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夫と私と交換日記

もう何年も前から
夫と交換日記をしている。
別に夫と離れて住んでいるとか、生活のリズムとかが違うわけではない。
最初は病気になった私に
「口では言えないことでもノートにだったら書けるかもよ。あと手の握力がないからリハビリにもなるかも」
そんな風に夫が提案してくれたことが交換日記を始めるきっかけになった。

ブレインフォグがひどいため、何かを考えすぐに答えることが得意じゃなくなり、
握力があまりない私は、一行書くだけでも結構な重労働だった。
「今日は暑かった」
「ご飯がおいしかった」
とか、最初の頃は本当に数行しか書けなくて寂しくなったりしていた。
「今日も頑張ったね」
「無理せずに」
夫からの返事も短いものが多かったけれど、いつも私をねぎらってくれる言葉がノートに書いてあった。
病気になってすぐの頃はネガティブなことばかり書いてある。
「もういやだ」
「すごくいたい」
「うまくはなすことができない」
「まいにち、そこらじゅういたい」
「きえてなくなりたい」
それでも夫は
「大丈夫」
「つらいよね」
「痛さを変わってあげたい」
「大好きだよ」
と、私が病気になる前と変わらない態度で肯定的な言葉を書いていてくれた。

夫とはたくさん会話をしている方だと思う。
朝も、夫の仕事が休憩中のときも、夜も、二人で会話をしている。
夫と二十四時間、ずっとそばにいても疲れない。
それでも、体調が悪い時や忘れちゃった時以外、
交換日記を書いている。

「今日雨がスゴかった」
「頭めっちゃ痛かった」
「ロビちゃん可愛すぎる」
「りぃりがスゴかった!」
とか、たいしたことは書いていない。LINEで話すようなことをわざわざ文字にしている。
朝、夫からの返事を読むのが嬉しいし、夕方今日の出来事を書くのも楽しかった。
それから不思議だけれど、
交換日記を書くことで、自分の今日の体調や、心の状態がわかってくるようになった。
もう少し字が上手になりたいな、という欲も出てきて、ほんの少しだけ字の勉強もはじめた。でもやっぱり以前のように握力がないので、字はへにょへにょしてしまう。
それでも、字を書きたいと思う。

夫の少しくせのある字を見ると、今もなんだか嬉しい気持ちになる。
付き合い始めの頃は、よく手紙をもらった。もちろん私も夫に手紙を書いて渡していて、
デートが終わり家に帰ってからもらった手紙を読む時間が幸せだった。
手紙を何度も読み返して元気をもらっていた。
あの頃のドキドキとかを交換日記を通じて思い出す。


お誕生日には
いつも夫と娘が手紙をくれる


「毎日あっという間に過ぎちゃうからさ、交換日記に書くことで記録になっているねぇ」
そんな風に穏やかに言う夫に、いつもありがとう!っと、ちゃんと言葉で伝えている。
そのときの感謝の気持ちをその瞬間に伝えたいと思うから、たくさん「ありがとう」と
言っている。私、暑苦しいな。夏生まれだから?と思いながらも
それでもいつも交換日記には「いつもありがとう」とか「今日もありがとう」を書いてしまう。あと、「大好き」という言葉も。
大好きって言葉でも伝えているけれど、交換日記についつい書いてしまっている。
あと何年、大好きな夫に、どれだけの大好きを伝えられることができるのだろう。
毎日、こうして夫の顔を見て娘や愛犬ロビンと笑い合える時間がとても愛おしくて
胸がじんわりあたたかくなる。
病気になり、今までできていたことができなくなって、正直何年もしんどくて落ち込んでいた。今でも身体が酷く痛い毎日だけれど、でも、今はとても穏やかな気持ちでいる。
もちろん落ち込む時もあるし、起き上がれない日もある。それでも
できない自分を認めて病気を受け入れつつ、よくなるように日々を過ごせている。
足るを知る。その言葉を思っては、今ある幸せに感謝している。
そんな風に、まだ自分ができることを感謝しながら過ごせていることに有り難く思う。
まだまだ頑張りたいこともやりたいこともたくさんあって、そんなことも交換日記には宣言するように書いている。
去年の今頃書いた交換日記を読み返す。
五年前の自分のことを思い出し、人生っていろいろあるねぇとしんみりしていた。
自分に対して厳しいことを書いてあった。
もうちょっと自分に優しくしてあげようよ。
そんな風に思えるようになった。

こうして交換日記で夫と会話をしつつ、普通に会話もしているのに
夫のnoteにコメントを入れてしまった。
夫から返事が返ってきたことが嬉しくて
思わず会話をスクショしてしまう。


私と夫が並んでるよー!


どんだけ夫のことが好きなんだ!
そんな風に
自分のことがちょっと怖くなりながらも
愛に賞味期限はないんだ!と、
今日も交換日記に「いつもありがとう」「大好き」っと書いている。






最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

心から感謝の気持ちを込めて

横山小寿々

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