これからの家族のかたちと社会の子育て
高校生の頃、社会学の授業で、社会の最小構成単位は家族、と習った。
封建的家族像の崩壊が叫ばれる中、家族は大事だと感じる。体調を崩した時、最後に頼りになったのは家族だった。出先で警察に保護された時に、車に同乗したのも、毎日のように見舞いに通ってくれたのも、親である。そういう意味では、頭が上がらない。
独身である。少し寂しい。まあしかし、誰しもが必ず形作れるものでもないのではないか、家族。社会の最小構成単位、だからミニマムセットということだろうけど、家族が構成できないと社会の構成員とならないということだと僕は少し困る。
先日こんな記事を読んだ。
のっぴきならぬ理由で、自分で生んだ子どもを特別養子縁組で養子に出した当事者の方の話だ。社会にはそういう選択肢があり、そういうことを包摂できるのが社会の優しさだろうし、こういう立場の人がいて、様々な葛藤があろうことに、僕は今まで目を向けて来なかった。
親を頼れない子どもの支援に関わっている。いわゆる対人支援をしているわけではないのだが、バックオフィス、言わばサポートのサポートで、NPOのプロジェクトのプロモーションやファンドレイジングのプランニングに関わっている。
18歳成人、子ども家庭庁、世の中は変わりゆくようであるけれど、一方でまだまだ解消されない格差は多くあり、子どもが社会に出ることは大変だ。社会に出ても、失敗があったり、つまずきがあったり、精神的な不安もあろうし、社会に出れば安心というわけには到底行かない。
ここでは子どもたちが直面する8つの困りごとについて挙げられている。
身近に理解者がいない
気軽に相談できない
孤独な一人暮らしの不安
大学や専門学校の学費の不安
就職活動がうまくいかない
一人暮らしの準備が分からない
社会に巣立つことの不安
働くイメージが持てない
これまでの社会では家族という社会の最小構成単位、すなわちとても小さな枠組みでこれをカバーしようとして来た。しかし、実際に親を頼れない子どもがいる。当然、こぼれ落ちるものが出て来る。という時により大きな枠組みで分散して、分担して、社会全体で子育てをしていかないといけない。
そんなことを「社会の子育て」と認識している。
一方で、どうやって「社会の子育て」に関わるかって難しい。
何から始めるかという時に、一つのきっかけになりそうなのは、当事者の声を聴く、ということだ。今、僕はコエールというプロジェクトのプロモーションをサポートしている。親を頼れない子どもたちのため、当事者の声から問題提起をするプログラムだ。
2022年7月2日 13:30からのオンラインイベントで、チケット代の2,000円はこのプロジェクトの継続に活用される。是非、当事者の声に耳を傾けて、自分に何ができるか考える機会にして欲しいと思う。アクションを起こせる人が多く出ないと、一握りの人が頑張っても、世の中はなかなか変わらない。
「これからの家族のかたち」を考える、ということは「これからの社会のかたち」を考えるということに等しく、それは「社会の子育て」をどう実践していくか、ということに収斂されるように思う。
色々な役割分担があり、その総体で社会の子育ては成立する。虐待を防ぐのも、貧困を止めるのも、危険から守るのも大事な一方、プログラミングを教えることも大事だし、スポーツを共に楽しむことも大事だろうし、一緒にBBQすることだって大事なことかも知れない。
これからの家族、ということを考える、良いきっかけにもなると思っている。
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