三十路インタビュー: Andreas Dose 活動家&教育家 2/2

さて前回の最後の最後に出た、彼のプロジェクトについて今回はいろいろと話をすすめていきましょう!の前に,,,

>>まず会社でどんな働き方をしていますか?<<

若者の支援のプロジェクトを担当している。今は40時間のフルタイムで15歳から18歳までの5人の面倒を見ている。(一番多くて10人らしい)
このプロジェクトの参加条件は義務教育(ドイツは8年間の間学校にどんな形でも在籍していれば義務教育を終えたことになるという、なので中卒くらいの若者である)を終えていることだけであとは27歳以下ならオッケー。私が面倒みているチームはグループは鉄鋼関係の職業訓練のようなもの。ここで三か月から一年半ほど一緒に学び、一緒に生きて彼らが次の道を見つけるのをサポートしている。彼らは数学などの授業もあるが基本的にはほぼ毎日私のところに来て何かしらの課題が与えられるんだ。

私の希望としては、ここの生活を通して彼らが生きる感動を味わって社会に対して信用を持ってもらいたい。最近はコロナのせいなのかか若者の精神的な問題がかなり増えているらしい。しかしその気持ちはわかるし、自ら孤独に走っていく人もいるよね。学校にも行かずにずっとゲームとかすることになってね。そういった人は難しいね、人と関係を築くことを学ぶのは簡単なことじゃない。難しいんだよ。

ある自閉症の若者がいてね、最初は一人で外を歩けなかったんだ。でもここに来るようになり始めて一年半後には一人で会社まで来れるようになったんだ。何が言いたいかというとね。人は寄り添う人が必要だし、その中で経験を積んでいろいろと乗り越えていかないといけないんだ。そんなことだね。


>>感情の日記 (Tagebuch der Gefühle) について説明お願いします!<<

上の仕事とは別に「感情の日記」というプロジェクトをやっている。私の嫁さんもこのプロジェクトを一緒にやってるからね、いわゆる嫁さんともちゃんとプライベートの時間を一緒に過ごせて嬉しく思ってるよ。

これですよ

この企画は単純に行ったら、若者がアウシュヴィッツの強制収容所に行ったりして、その時の気持ちを書き残そうというもの。ただ若者にいろいろと経験させたいと思ったんだ。もちろんコンセプトとしてはアウシュビッツに行けない人、行けなかった人などの、いわゆる、教育機会に恵まれなかった人をアウシュビッツに連れて行くだけだよ。彼らの気持ちや感情、そして経験をまた他の学生も読めるようにする。そのために文章として残したところからこの企画が始まったんだ。そしてある学校の生徒が参加したいということなど重なりどんどん芋づる式に増えていったんだ。その企画に参加した人がまた学校で発表したりする機会をわざと設けたりもした。これを見てた時に、話す、聞くということこそがやはり民主主義の基本だということを確信したんだ。この感情日記だけじゃなくてさ、誰かが問題を抱えていて、サポートが必要だとか「話すことができて、聞くこと」ができていれば現在のAFDがここまで躍進することはなかっただろうなと思う。(AFDは比較的新しいドイツの右翼政党で2024年現在、大奮闘しております。)

勝手に話を進めるけどさ、実は昨日もアウシュヴィッツ強制収容所を訪問したんだ。昨日はなんと視覚障害を持っている学生を連れて行くことができたんだ。参加者は感謝の気持ちを表してくれたし、常日頃感謝を表現している人たちだなと思った。いつかダウン症と言われる精神障害を持っている人たちとワークショップをしたときにも思ったんだけどね、彼らは当時を生きていればナチスドイツの被害者だったんだよね。ナチスドイツは合計で約30万人の障害を持っている人を強制収容所に送り大虐殺を行ったんだ。

悲しいのはそれなのに現在でもアウシュヴィッツ強制収容所はバリアフリーでもないんだ。だから障害を持っている人が訪問することは簡単じゃない。さらに驚いたことに障害を持っている者への義務教育でもナチスについての歴史がほぼないと言われてねそういったこともあって、今回の障害を持っている人たちはとても感謝してくれたんだけどさ、ひどいよね。こういうことも含めて、このプロジェクトをしていると心が躍る気持ちになるんだよ。なんというか、食べ物とかじゃない満足感だよね。食べて終わりじゃないってこと。笑

今回のことを通して障害を持っている人が抱えている社会における疎外というものが感じられた。それは私が現在面倒を見ている「チャンスに恵まれない」学生たちと同じなんだよ。家庭に問題があったりしている子がこういった歴史を学ぶ機会がないこと、そして障害を持っていて特別支援学校に行っている人は両方とも社会から孤立し、社会のことを学ぶ機会が奪われているんだ。

障害を持っている人は自分の障害だけでなく「社会の中にある障害」をも乗り越えていかないといけないんだ。健常者との差は本当に大きいと思う。学校に行くにしても、仕事するにしても一つ一つの条件を見たり、しなければならない。そういう意味でも今回の視覚障害の人をアウシュヴィッツに連れていくプロジェクトは大成功だった!(以下プロジェクトについてのYouTubeです)


>>今週末にあるプロジェクトの下見としてニューヨークに飛ぶということを聞きましたが、、<<

個人的にもニューヨークというのは小さい頃からの憧れの地だったんだ。笑 私はBronxで一週間過ごすんだけど、そこは私が好きなソーシャルワーカーであるHarry Belafonte (ハリー・ベラフォンテ - Wikipedia)が働いていたところなんだよ。彼はそこで社会的な弱者である家族や若者を支援する中でブレイクダンスを踊ったりして、それを映画にしたんだ。だから実際に彼が生活をしていたところで彼の足跡を辿れることはとても楽しみだね。


他にはユダヤ人が多く住んでいる地域にも行ってみたいんだ。そこはイスラエルに次ぐ大きなユダヤ人コミュニティがあるんだ。並行して来年の夏にドイツの学生がそのユダヤ人コミュニティと連動して、ホロコーストの慰霊するプロジェクトをゲーテインスティテュートと企画しているんだ。その準備も混みでね街を歩いてみたいんだ。そこのコミュニティは1945年以前以降にドイツをはじめとしたユダヤ人がヨーロッパからたくさん移り住んだと聞いているんだ。

そして、作家のピーターワッツマン (Peter Wortsman)も訪問するんだ。彼の両親はナチスに迫害されてニューヨークに移り住んだんだ。彼は小説家でもあり、ドイツ語と英語の翻訳家でもあるんだ。彼は私と似たようなナチスの迫害とか、強制収容所とかの記憶をテーマにしていてね、最近演劇にも力を入れていて、彼の本で「タトゥーをした男」という強制収容所の中での話を題材にしたものを書いてね。なんどかハレにもライプツィヒにも来たことがあるんだ。私たちの次回のプロジェクトにゲストで参加してくれないかと打診することはもちろんだが情報交換をするんだ。彼はニューヨークに住んでいてね、彼は私をその家に招待してくれたんだ。


Halle の図書館で朗読会があったとか、、


他にもね私はコミックが大好きだからね、それを現地で買いたいな、なんて思ってるんだ。知ってる?マーブルヒーローズもDCコミックスもさ、ヨーロッパから亡命した多くのユダヤ人が関わっているんだよ。もし見れるなら、スーパーマンがナチスや日本と戦ってるヴァージョンのコミックが欲しいんだけどな。笑 もういいか。笑

>>来週にはこの町では市議会選が…<<

最近政治はさらに騒がしくなってきているけどね、私はその大きな要因には私たちのこの安定した生活があると思っている。なんというか持て余しているんだろうか。戦後二代目、三代目に入ってね、余裕が出ているのにも関わらず、人の欲は増している。そして大衆政治はさらにそういった欲を増長している気がする。そして自分よりも弱いものや下のものを探して満足している。それが現在の外国人排他運動の基本にあるような気がする。

ソーシャルメディアもそういったことを助長しているよ。本当の問題は現在起こっている問題だけに着目しないことだと思っている。そのための歴史から学ぶ態度というものが少なくなってきていると思う。
インターネットでも次から次へと流れてくる情報に溺れてしまっている。私たちの企画にも挨拶しに来てくれた政治家も、その一瞬は弱者の気持ちに寄り添ってはくれるが、その場が過ぎればすぐに忘れるんだ。そういった意味でも記憶というテーマでこれからも関わっていかなければならないと持っている。



>>最後の質問になりますが、あなたにとっての幸せとは?<<

あなたにとあなたにとっての幸せは。。

私にとっての幸せとは、大きな家族でいること、つまり子どもに子どもができて一緒に生きていくこと。そしてすべての人が飢餓などに苦しまないこと。そしてもちろん、戦争がないこと。そして最後に、健康でいること!



ということで久しぶりのインタビュー無事に終わりました。この前のインタビューはもはや五年前!久しぶりすぎてなんだか質問もぶれぶれだった、、と反省しております。今回インタビューさせていた同僚は、私たちの住んでいるHalleの労働組合の組合長に立候補していたりなかなかこの業界じゃ顔が利くらしい。はたまたピエロの訓練も受けていたみたいで、(以下写真あります)昔は病院などに行ってはボランティアをしていたそうな。そしてこのインタビューの中でも登場する感情の日記は、社会貢献などの賞を総なめにしたとか、ペロッと舐めたとか。いや、とにもかくにも彼の話が終わらなかった。。

やはりドイツの活動家、やはり粋が良いでした。と勉三の一言で閉めさせていただきます。また次回お楽しみに!終わり。


これが彼のもう一つの顔ピエロだそう。

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