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カチカチ粘土とシン朝鮮唐津の話

5月23日 晴れ

本日のBGM Robert Lockwood Jr.


取り込むのを忘れてた粘土がカチカチになってました。

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粘土は取り込む段階では、半分液体みたいな ゆるめの結合のぐらいの状態が良くて、それを日陰に移して水分を飛ばすのがベストなのですが、最近の好天と乾燥とで 思ったより乾きが早かったみたいですね。

まあこの手の失敗を私が今までにしてないはずがありませんので、対処法はバッチリです。まず乾き具合が酷くなかったものは、これ以上乾く前にすぐさま文明の利器「土練機(どれんき)」↓にかけます。

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この↓四角のまま乾いてしまうと、端の方がかたく、真ん中が柔らかくなってしまうので、それを土練機にかけてパワープレイで混ぜたろうって作戦なのですが、これに使う土練機↑が かなり古いタイプなので、たぶんきれいには混ざってくれず、粘土の中にかたい異物a.k.aコロンコロンができてしまい すごく作りにくくなります。

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まあでもそれは使う時にコロンコロンありそうだったら また土練機にかけるということでとりあえず解決!今直面していない問題は一旦 先送りにしましょう。未来の自分に期待!

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次にこのカチカチに固くなった粘土は、土練機にかけるとスクリューに噛み込んでモーターがいかれちゃうので、このままでは使えません。ですがカチカチ粘土でも水分が戻ると土練機にかけられるくらい柔らかくなるので、軽く絞ったタオルをカチカチ粘土に巻いて、じわじわと水分を浸透させるために人類の叡智ビニールの中に入れて1日くらいおいときます。

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次の日に触ってもまだかたければ、またタオルに水を含ませてから粘土に巻きつけて、また1日おいておきます。後は柔らかくなるまで繰り返すだけ。解決!ちなみにこのタオルは3日以上 連続で使うと繊維が分解され始めてボロボロになっていくので、2日ごとに変えた方が良いです。


お次は おとといくらいに還元で焼いた窯から器を取り出しました。

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これは鍋用の器で、注文主が黒の艶消しの釉薬が好きなので、その釉薬を外側にかけて、内側はわら白釉をかけて焼いたものですが、出来上がったみたら なかなかいい色になっていて、この2つはアリな組み合わせなんじゃないでしょうか。

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黒釉ベースに上だけ白をかけるという釉薬の組み合わせは「朝鮮唐津(ちょうせんがらつ)」と言って、あがの焼でも作られてきた伝統的なスタイルの器になります。朝鮮唐津、いつか作りたいなと思っていたけど、もうこれでいいんじゃないかな。この色はいろいろと使えそうです。

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あと今回良かったのは「岩漿(がんしょう)」というお皿↓で、マグマという意味なんですが、冷えかけの溶岩っぽい感じの釉薬で、還元焼成したら渋々な仕上がりでした。

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まあ全然お皿っぽくないですけど、今後はニッチな需要にも先回りして創作していかないとね、もうそれ大事なやつですから、ニッチ、大事、そうニッチ、サッチ、落合の嫁あわわわわ。

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このお皿もいつかどこかで使ってもらえると思いたいですが、今回の窯でのメインは上の2つではなく別の釉薬の器で、それをきちんと焼き上げるための窯だったのですが、そういう焼きなれたものと同時に、何かしら新しいものの実験もして焼いています。

生まれ持った性分もあると思いますが、新しいものを試していると結果を楽しみにワクワクすることができます。しかも実験だから どれだけ失敗してもいいので気楽です。同じものばかり作ってるといつの間にかモチベーションってやつは下がってしまうみたいですからね。気楽なものもおりまぜてやっていきましょう。


おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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