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手紙は良いなぁって思った話

「シャーペンって力を入れるとすぐ折れちゃうからもっと太くてしっかりしたヤツを販売すれば売れると思うのに何で誰もやらないのかな。バカなのかな。」とスタッフに言ったら、「それって鉛筆じゃないですか」と言われました。#バカはお前だ

こんにちは、コッシーです。


さて、うちの入居者のTさん(90代女性)は、自分で言うのもアレですが多分僕のことをすごく信頼してくれています。

ご自身の体調の相談からお薬のこと、その他にも何かあると必ず最初に僕に相談をしてきてくれます。その信頼度はお医者さんに「この薬を飲んだ方が良い」と言われても納得しませんが、同じことを僕に言われると納得されて飲むくらい、僕の事を信頼してくれています。

Tさんは健康のために毎日館内を歩いています。万歩計をつけて歩かれておりその歩数を夕食時に必ず僕に報告をしてくれます。

「今日は3000歩でした。あんまり歩けませんでした」

「いや3000歩も歩けばすごいよ!頑張りましたね!」

そんな会話を毎日しておりますが、僕がお休みの日は残念ながらそれが出来ません。Tさんは僕以外のスタッフに報告することはなく、次の日に僕にお手紙をくれます。内容は毎回ほとんど一緒です。

○○様、いつも迷惑ばかりかけてごめんなさい。今日は4000歩、歩きました。また明日からよろしくお願いします。

内容を確認すると「昨日もたくさん歩いてすごいですね!でも迷惑なんて全くかけていないので気にしないでね」と伝えます。

Tさんは笑顔で喜んでくれていますが、手紙の内容が変わることはありませんでした。それがTさんのスタイルなのかなと特に気にしていませんでした。


話は変わりますが、先日プライベートでお手紙を書きました。日頃お世話になっている方への感謝の手紙だったのですが、本当に十数年ぶりに手紙を書いたせいか、めちゃくちゃ難しかったんです。

さすがに少しは失敗するだろうなと思っていたので便せんを10枚以上は用意していましたが、予想を遥かに上回る失敗次ぐ失敗で便せんはみるみる減っていきました。

これ以上の失敗は厳しいというところでようやく「下書きすればいいんじゃね?」ということに気づきまして、ようやく完成に至りました。#初期に気付くヤツだぞ

でも、この手紙を書くことが思っていた何十倍も楽しかったんです。自分の想いをどうやって伝えようか、何から書こうか、分かりにくくないか、あの事も書きたい、この事も書きたい…と試行錯誤している時間、僕はきっと送り主のことだけを考えていたと思います。

それがなんとも言えないくらい心地良かったんです。

手紙を投函して相手からリアクションがあるまでの待っている間の不安や期待が入り混じったあの独特の感覚もまた心地良いんです。

幸いにもお相手の方は手紙を喜んでくださいまして、ご丁寧にお返事までくれました。それもまためちゃくちゃ嬉しくて、手紙をいただいてから僕はもう何度読み返したか分かりません。

それくらい手紙のやり取りが僕を幸せな気持ちにしてくれました。


もしかしてTさんも僕に手紙を書く時にこんな気持ちだったのかな、僕の事を想って書いてくれてたのかなと思いました。そんなTさんに僕もお手紙を書きたくなり、お休みの前の日にTさんにお手紙を送りました。

Tさん、いつもお手紙ありがとうございます。Tさんを迷惑だと思ったことは一度もありません。いつも一生懸命歩かれている元気な姿を拝見すると僕は嬉しくなります。明日はお休みしますがまた元気な姿を見せてください。

Tさんに手紙を渡すととても嬉しそうにしており、何度も僕に「ありがとうございます」と頭を下げられました。その姿に僕も恐縮しましたが、それでも喜んでくれていたので手紙を書いて良かったと思いました。

そして休み明けの日にいつも通りTさんからお手紙をいただきました。いつもと同じ内容かと思いましたが文面に変化が見られました。

○○様、今日も頑張って3500歩、歩きました。私は元気です。また明日からよろしくお願いします。

お手紙から「迷惑をかけてごめんなさい」という文言が抜けて、代わりに「私は元気です」という文章が加わりました。

その真意は分かりませんが、もし僕からの手紙がTさんに何らかの影響を与えていたとしたらとても嬉しく思います。


現代ではデジタル化が進みメールやLINEなどのツールにより手紙を書くという機会がほとんどなくなっています。しかし手紙というのはデジタルにはない良さがあると思います。同じ言葉だとしても相手の受け取り方や温もりが全然違ってくると思います。

今回、手紙を書く機会があった事でその温もりを思い出すことができて本当に良かったと思います。

ちなみにTさんは僕からの手紙をお部屋の仏壇に飾ってあるそうです(笑)

そこまで信頼されると管理者冥利に尽きますが、あるスタッフが変なことを言っていました。

「あれは信頼というより惚れてるね。間違いない。乙女の顔をしてる」

「いやいやそれはさすがに無いでしょ(笑)変な事言わないでよー」

と笑って済ませましたが、その日から妙にTさんを意識してしまう自分がいます。#この胸のドキドキは一体…


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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