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なかなか終わらないフランスの反年金改革デモ

今話題のフランス年金改革デモ、まだまだ続いています。終わる気配がありません。

まずは前に書いたこちらの記事から読んでいただけるとわかりやすいかと思います。

この投稿は2/16の第5回目のデモの様子ですが、3/7にも第6回目の一斉デモが行われ、もちろんその日は、交通機関も減便、大学も封鎖されました(予告ありで)。

そしてなんと本日16日、あれだけ反対されていた年金改革案が可決されてしまったのです…。今回はそれについて詳しく書いていきます。

と、その前に最近のパリの様子を…

至るところにゴミの山 « Emily in Pourri »

みなさんは、最近のパリの景観がどうなっているかどうか、ニュースでご覧になっているでしょうか?

見てください、このゴミの山。マクロン政権が年金改革への意思を曲げないせいで、ごみ収集業者までがストライキを起こし、ゴミを回収してくれないのです。焼却炉もストップしてしまったみたい。今週末、私は旅行に出掛けていたのですが、13日にパリに帰ってきたらこの様でした。とにかく臭い。魚屋さんの近くとかはもう最悪。交通機関のストップや大学の封鎖には慣れたけど、流石にこれはやめてほしい。

パリの中でも、区によってはちゃんと回収されているところもあるみたいですが、私の住んでいるところは、ゴミの山。ゴミを外に捨てに行くのも申し訳なくて、家にゴミを溜めてしまっているので、早くどうにかして欲しい。

フランス人の間では、NetflixのEmily in Parisになぞらえて、« Emily in Pourri »とかって言われているらしい。ちなみにpourriは「腐ったもの」という意味です。

定期券の一部金額返済

パリを含むîle de Franceと呼ばれる地域にはnavigoという定期券があります。navigoがあれば、この地域圏内の電車、バス、地下鉄などの交通機関は自由に使うことができます。

ちなみに、私は学生用の1年間有効のForfait imaginaire R Etudiantという種類のnavigoを使っています。年間350€でパリの色んなところを回れると思ったらかなりお得ですよね。

最近は、ストライキやデモの影響で電車の減便や遅延が多かったため、申請すれば、約半月分の定期券の金額が返済されるそう。特に遅延の多かったRER BとRER Dではもうちょっと多く返済して貰えるらしい(ストライキ関係なしに、工事も多かった)。

navigo利用者にとってはとても優しい制度だけど、鉄道会社の職員が賃金引き上げを求めて度々ストライキを起こしていることを考えると、彼らに不利になることはできるだけ避けた方がいいんじゃないの?と思ってしまう。笑

なぜかオンライン授業が禁止に

2/16や3/7は予告ありの一斉デモだったので、前日前々日から前もって封鎖の予告がされていました。ですが、本日16日の国会が近づくにつれて、学生運動も活発になり、その日大学に行ったら実は閉まっていたとか、午前中授業があったけど午後に急に閉まるとか、ということが増えました。

予めこれを見越して、zoomで授業をしようと予告してくれていた先生もいたのですが、なぜか、私の大学のsyndicatが遠隔授業を嫌ったため、禁止されました。これに関しては本当に意味がわからない。

ソルボンヌ大学のsyndicatのインスタの投稿

Illégalとまで言われてます。zoomで授業をすることで、出席点やその後の成績などを気にする学生が、ストライキに参加できなくなることを防ぐためなのでしょうか。

私の大学は、他の大学に比べても政治意識(?)の高い学生が多いので、見ていて面白いですし、もはや振り回されているのも楽しいです。

大学前のデモ隊

ちなみに今日は、15時から授業の予定だったのですが、12時から大学がいきなり封鎖になりました。大学前のPlace de la Sorbonneに14時集合で、Assemblée Nationaleまで練り歩く、というデモが行われました。

今日、何が起こったのか

そしてここからが本題です。
簡潔に述べると、今日、その年金改革案が可決されてしまいました。(ここまでみんな頑張ってストライキしたのに…)

Assemblée Nationale近くでデモ隊と警察が対峙

まずは、Sénat(上院、元老院)で、年金改革案賛成193票、反対114票、棄権38票(定数345名)で、賛成多数により可決されました。そして本来であれば、その次に、国民による直接選挙で選出されるAssemblée Nationale(下院、国民議会)で投票を行うはずです。

ですが、ここで!マクロン大統領とボーン首相が、憲法第49条第3項(通称49.3)の強権を発動しました。これを適用すると、国民議会での投票なしに、法案が通過されてしまうのです。下院には年金改革案反対の議員が多く、十分な支持を見込めなかったことが原因です。

今日、Assemblée Nationale近くのデモの様子を少し見てきましたが、年金改革だけでなく、この憲法の条項に反対している人も多かったです。

「憲法の変革、そして国会の解散を求める」
と書いてあります

しかし、この49.3が « La crise démocratique (民主主義の危機) »であるとはいえ、まだ可能性はあります。49.3の適用や法案に反対する議員は、motion de censureと呼ばれる、不信任決議案を提出することができます。これが国会の過半数以上で可決されれば、内閣は総辞職です。49.3はフランス国民議会にとっては、ジョーカー的存在なのです笑

これで、 « Mecron, démissionne!!! »となります(今日はみんな、ずっとこれを叫んでた)。

流石に今回のデモは、長く居ると危険な予感がしたので、もう家に帰ってきました。ですが、現在もAssemblée NationaleやPlace de la Concordeの前ではデモが止まないらしい(現在時刻19時)。

テレビ放送によるPlace de la Concordeの様子


この大規模デモを間近で見れるのはとても面白くて、フランスの政治って生きてるな〜って実感します。

でも正直、ゴミの件があってからは、早くなんとかしてもらいたいなと思ってきました。
これで年金改革が完全に通ってしまったら、デモが無制限に続くことも考えられるので、本当にマクロンには早くどうかしてもらいたいところですね。笑

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