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人間万事金次第

タイトルは私の個人的な思いとは何ら関係ない。以下からの引用である。

「田中の成り金的成功は、戦後日本の成り金的成功の反映でもあった。人間万事金次第、という田中の強い信念は、経済の論理一辺倒で来た戦後日本の一般的風潮でもあった。田中角栄という人は、よくも悪くも戦後日本を体現したシンボル的存在だったと思う」

この言葉は、先日見たドキュメンタリー番組の中で出てきた立花隆による田中角栄についての評論だそう。

1980年代生まれで2024年に現役世代の私からすれば、田中角栄といえば「政治とカネ」の権化のような人であり、ダミ声で偉そうなオヤジぐらいにしか思っていなかったし、政治がクリーンな印象とは真逆の世界観を醸しているのはそういうオヤジたちが元凶だとすら思っている。

でも件の番組を見て印象が変わった。

新潟の農家の出身であり、高等小学校卒の土建屋上がりで首相まで登り詰めた剛腕政治家だった田中角栄氏。

「一億総中流社会」も「都市部と農村の格差解消」も、故郷に錦を飾りたい情熱と生い立ちを考えれば間違いなく角栄氏の本心だったんだろうけど、正直いまとなってみれば、日本列島改造論でそこかしこに建設してしまった維持不可能な道路も、産業ではなく公共事業や公務員を中心にした都市部との収入格差是正策も、住宅ローンでどこにでも新築の家を供給しその後の大量の空き家問題を生むなど、角栄氏の政策が様々な現代社会の課題の元凶になっていることを思うと、一時代の功績より副作用として現代に残された功罪の方が大きく見えるのは私だけじゃないはず。

それでも番組の中で流れる、まだ大臣時代の田中角栄氏の豪邸、通称「目白邸」を大物政治家や陳情客がひっきりになしに訪れる様子は迫力があるというか、「これが昭和のパワー」とか「時代を味方につけたドン」という見るものを圧倒する力があります。

苗場のスキー場(西武の堤義明氏が新潟を観光開発したというのも驚き)も富士急ハイランドもみんなこの時代の恩恵を受けて栄光を掴んだことは、私を含め40歳以下の人は意外に知らないんじゃないかな。

他の地方が豊かになっていくのを目の当たりにした地方団体はこぞって「目白詣で」したそう。
個人の家を1日に200人もの人が訪問するとか現代ではマジで考えられないロビーイング。こんな時代あったんだ・・・とおじさんの革靴で渋滞している玄関の映像に目が釘付けでした。

その目白邸が先月2024年1月にほぼ全焼したというニュースがありました。この番組を見て、そのニュースを聞いたらなんというか「”象徴的な何か”が終わったんだ」と感じさせられました。

冒頭に出てくる通り、1970年代はまだ日本が先進国に仲間入りする前であり、豊さ=金・物質主義的でしかなかった時代でもあったのでしょう。

政治家の栄枯盛衰はドラマチックなものが多いけれど、意外だったのは田中角栄氏の在任期間。その実2年数ヶ月だったと知って、ここまでその後の日本社会に与えたインパクト(とスキャンダルの規模)が大きかった人は他に類を見ないんじゃないでしょうか。ネットフリックスあたりでそのうち超大作作ってくれないかな。

だって、オチ(失脚の原因)は田中角栄の金脈を暴いた
”文春砲”なんだよ?

しかも、そのネタを国内の大手メディアが報じなかったから、結局外国特派員協会の記者会見で厳しく追及が始まるという始末。


おい

おい

おい


50年前と同じことやってるやん令和!!



旧態依然なのは政治よりもマスコミなのかもしれない。

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