胃ろうを断るとどうなるか

昨日は、病院に入院した高齢者が
ご飯を食べられなくなり、
主治医に胃ろうを勧められた時、
胃ろうを選択する前に
知って頂きたい大事なことを
まとめた記事を書きました。

胃ろうのデメリットを考え、
胃ろうを断った場合
どうなるのでしょうか。
今日はこの問題を取り上げます。

胃ろうが減って、経鼻が増えた?

2010年代ころから
胃ろうの苦痛・延命的な側面が
注目されるようになり、

胃ろうは望ましくない
という風潮が強まりました。

しかし、その結果
胃ろうは減ったのですが
鼻からチューブを入れる
経鼻(けいび)栄養や

中心静脈(ちゅうしん
じょうみゃく)栄養などの
別の栄養療法が増えるという
奇妙なことが起こりました。

これは胃ろうに反対した人たちが
胃ろうの問題点の本質を
きちんと理解していなかった
ために起こったことでした。

胃ろうが良くないと
考えられるようになったのは、
いのちの限界を越えて
生き続ける苦しさが

その理由だったのですが、

胃ろうだけがいけないと
考えた結果
ほかの、もっと
苦痛や合併症が多い
栄養療法が増えてしまった
のです。

経鼻栄養や中心静脈栄養の
より明らかに胃ろうのほうが
メリットが大きいのですが

このことを知っていないと
ただ投与方法の異なる
別な方法を
勧められてしまいます。

断ったあと、どうなるか

人は、水分が全く摂れないと
数日で亡くなってしまいます。

なんとか水が摂れても
水分だけでは
1~2か月以上はなかなか
生きることは出来ません。

水分を補うだけの
点滴の場合でも同様で
だいたい1~2か月で
限界を迎えてしまいます。

胃ろうをしなければ
ならないと判断された方が
再び食べられるように
なるかと言うと、

経験上
全く可能性がないとは
言いませんが、

昨日の記事を見て頂くと
分かるように、
たとえ胃ろうをして
十分な栄養を入れても

再び食べられるようになる
方はわずかですので、

大きな期待は出来ないと
考えて下さい。

また、無理をすると
肺炎を起こし
かなり苦しまれることに
なりますので

ほとんどは最期の時間が
迫っているという
覚悟が必要だと思います。

断っても病院にいられるか

これは、恐らく難しいと思います。

ただ、胃ろうを造っても、
そう長くはいられないのが普通です。

先ほどお書きした通り
胃ろうが必要なかたが
胃ろうをしなかった場合、
ほとんど1~2ヵ月くらいで
亡くなりますが

亡くなるまで
病院にいて良いですよ、
という病院は少なく、
特に大きな大学病院や
総合病院ではまず無理です。

ただ、地域の小さい病院
を探せば、受け入れて
もらえることもあります。

施設には戻れるか

胃ろうを造らない判断をしたあと
施設に入所したり、
もともと入居していた施設に
戻れるかどうかも
ちょっと分かりません。

施設に確認するしか
ないですが
口から食事を摂らせて
欲しいと希望した場合、
断られることもあります。

嚥下が困難な方への食事は
1時間、あるいはもっと
時間がかかることが多く、
誤嚥性肺炎や窒息の
リスクも高いので

施設では対応できないと
判断されがちです。

ただ、無理に口から
摂ることをせず
最後の一か月くらいを
穏やかにすごさせて
あげたい、というお気持ちなら

訪問診療医と施設の協力で
可能になることも増えるのでは
ないでしょうか。

自宅で一緒に過ごすという選択肢

最近は胃ろうを選ばず
自宅で最後の時間を
一緒に過ごすという家族も
増えて来ました。

長い介護は難しくても
介護サービス、
訪問看護師、
訪問診療医の
力を借りて

1~2か月くらいなら、
というご家族もいます。

短い時間でも
苦痛は少ないことが多く
密度の濃い時間を
過ごすことが出来る
と思います。

まとめ

胃ろうをしなければ
栄養が摂れないかたが
胃ろうをしない
選択をするということは

多くの場合数日(点滴を全く
しない場合)から1~2か月で
亡くなる可能性が高い
ということです。

この状態で、その後
病院や施設にいられるかは
聞いてみないと分かりませんが
無理なこともあります。

その場合はいられる病院や
施設を新たに探すか、
家に戻り穏やかに最期を迎える
という選択肢を考える
ことになります。

胃ろうをする、しない。
どちらを選んでも
結局後悔することの多い
難しい選択です。

しかし、
それぞれの死生観にもとづく
判断ですので
どちらも間違いでは
ないと思います。

最後までお読み頂き、
ありがとうございました😊
質問、ご意見があれば
是非コメント下さい。

本日の記事だけでは
胃ろうの大切な情報を
お話し切れていませんので
昨日の記事も
お読みいただけたらと
思います。




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