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インフォームドコンセントをSIerを筆頭としたBtoBビジネスに応用する方法を考えてみる

はじめに

医療の世界ではインフォームドコンセントという概念が叫ばれて久しくなりました
これは元々、患者と医者では医療に対する知識格差が大きいせいで、患者の期待していなかった望まない治療がたびたびおこなわれていたことが社会的に問題となったことから端を発し、やはり主役は患者であるからして、患者ファーストで医療を考え、患者にはお医者さんからの丁寧な説明を受けたうえで両者同意のもと円満に治療を行っていこうよという概念です

さて、よくよく考えるとこれは医療に限った話ではありませんよね?
顧客と提供者の知識格差が大きくて、かつ、事故が起きたら顧客側の想定以上の損失が出るようなBtoB事業はこの医療における患者とお医者さんと同じような状況にあるといえます
ということはこれらに当てはまるような事業活動を行っている企業はインフォームドコンセプトを応用できるのではないでしょうか?

そして、患者とお医者さんの関係に最も近いのがSIer業界でしょう
ですので、今回はSIer業界を念頭におきつつ、BtoBビジネスにインフォームドコンセントが応用できないかを考えていきましょう

さて、適用する前に、インフォームドコンセントについてまずは知っていきましょう

どのように説明すれば患者との同意を取りに行くのでしょうか?
手法が確立しているかもしれません



インフォームドコンセントについて

そもそもインフォームドコンセントってなんぞ?というところがあると思うので、確認しておきましょう
日本医師会のHPによると以下のように表示されています

インフォームド・コンセントは、患者の「自己決定権」(right to self-determination)の存在を前提として、医療過誤が証明できないときに医師の民事責任を追及するためにアメリカで誕生した法理論であり1)…

https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/b02.html

医師会の内容を読んでいると、インフォームドコンセントに対する医師会のスタンスが見え隠れしていて面白いのですが、そこを突くのは邪推というところです
ちなみに、インフォームドコンセントが今これほどまでに重要視される背景には、日本の司法が患者を優先することにしているからです

インフォームドコンセントを守らないと医師を罰則するという国家権力がインフォームドコンセントが日本に普及した原動力であると言えるようです

ほうほう、インフォームドコンセントが普及した背景が分かりました
では、インフォームドコンセントとはどのようなものでしょう
どういう説明をしたら患者に納得した説明をすることができたと言えて、同意を取り付けらるのかについてのガイドラインがきっとあるはずです……

探してみましょう


インフォームドコンセントのガイドラインを探したがこれといったものがない

驚きの事実です
探してみましたが、これだ!というものがありませんでした

残念ながら完全に明文化されたガイドライン(コレコレこういう説明をしたから、説明したこととしてOK)というものはないようです

ない理由としては、現在医療業界と司法でバㇳっている最中で、どこまでがアウトかがまだグレーゾーンだからっぽいです
仮に司法が完全に勝利した場合は、司法側でコレを守れよというインフォームドコンセントのガイドラインができるようになるのでしょう(逆に作らなかったら普通にクソ)
現在は医療側が個別に独自のガイドラインを作っており、個別に防衛している状態なようです

そのため、インフォームドコンセントを理解するためには究極的には、医師が罰則を受けた判例を読み込んで、ダメなケースを集めたうえで独自にガイドラインを作っていかないと学べない状態でした
これはちょっと私の立場としてはしんどいです
そこまでインフォームドコンセントを理解するために労力を使うつもりではありませんでした

これでは、インフォームドコンセントを、他の業界に応用しようとしてもできません

どこかが独自で使っている患者への説明ガイドラインはあるので、それを一通り読んでみましたが、要約すると、基本的にきちんと説明しようねレベルの話しかしておらず、こ「の手順を踏んだらインフォームドコンセントを守ったものになる」ときちんと明文化したガイドラインはなるのかわからない状態でした
医師に対して患者に説明する際の説明と同意を強いるわりには、ガイドライン自体は読み手の医師への説明と同意は取れていなさそうだな~と思ったりもしましたが、それは今邪推というものです

ただ、詳しく書いている病院はそこそこあったので、そこの書いている内容を参考にして、SIer業界に応用してみようと思います


近大病院のガイドラインを参考にして、SIer業界で顧客への説明のガイドラインを作ってみる

近大のウェブサイトを見たら詳しく書いていたので、今回はこちらを参考にしてみようと思います
この内容をSIer業界で顧客にITシステムを説明するときのガイドラインに応用できないかということを考えてみます

インフォームドコンセントを満たすために説明するべき項目が書いてあるので、それを抜き出してみます

1. はじめに
2. インフォームドコンセントの定義
3. 説明すべき項目と留意事項
 3-1 病名と病態
 3-2 診療方針
 3-3 期待される効果
 3-4 検査、手術等の実施体制や付随する危険性
 3-5 診断、治療に要する入院期間の見直しや費用
 3-6 代替手段
 3-7 自由な意思表示の保証
 3-8 医師の記録について
4. 説明文書を作成する際のポイント
5. 説明実施時間
6. 説明同意取得時の説明補助者について
7. 説明同意(IC)取得の流れと説明補助者の業務概要
8. 特に配慮が必要な患者への対応
9. 院内での実施推進体制の整備について

https://www.med.kindai.ac.jp/about/informed_consent.html

かなり参考になりそうな項目設定です
これをSIerや他のBtoBサービスにおいて顧客に対しての説明に上のような項目を押さえられるようにしたらインフォームドコンセントを別業界でも応用出来ていることになりそうだよねということが言えそうです

1. はじめに
2. インフォームドコンセントの定義
3. 説明すべき項目と留意事項
 3-1 提案内容
 3-2 (同上)
 3-3 期待される効果
 3-4 リスク
 3-5 期間や費用
 3-6 代替手段
 3-7 自由な意思表示の保証
 3-8 記録について
4. 説明文書を作成する際のポイント
5. 説明実施時間
6. (説明同意取得時の説明補助者について)
7. 説明同意(IC)取得の流れと説明補助者の業務概要
8. 特に配慮が必要な顧客への対応
9. 実施推進体制の整備について

コンプライアンス担当部門が推進してそうな内容になりました
ただ、まあ、やってみて思いましたが、医療業界のガイドラインをBtoBビジネスにそのまま持ち込むのは無理がありましたね
抜けてる項目まだまだありそうです

ただ思うのは、企業のコンプラも年々厳しくなってきているので、もしかすると顧客に対する説明責任が医師並みに求められる時代が来るかもしれません
そういう時にどのような感じになるのでしょうね


おわりに

まあ個人的には客を甘やかしまくる風潮は嫌いですが、説明と同意に関してはあればあるだけトラブルなく業務も進むのでならえるところはならったらいいのではないかと思います
そういう意図で今回インフォームドコンセントの話題を出してみました


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