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それでいいのか?

今日は、仕事に対する姿勢、考え方みたいなもので最近感じたことを書いてみようと思います。
今、リフォームプランを作成中の現場がありまして、何度かお客様にヒヤリングをして、大体の希望をお聞きすることができ、予算もおおよその金額が出てきました。当初1500万円の予算でということで進めていましたが、売却予定の土地が思うように買い手がつかなくて、もしかしたら予算を少し下げなければいけないかもしれないと、連絡がありました。

まず、お客様の希望をすべて盛り込んだうえでのプランを作り、積算すると1500万を大きく上回るものになりました。
次はそれを予算内に収めるために、出来ること、出来ない事を分類していきます。
何百万単位で落とさなきゃいけなので、当初のプランからはかなりかけ離れてしまいます。それでもお客様の希望や理想に少しでも近づけたいと日々悩んでいたところでした。

昨日のことです。うちの会社には、若い大工が2人います。
そのうちの1人はこの3月に晴れて独立をすることになっています。
その彼は、若い職人には珍しく、職人気質でこだわりも強い人間です。
自分の技術を存分に発揮できる現場をやりたい、現代のプラモデルのような家ではなく、昔ながらの日本建築をやりたいのです。独立の理由もそれでした。それ自体は何も悪くなくて、むしろそんな現場を取ってこれなくてごめんね。です。
そんな彼に、何気なく「予算が下がるかもしれないから、悩むわー」って言ったんです。すると

「そのお客さん夢がないですね」「夢がないお客さんの仕事するのはテンションが上がらないですよね」

私、「?」

彼は止まりません。

「結局、予算削られて今までと同じような仕事になるだけですもんね。」

私、「!」

それは、すなわち、お客さんとわが社の今までの仕事を同時に否定しているのか?

まだまだ、止まりません。

「僕はたくさん勉強して、知識詰め込んでくるお客さんの方が、いいですね。答えがいがあるし、何にも知らずにお任せしますみたいな客は正直意味わかんないです。お金がないんじゃうちのカラー出したくても出せないっすよね。」

横で聞いていた専務の表情が変わっていくのが見えたので、けんかになると思い、少し口を挟みます。

私、「お前は、金があるなしで、これから客を選ぶんか?何の考えも無しにお任せしますって言う客はおらんよ。失敗したくないから、自分たちより経験も知識もあるだろう俺たちに判断を任せてくれるんじゃないの?そりゃお金があれば、希望通りに何でもできるよ。腕も振るえるかもしれん。だけどみんながみんな潤沢な資金があるわけじゃない。必死に金策して、それを俺らに託してくれてるんだろ。その中でいかに理想に近づけてあげられるかが、プロの仕事なんじゃないの?お前が大工になって飯食わせてくれてるのは、俺でも会社でもないぞ。そういうお客さんに俺らは飯食わせてもらっとる。お前の上昇志向もいいよ、けどそれを忘れたら、お前の仕事なんてただの自己満足で終わるぞ。まして独立して今度は仕事選びますなんて、そんな事言ってたら、今後お前が独立してもうちの仕事は出せんわ。うちのカラーは単なるデザインでも工法でもない。お客さんの理想に近づける。より完璧に近く。だから、予算がないから、テンションが下がる、とかあり得ないから。お客様あっての職人だから。そこ、履き違えるな。少なくともうちにいるうちは。」

言い過ぎたかな・・・

私の考えの押し付けなのだろうか?

彼には独立して成功してほしいし、応援もしたい。
もう一回、自分が何に支えられてきたのか、なんで職人になったのか思い出してほしいな・・・

今日はこの辺で。


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