。元気だった患者さんが理由も分からず急に亡くなった場合はある程度仕方ない部分もあるかもしれませんが、病状によってはかかりつけ医を持ったり訪問診療を受けることで嫌な想いをしないで済む場合もあります。知識としてはあった方が良い内容ですので記事にしました。

関連記事です。

サイトマップも、是非ご覧ください。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?