借金、無職、実家暮らし、彼女なし。なのに幸せ。

今さっき、母親と雪道を歩いている時だった。
溢れ出るように教員時代の記憶が蘇った。自分はだめだったんだと結論づけ、何がだめだったのかを考えてばかりの日々とは違った記憶だった。

チャレンジすること。やりたいことをどんどんやっていくこと。子どもたち一人一人が、クリエイティビティを発揮してどんどんやりたいことをチャレンジしていくことができるクラス。学級担任だった僕自身が新しいことにチャレンジしてみることが好きだったから、自然とクラスの子どもたちも新しいこと、ワクワクすることをチームで協力し合ってやってみる。

でも当然うまくいかない。正直楽しいものにはならないし、期待したように周りの友達もそのイベントに前向きに参加することはしない。「来てください!」と呼びかけたところで集まるのは決まった友達だけ。元々仲の良かった友達の数人しか集まらない。何時間もかけて、休みの日も削って、用意しても誰も参加してくれない。

当時担任だった僕はこの状況をよくない状況と思い込み、システムが悪いからだ、クラス経営がうまくいっていないからなどと考えていた。みんなが参加できるようにするためには、みんなが平和に楽しく成立するためにはどうしたものかと考えていた。結局自分自身を責め、企画してくれた子ども達には、がんばってるね、ほんとうにすごいよと背中を押してあげる言葉をかけるだけであった。参加しない子どもには、同じクラスメイトが時間かけて作ったイベントなんだから参加してほしいと言った。

しかし、チャレンジには必ず失敗はつきもので、周りを巻き込むことのできるプロジェクトをやろうなんて思ったらまずその壁はとてつもなく高い。うまくいかないのが当然だ。

僕自身ワーキングホリデービザを使って、オーストラリアに行った。今まで教員しかやったことなかったから、何もかもが新鮮でいろんなことに挑戦した。ユーチューバーとしての活動も始めたし、自分で動画を作って自分でサイトを作ってオンビジネスとして家庭教師も始めた、コネクションを作るために、いろんなところにできるだけ積極的に参加した。日本文化祭を開き、最後の週には参加者二十人のお祭りを開くことができた。

しかし、これらのチャレンジのほとんどは、損得で言うと圧倒的に損。圧倒的を超えて損。250万円あった貯金が全てそこをつき、今は無職。母親に5万円の借金がある現在。イベントを開くと言ってもボランティアであり、イベントのためにかかる費用はすべて実費。僕に収入はない。にもかかわらず準備のために多くの時間も費やした。オーストラリアでの滞在費は本当にバカ高いから、仕事をしなければはっきり言って住むことすら許されないようなサバイバル環境だ。

しかし、それでも楽しかったし、この経験は自分にとって何にも変え難い。なぜならチャレンジをすることは本当に楽しかったからだ。チャレンジしてみると予想しなかったことが次々と起こる。

成功するかしないか考えてて、成功しなかったから意味がない。やらないほうがいい。損するくらいならチャレンジはしないほうがいい。そうした考えを持つ人には心からチャレンジをすることはお勧めしない。チャレンジをすれば、おそらく損得で言うと損だろう。いや大損であろう。でも何が起こるかわからないところに期待しながらクリエイティビティを発揮していくこの「過程」が何よりも楽しいのである。そしてそれが生きているということ。今も家庭教師のサイトを立ち上げて、お客さんが一人もいない借金5万円の無職の僕が好きなことをやっている。何が起こるかわからないから楽しい。

教員時代、ある子供がこう言った。「僕たちYouTube始めたんだ。」
当時の僕はこう言った。『うーん、あんまり先生はお勧めしないよ。世の中には悪い人がたくさんいるから、プライバシーとか気をつけなきゃいけないよ。』

今の自分ならきっと言うだろう。「いいね。そのYouTube家帰ったらみるわ。いいねとチャンネル登録しておくよ。先生もYouTube始めたからお互い研究しようや。でも世の中には悪い人もいるから心無いコメントする人もいるけど、そんなの気にすんじゃねーぞ。負けんな。やりたいことやり続けろ。」

世間も親も先生も結果が問われる。なぜなら生活していくためには結果が最も問われるからだ。しかし人生で最もエキサイティングでインタネスティングな瞬間は結果表彰の時ではない。何が起こるかわからないものに時間やエネルギーやお金を投資しているときの「過程」である。成功体験は誰かが保証できるものじゃない。

クラスをまとめるスキルも経験もないし、授業も下手くそで、鬱っぽくなって仕事を辞めオーストラリアに旅立ち、日本に帰国し気づけば借金を背負い無職で実家暮らしをしている彼女もいない自分が今楽しいと感じている。僕は先生なんていう器ではないが、いろんなことに挑戦して、もう一度いろんなチャレンジをした上でエキサイティングな人生の物語を作り、先生としてもう一度カムバックしてみたい。







でも今はとりあえずお金を稼いでアフリカに行きたい。

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