見出し画像

4度目のスーパーGT観戦。(その2)

警察車両が退いてフォーメーションラップとなり、隊列がコースを一周してくると、最終コーナー手前でセーフティカーがピットへと向かった。

二列縦隊のマシン達がゆっくりと最終コーナーを下っていく。

2016年のSound of Engineで見たデモレース以来の、目の前でのローリングスタート。

シグナルとマシンを交互に見つめる。自分の席では予選7、8番手辺りのマシンが目の前を通過する頃に、一気に各マシンがアクセルを全開にした。

「うおー!」

一気にテンションが上がる。

あっという間に1コーナーへとマシン達が消えていき、続きをモニターで見ていると、すぐにGT300の隊列が最終コーナーを駆け下りてきた。

前に書いた通り、GT300のマシンの方がエンジン音が全体的に大きくて台数も多いので、目の前を全開加速する時の音はとてつもない迫力で、エクゾーストノートというより地響きだ。

スタートはこの目でしっかりと見ておきたかったので、2周目から動画や写真を撮った。

マシンの集団が通り過ぎると、ものすごい音圧で耳だけでなく全身がビリビリする。

できるだけ生の音を楽しみたいと思ってイヤホンをせずに見ていたが、しばらくすると頭が痛くなってきたので、イヤホンを付けて場内放送を聴くことにした。

タイミングモニタアプリ「RaceNow!」でピエールさんの声を聴きながら、タイミングモニタを確認する。

以前はまともに動かなかったが、今回はちゃんと動いてくれて、各車のセクタータイムやギャップを見ながら楽しめた。

また、これまでの反省を踏まえてモバイルバッテリーを持って行ったので、バッテリー切れの心配も無く楽しめた。

レースは、GT300クラスでスタート後すぐにピットに入るマシンが何台かあり、これが今回の明暗を分けることになった。

両クラス共に大きな混乱も無くスタートし、それぞれのトップが独走体制を築こうとしていた6周目、18号車UPGARAGEのタイヤが外れてFCYになった。

すると、すぐにそれがSCへと切り替わり、スバルのファンシートから溜め息が漏れるのが聞こえた。

SCが終わりレースが再開されると、61号車スバルは再び逃げの体制に入るが、早めにピットインしたマシンたちのペースが非常に良く、義務をこなしたこともあって、見かけ上のトップを行く61号車を横目に事実上のトップ争いを繰り広げることになった。

GT500の方は、レースを三分割して前半スティントでドライバー交代をするチームと後半で交代するチームに分かれたような展開となった。

今回はヨコハマ勢が予選だけではなく決勝も好ペースを見せて、いつもはじりじりと順位を下げてしまう19号車がトップ争いを繰り広げることとなった。

両クラスでそれぞれ打倒ワークスを掲げている坂東さんのチームと土屋さんのチームを応援しているので、両車とも上位を走っていて嬉しかった。

実況に耳を傾けながら、目の前を通り過ぎるマシンを時々撮影する。

序盤に少し荒れたものの、それ以降は前戦と同様に落ち着いた展開となって、ピット戦略で順位が入れ替わる展開から迎えた終盤。

GT500は3号車以外がピットを終えていて、3号車はどこまでピットを引っ張るのだろうか考えていた時に、とんでもないことが起こった。

大型モニターの画面が、シケイン側から130Rの方を望む映像に切り替わった瞬間、スピンするランボルギーニと飛び散る部品が映し出された。

部品の飛び散り具合からランボルギーニ単独ではないことと、なにか大惨事が起こっていそうな想像はついたが、情報が無かったので、場内放送のみが頼りとなった。

すぐにSCとなり、少しして赤旗となったので、結構な大事だなと思った時に、ピエールさんが「87号車と23号車だと思われます。」という放送をした。

すぐにタイミングモニタアプリを見ると、たしかに87と23だけセクター3のタイムが入っておらず、一周していないことがわかった。

ピエールさんが「もしクラッシュを見てご気分が悪くなりましたら、係員にお声掛け下さい。」と放送していたので相当な事故だと思ったが、それでもこの時はまだガードレールの修復を終えたら再開すると思っていた。

全てのマシンがホームストレートに戻ってきてエンジンを止めた後、事故車がキャリアに積まれてピットに戻ってきた。

87号車の損傷も酷かったが、23号車はカウルがほぼ全て吹き飛んでいて、ひしゃげたフレームが丸見えになっていた。

ピエールさんから「87号車の松浦選手は自力でマシンから降りていて無事で、松田選手も意識はあり大きなケガはないようです。」との放送があり、観客席から拍手が起こった。

そこからまた少し時間を置いて、ピット裏からドクターヘリが飛び立って行ったので、観客席がざわつき、松田次生選手が本当に大丈夫なのか、とても心配になった。

残り17周、超スプリントで再開するのか、このまま終わるのか、最大延長時刻の17:30まで1時間半ほどあったので、どちらもあるなと考えていたところで、ピエールさんから新たな情報が…

「この赤旗をもって、レースは終了ということになりました。」

やっぱりか、というのが最初に思ったことで、松田選手のダメージがとても心配だった。

そして次に思ったのが、パルクフェルメウォーク&表彰式が行われるのか否かだった。

帰りの混雑を考慮して席を立つ人達も多かったが、レースが早く終わったこともあって、しばらく待ってみることにした。

するとすぐにピエールさんから「パルクフェルメウォークは実施するとのことで、準備に入ります。」とのアナウンスがあった。

ただ、赤旗中断のまま終了したので、マシンはいつものようにコース上に斜めに一列で並ぶのではなく、GT300とGT500を分けた二列縦隊でグリッド上に並んでいた。

そして準備の様子を見ていると、立ち入り禁止のロープの張り方が、マシンを囲むのではなくコースと芝生の境目に張っていたので、マシンの近くには行けないんだなと思った。

その後すぐにパルクフェルメウォークが開始されたが、入り口に向かうと入場者が溢れていたので諦めて、最初に買うか悩んだキャップを再び見に行くことにした。

試しにキャップを被ってみる。鏡が無いので、スマホのカメラで確認した。

「レース終了時点で、19号車は3号車に次いで2位だったけど、3号車は規定のピット回数を消化していなかったので、きっとペナルティが課せられて、繰り上がり優勝になるに違いない。そうすれば、2016年のタイラウンド以来の2勝目となる。そうなってほしい!」

そんなことを考えながら、キャップを持ってレジに向かった。

良い買い物をしたなととても良い気分になって、バスを待つ長蛇の列に並んだ。

次の鈴鹿は8月末、真夏の決戦となる。

また同じ日陰の席が良いが、いずれにしてもキャップは忘れずに被って来ようと思いながら、帰路についた。

(その後6/12に正式結果が発表され、19号車の優勝が確定した。また、一時ICUに入院していた松田次生選手は一般病棟に移り、ご自身のTwitterも更新されて無事を報告しておられた。)

Koshichi Museum by Muuseo
https://muuseo.com/Koshichi-museum

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?