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老人ホームにはいつ入る?入居までの5つのパターンを整理してみた!

こんにちは!小菅(@kosugehideki)です。

介護業界には15年ほど携わっており、「老人ホームにはいつ入った方がいいの?」とよく聞かれます。「入りたいと思ったときが住み替えどき!」も一理ありますが、実際のところどうなのか?気になる人もいると思います。

今回は老人ホームに入るパターンを僕の経験からざっくり分けてみました。
あらためて、入居するタイミングは人それぞれだなと思います。
みなさんのベストタイミングはいつですか?

老人ホームに入る5つのパターン

あくまで僕の経験上ですが、これまでに関わった相談で多かったのは次の5パターンです。

  1. 病院から退院するとき

  2. 自立した生活ができなくなったとき

  3. 介護者家族が疲弊し限界を感じたとき

  4. 介護はいらないけど独居が不安なとき

  5. 家族の虐待など

それぞれ簡単に解説していきます。

1.病院から退院するとき

入退院をきっかけに老人ホームを検討するパターンです。高齢者は、たった一度の転倒で生活が一変することもあります。僕が対応した中で多かったのは大腿骨※を骨折し入院するケース。術後にリハビリをしても、誰もが歩けるまで回復するとは限りません。「退院したら車イスで介護が必要」と告げられると、自宅で介護は困難と判断した家族が施設入居を検討します。
これに関しては家族の都合というより「病院の都合」で入居のタイミングが決まるといえます。
※足の付け根からひざまでの太ももの骨

2.自立した生活ができなくなったとき

身体機能や認知機能の低下によって自立した生活ができなくなり、介護施設を検討するパターンです。とくに独居の場合は、デイサービスや訪問介護等を利用していても、サービスの行き届かない空白の時間帯が発生します。

認知機能の衰えにより「火の不始末があった」「特殊詐欺の被害に遭った」「出先から帰ってこられず警察に保護された」などをきっかけとして施設を検討することがあります。

3.介護者家族が疲弊し限界を感じたとき

同居や近居など、介護者家族は精神的、肉体的、金銭的な負担を長期間にわたり伴います。誰しも加齢と共にできないことが増えるため、基本的に家族のサポートは増えていくもの。

介護のどこに辛いと感じるかは人それぞれですが、「要介護者の体を何度も持ち上げ、支える」「夜間のトイレ介助で何度も起こされる」といったことが続くと、やがて疲労も限界に達します。このタイミングで施設を検討される方も多いでしょう。

4.介護はいらないけど独居が不安なとき

「急いではいないけど、一人暮らしが心配で」というお元気な方の相談も。特に、孤独死や独居高齢者を狙った事件などの報道が相次ぐと、不安に駆られた方からの相談が如実に増えました。

また、老い支度の一環として、人生の最終ステージをどこで過ごすのか真剣に考える高齢者もいます。老人ホームに進んで入りたい!と思う人はごく少数派。そういったなか、ご自身の人生にきちんと向き合っていらっしゃるのだなと思いました。

5.家族の虐待などをきっかけに

「終わりの見えない介護に疲れ虐待に発展ー」。要介護者(要支援)が700万人に迫る日本では、もはやこうした報道も珍しくはありません。虐待の状況を確認したケアマネジャーや行政職員から施設入居の相談を受けたこともあります。

また、ゴミ屋敷化した自宅からの住み替えなど、家族だけではどうしようも出来ず、第三者が関わって施設入居に至るケースもあります。

老人ホーム入居は家族都合が優先される

ここまで老人ホーム入居・5つのパターンについて解説しました。

では老人ホームを探すとして決定権は誰にあるのでしょうか。
「もちろん入居する本人だよ!」と言いたいところですが、ほとんどの場合は本人ではなく家族の意思で決定します。

なぜなら、老人ホームの検討段階だと親は要介護状態でそもそも見学に行くことが困難です。また、認知症の進行により理解力・判断力が低下していることも多く、自分の意思を正しく伝えることも難しい場合があるためです。このような状況だと、必然的に家族が決定権をもちます。

老人ホームを検討する際、「場所・予算・サービス内容・施設のスペック」など、ポイントは多々あります。本来であれば、入居する本人の意思を最優先にするべきですが、実情はあまり反映されません。あくまで、家族が通いやすい、親の年金でまかなえる、職員が優しい、建物がキレイ。このような理由でホーム入居が決まる傾向にあります。

親子のコミュニケーション不足による影響

親の希望が優先されない理由はいくつかあり、その最たるものは「親の希望がよくわからない」です。

「うちの親もいつか老人ホームに入るかも。でもまだ先かな」

そんな風に考えて、老後の話を先送りしていないでしょうか。ただし、僕は先送りする子どもが悪いだなんて思いません。そもそも、「介護、延命、看取り、葬儀、相続」といったセンシティブな話題は子どもから切り出し辛いもの。

よかれと思って話そうものなら「縁起でもない話をするな!」と激昂する親も実際にいます。しかし、本来であれば親が能動的に考え、子どもに託す話だと僕は思います。そのため、親が肝心の話を避け続けてきたならば、子ども主導で老人ホームを選ぶしかなくなります。

親の希望は叶えて上げたい。でもどう切り出せばいいかわからない。どうしたら円滑なコミュニケーションができるようになるのか。
次回はそれをテーマに書きたいと思います。


老人ホームに入るパターンは人それぞれですが、「入らなきゃいけないから仕方なく入る」という投げやりな考えで入居するのは寂しいなと思います。

イマドキの老人ホームは明るくキレイで、充実した日々を送る高齢者は沢山います。探すのに時間は必要ですが、きっと相性抜群のホームに出会えるはず。だからこそ、すぐに入るかは別として、親の身体が自由に動き契約書の内容も理解できるうちに、老人ホームへ見学に行くことをオススメしています。

最後までお読みいただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いいたします。


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