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カメラ選び

時々、カメラを買いたいんですけど何がいいですか?と聞かれることがある。しかしこんなに難しい質問はない。iPhoneでいいよって言うと、そういうことじゃないと言われ、Leicaがいいよって言うと、高すぎると言われる。
あぁ難しい。。。

どんなカメラを買うべきなのか、どんなカメラが自分に合うのか、プロにとっても難しい問題だ。ましてやそうでない人にとっては、自分で答えなど出せるわけはない。カメラというのはその他の趣味の道具と比べると、ある程度高価な物だからなおさら難しい。
散々いろんなカメラを使ってきた結果、今のカメラにたどり着いているというカメラマンがほとんどだと思う。

しかし確かに道具は大事だ。
ならば道具を選ぶときに、何を大切に何を基準に選べばいいのだろう。

僕はここ10年くらいLeicaのカメラを使っている。
そうするとSNSに上げた僕の写真を見て「やっぱりLeicaは違うなぁ」とか、「Leicaの表現力はすごい」とか、言ってくれる人がいる。
そうでしょー!!と喜びつつ、でも1秒後に僕はちょっとモヤっとする。きっと違うんです。。そうではないと思うんです。。僕が#Leica などと書いてしまったばかりに。。。。


もちろんレンズにもこだわって選んでいるので、細かい点では他と違う雰囲気にはなるのだけれど、パッと見てわかるほどのものでもないし、その差はあっても僕達プロが目を凝らして、他と撮り比べてやっとわかるくらい些細なもので、その些細な違いをいろいろと組み合わせて写真を仕上げるので、少なくとも多くの人が「Leicaの色」だと思っているものは、間違っていることが多い。幻想だと思う。
実は、その写真がどこのメーカーのどのカメラで撮られたものかなんて、パッと見て分かるはずないのだ。撮って出しのjpegならまだしも、RAW現像した僕の写真がどのカメラで撮ったものか、自分でもよく間違えるくらいなのだから。

スペックで比べれば、他社のカメラやレンズの方が優れていると言ってもおかしくない(Leicaさんごめんなさい)。ピントの正確さ、その速さ、メニューの豊富さ、防塵防滴レベル、どこを取ってももっと上のものがもっと低価格で売られている。

では何故僕はLeicaのカメラを使うのか。ここからが本題。
それは解像度や、色でもない、ボケや味でもない、
スペックでは言い表せない、もっと感覚的なものなのだ。
物としての在り方。使っていると伝わってくる写真家への理解とリスペクト。そういう想いのような曖昧なものがあるような気がするからだ。
無駄にハイテクな機能が無いとこや、大きさやデザイン、ボタンの数、メニューのインターフェイス、完全に思い通りにならないことでズレる間、などなどにより、意図していないものが写る可能性が残っていること。
そのカメラを持つことで心持ちが整い、
それによって世界の見方が整い、
カメラを意識せずに被写体のことを見ることができる、というようなことが不思議と備わっている。
僕に写真のことを教えてくれる唯一のデジタルカメラが、Leicaなのである。

カメラに限らず、道具を選ぶときには、
スペックよりもそうした感覚的な自分なりの理由を優先するように心がけている。そしてそのほうが結果が良くなるということが多いような気がする。
でもだからといって人それぞれ、どんな道具がしっくりくるかは違うので、真似してLeicaを買わないほうがいいです。高いので。でも欲しくなったでしょう。ごめんなさい。


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