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預金はいくら?誰に介護されたい?親がホンネを話さないたった一つの理由

こんにちは!小菅(@kosugehideki)です。

前回の記事では、老人ホームはどのようなタイミングで入居するのか。その傾向を5つのパターンに整理してみました。その中で、いざ老人ホーム選びの段階になっても「親の希望がよくわからない」との意見が多いことを記しました。

今回は、親とのコミュニケーションがうまくいかない原因と対策について考えます。

親の「大丈夫」はだいたいウソ

みなさんは、親がどんな老後を過ごしたいのか希望を聞いたことはありますか?これは高齢者と日々接している介護・医療関係者であっても、決して多くはないと思います。

例えば、寝たきりになっても最期まで自宅で過ごしたいのか、認知症等で生活に支障を来たしたら老人ホームに入りたいのか。そういった話を先送りしてきたことで、“親のホンネ”がわからず、突然の老人ホーム入居もなんとなく流れに任せ、すべてが後手に回っている方が多い印象です。

また、親に老後の話を切り出そうものなら「大丈夫だよ。先のことはちゃんと考えてあるから」と適当にあしらわれた。このような経験もきっとあるでしょう。子どもに余計な心配を掛けたくないからつい「大丈夫」を繰り返す親も多いもの。
さらに「縁起でもない話をするな!」と親にブチ切れられた。これもよく聞きます。親のためを思って言っているのにどうして?と言いたくもなりますよね。

親子間の信頼関係も変化する

なぜ親は本音を話さないのか。それは、子どもとの信頼関係が希薄になっている点にあると僕は考えます。「親子なのに信頼されていない?まさか」と思うかもしれません。でも考えてもみてください。就職や結婚を機に実家を出て数十年。帰省するのは年に1度あるかないか。普段用がなければ電話も寄こさず、大した用もなく親から電話があると「今忙しいから」「用があったらLINEして」なんて塩対応していませんか。

親子だからわかってくれるハズ!というのは子どもに都合の良い考えです。同居していた頃と比べて関係性が希薄になっているのは間違いないでしょう。にも関わらず、久しぶりに帰省したと思ったら親を老人扱いして「介護は?」「老後資金は?」「終活してる?」だなんて、親からするとハッキリ言って余計なお世話。気分を害して当然でしょう。それと、表向きは親を心配するような言葉も、「私の迷惑が降り掛からないようにしたいんでしょ」と親は感じているのかもしれません。

週一回の電話が信頼関係を復活させる

そのような冷え切った関係を再構築する方法がこちらです。結論から言うと週に一回親と電話をする。これだけ。シンプルですね。これを続けることで、信頼関係は自然と回復していきます。

ただし、冷え切った関係ほど信頼回復には「相応の期間」が必要ということも加えておきます。その期間がどれくらいかは人によります。3ヶ月か半年か。関係性によっては1年以上かかる人もいるでしょう。

もちろん電話だけでなくメールやLINEも有効です。でもメールやLINEだけでなく、やはり電話を活用したいところ。理由は、テキストよりも沢山の情報収集ができるから。声の調子で親の機嫌や体調の良し悪しが感じ取れるので、「電話×メール・LINEの掛け合わせ」が有効ですね。

特別な話題なんていらない

電話をするのに用件などなくていいんです。「元気かなと思って電話したよ。最近体調はどうなの?」それだけで十分。これを週イチで繰り返します。親はどのような持病・症状をもっているのか。どこの病院の主治医は誰で、どのような頻度で通院しているのか。掘り下げることで、親の健康状態も少しづつわかってきます。こうした情報は、先々介護サービスを受けるときにも役立つのでメモしておきましょう。

電話は「毎週〇曜〇時頃」など定刻を決めておくことで、親も「そろそろ電話が来る頃かな」と生活の一部に組み込みやすくなります。やがて親も「次の電話で〇〇について話そう」と一週間の出来事を少しづつ話すようになってくれるはず。

なお、この取り組みは信頼関係を取り戻すことが目的です。特別な話題は必要ありません。何を話すかよりも親の話に興味をもつ姿勢が大切です。基本的なことですが、5W1Hを用いて話を聞くことで「お父さん(お母さん)のことを気に掛けているよ」という気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

親との接触頻度を高めよう!ザイオンス効果と注意点

人やモノなど、接触頻度がコミュニケーションに影響を与えることをザイオンス効果と言います。“単純接触効果”とも呼ばれ、簡単にいうと接触回数が増えるほど好印象を抱きやすくなるというものです。これは親子関係にも当てはまると思います。

ただし、誰に対しても好意的になるワケではありません。嫌いな人、苦手な人との接触回数が増えると、その感情は増幅されるともいわれています。せっかく親と会話しているのに「ふーん」「あそう」「そうなんだー」と冷めたリアクションを繰り返すのは逆効果。

それと、「こっちは忙しいのに電話してやってる」なんて感情を出すのもご法度。感情は相手に伝わり、かえって関係性が拗れます。誰だって不機嫌な日はあって当然。どうも気分が乗らないとき、負の感情が強いときの電話は別日にすればいいのです。

親の関心に関心をもつ

相手の関心に関心をもつことは、良好な人間関係を築くうえで大切な視点です。週イチの電話で何を話していいかわからないときは、親の関心ごとに関心をもちましょう。

例えば親の趣味について。ずいぶん昔の記憶で止まっていませんか?僕らと同じように、親の趣味趣向も移り変わるもの。今何にハマっているのか。なぜそれが好きなのか。週にどれくらい時間を割いているのか。こんな風に深堀すると、親の生活の様子が見えてきます。

実は「BE:FIRST」やK-POPが好きだったり、NETFLIXで海外ドラマにハマっていたり、スマホゲームに熱中しているかもしれません。「意外だけど、それイイ趣味だね!」なんて共感すると親も嬉しいはずです。

親子の信頼も一日にして成らず

週イチの電話をコツコツ続けることで、関係性は次第に回復していくでしょう。そうして初めて介護や相続など聞きたかった事を質問します。ただし、僕の経験上はストレートに質問するより、エピソードなどを交え親を気遣うカタチで聞くのがスムーズでした。

「この間、同僚のお父さんが持病の悪化で緊急入院して大変だったみたい。銀行カードの場所も暗唱番号も聞いてなかったから、同僚が全額支払ったって言ってた。もしお母さんに万一の事があったらどうすればいいかな?」

「お父さんにはいつまでも元気でいてほしいけど、この先介護が必要になったらどのような風にサポートしてほしい?電話だと話しづらいから、今度帰省したときにお父さんの気持ちを聞かせてね」

こんな風に、友人知人を引き合いに出して言いづらい話題を振ってみたり、次回の帰省で話そうと予告しておくと、いざ帰省した時に話をはぐらかされる可能性は減ると思います。


「あの人とは距離をおこう」といった言葉で用いられますが、人間関係の距離には物理的な距離と心の距離の二つがあります。実家を離れ物理的に距離ができても、良好な接触を繰り返すことで心の距離を近づける事はできます。親と心の距離を感じているようでしたらぜひお試しください。

最後までお読みいただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いいたします。


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