見出し画像

2020年私的ベストアルバム

あけましておめでとうございます。

そして今更ではありますが、Note始めてみました。

今まで感じたこと、言いたいことはTwitterで呟いてきましたが、どうにも長い内容はまとめづらいし、一つのテーマについて少し長く語りたい気分になった時の気持ちのやりようがなかったので、ここは少し重い腰を上げてnoteに挑戦しようかなと。

といっても自分はモチベーションの差が激しいだけでなく、自分の感情や思考を完璧に言葉にするだけの語彙力も持ち合わせていないので、どうしても書きたくなった時にですね、思い思いに小学生並みの文章で書き綴っていこうかなと思ってます。数ある中の記事からわざわざ読んでくださった方、本当にありがとうございます。

ということで初めての記事は、Twitterで投稿した2020年リリースの私的ベストアルバムについての補足と言いますか、自分なりの感想を述べていこうかなと思います。順位をつけるのは自分如きが烏滸がましいので、リリースデートで順不同に紹介します。 

ちなみに記事の見出し画像は、去年の11月にキャンプに行った際の富士山です(朝霧JAMとかやってるところ)。




1. Mac Miller - Circles (1/17/2020)

画像1

マックミラーの遺作といえる作品ですが、ぶっちゃけ彼どころかあまりヒップホップを聴いてこなかった自分の心にですら痛切に刺さる作品です。音は最小限に抑えられ、良い意味で大雑把というか、シンプルでチルいビートに乗せて、彼のいつも以上に掠れて覚束ないように聴こえる声がどこかドリーミーで色彩豊かに響く一方で、そのリリックは彼の苦悩をリアルにかつシニカルに映し出していて、胸が張り裂けそうになります。もちろん歌詞は英語なので、ネイティブでない自分に完璧に理解できたかと言われればそうではないですが、そんなことよりも彼がフラフラになりながらも絞るように自らの真情を赤裸々に吐露するような、そんな漏れ出す一声一声が彼の最後まで生きた証として生々しく伝わってくるようで、それを感じることが唯一自分のできることだったし、もしかしたらそれこそが使命とも言えるのではないかと感じました。改めてご冥福をお祈りしたいと思います。



2. Soccer Mommy - color theory (2/28/2020)

画像2

アメリカのシンガーソングライター、Soccer Mommyのセカンドアルバムですが、このアルバムを聴く前に一聴してみたファーストよりも圧倒的にこっちの方が好みでした。というかもしかしたら今年一番聴いたアルバムはこれかもしれないってくらい聴き込みましたし、何度でも戻ってきてしまうようなそんな郷愁を煽る、この上なくノスタルジックな作品です。YouTubeのコメント欄に”生きたことのない90年代を懐かしくさせる音楽だ”というようなコメントがあったんですけど、正しくその通りだなと。90年代のグランジだったり興隆を極めたオルタナティブ・ロックのエッセンスを十分に含みながら、何よりそのギターの音色とメロディーが彼女のボーカルと合わさって本当に泣かせに来るんですよね。今年の音楽シーンに衝撃を与えるような、大傑作という訳ではないかもしれませんが、誰もが現実から目を背けたくなるこの不安定な年だったからこそ、確実に心の拠り所になってくれたと言えるような大事な作品になりました。



3. Childish Gambino - 3.15.20 (3/22/2020)

画像3

俳優業に音楽業、コメディアンにプロデューサーと、今や時代を代表するマルチ・エンターテイナー、ドナルド・グローヴァーの4枚目のアルバム。前作ではR&B、ソウル、ファンクからサイケデリック・ロックまでカバーする音楽的素養の高さを伺わせた彼ですが、更にエクスペリメンタルな部分を押し広げ、その音の底知れない実験性とアルバムとしてのクオリティを両立させたアルバムです。冒頭の"0.00"、"Algorhythm"から"Time"へのトランジションはいつ聴いても震えますし、どちらもサイケ感の溢れる曲でありながら、そのビートは頭を撃ち抜かれるようなインダストリアルチックなもので、その歌詞も相まって現在の状況へのシリアスな警鐘にも感じ取れます。その後、レトロな雰囲気のラブソングを挟み、ラストの"53.49"に雪崩れ込む展開も最高です。この"53.49"がまた素晴らしくて、跳ねるようにヘヴィーなリズム隊に彼のずば抜けたボーカル・パフォーマンスが合わさり、そこにゴスペルの祝福感もプラスされた、非常にエンパワーされる強力な曲です。彼なりの信念と、詰まりに詰まった”愛”を感じ取れるアルバムだと思います。



4. The Novembers - At the Beginning (5/27/2020)

画像4

自分はそもそも音楽に興味を持ったのが洋楽入りだったということもあって、音楽を意識的に聴き始めてからこの方9年くらいずっと洋楽ばかり聴いてきた訳ですが、The Novembersほど出会えて良かったと思える日本のバンドはいないです(断言)。エレクトロの要素を大胆に導入しながら生音と見事に融合させ、J-pop、J-rockのみならず普通のバンドでは生み出せないような音を獲得した傑作だと思います。当初は来るべき未来を想定してアルバムのラストを締め括る予定だったという"Rainbow"は、このコロナ禍で既に”始まってしまった”現状から『At the Beginning』のオープナーを飾ることになったという曲で特に印象的でした。ドラムンベースのような疾走感溢れるビートに、騒々しいようでとても心地良いノイズの音の波を乗せ、その耽美なボーカルから紡がれる「そうさ君はいつもここがはじまりさ」という一節は、今いる”ここ”を出発点として始めていけば良いんだという一筋の希望そのものです。



5. Westerman - Your Hero is Not Dead (6/5/2020)

画像5

これまでのシングル、EPも本当に素晴らしかったウェスト・ロンドンからのシンガーソングライター、Westermanのデビューアルバムですが、その高い期待を裏切らない作品です。清涼感のある麗しい音色のギターと透き通っている特徴的な声色、そして一歩間違えたらチープに聴こえがちなエレクトロニックのビートを完璧な配分で有機的に融合させているプロダクションは見事で、何よりその美しいメロディーによってまるで心が洗われるような感覚は、感じる度にまさに至福を感じるものです。そういった柔和なテクスチャーを全体的に感じる一方で、例えば"Easy Money"のような実験的な方向に振ってインダストリアルなテクスチャーを施したエレクトロ・ビートもあり、またアルバムを通して曲調からサウンドまで起伏、抑揚がしっかり付けられていて、飽きることなく一気に聴けてしまう作品です。今年一年の癒し的な存在となってくれたアルバムですね。



6. Phoebe Bridgers - Punisher (6/18/2020)

画像6

デビューアルバム『Stranger in the Alps』で一躍名を馳せたロサンゼルスのシンガーソングライター、フィービー・ブリジャーズの2作目ですが、前作からまた更に深度と多様性を増した作品です。我々の心の中の苦悩を汲むような透明感のある雰囲気は健在ですが、例えば"Kyoto"のようにロック的なアプローチを取って、ダイナミックなドラムとホーンセクションが加えられたアップリフティングな曲調は新鮮なものですし、何よりメロディーの節々にどこかオプミスティックとまでは行かなくとも、前向きでポジティブな要素を感じられることに驚きました。本人もインタビューで”悲惨な曲をポップソングのように奏でたい”というようなことを述べていて、リリックの中身はシニカルで陰鬱としていても、それを笑い飛ばそうというような意気が感じられます。今の時代に対する絶望や憂いとともに僅かな、微かな希望のニュアンスが振りまかれている素敵なレコードだと思います。



7. Fontaines D.C. - A Hero's Death (7/31/2020)

画像7

アイルランド、ダブリン出身の新進気鋭な勢いのあるバンド、Fontaines D.C.のセカンドアルバム。前作『Dogrel』は去年の中でも特にフェイバリットの1枚ですが、期待値の高い2作目でそれを優に上回ってきました。ドラムはより手数が増えて様々なリズムを生み出し、ギターの音色や表現も豊かで多様になって、バンドの表現力の成熟、円熟味を感じられる作品ですが、一方でジョイ・ディヴィジョンから続くポストパンク直系のあのひりつくような、常軌を逸した空気感は全く損なわれていません。サウンドはむしろ前の勢いだけで突っ走ったようなものからより鋭利で切れ味抜群になり、"Televised Mind"のタイトルにも現れるような現代の迎合主義から逃れ、夢や自由といったものを希求するバンドのメッセージがより明快なものになった、まさに「人生は必ずしも空虚なものではない」(Life ain't always empty、"A Hero' Deathより)のアティチュードをひしひしと感じ取れるアルバムです。



8. Sufjan Stevens - The Ascension (9/25/2020)

画像8

アメリカを代表するシンガーソングライターであり傑作製造機、スフィアン・スティーブンスのオリジナルアルバムとしては8枚目の今作。近年推し進めてきたその実験性やエレクトロ、アンビエンスを濃い密度で吸収したインストゥルメンタルな部分での集大成とも言える作品だと思いますが、個人的にやはり思うのは良い歌を歌うなぁということです。彼のユニークで、絶望感・悲壮感に溢れている特徴的な歌声はもちろんですが、リスナーにこう思って欲しいんだろうなということを強制はせずに、でも緩やかに促している感じがあって彼の強みだなと思います。その冷ややかなボーカルから生み出される、現代への問題提起やそこからまさしくアセンドするように現実を逃避する詞と、音数の少ないドラムマシン、シンセで構成されるインストゥルメンタルが深遠で荘厳な雰囲気を醸し出し、しかし同時にポップでもある。そんな絶妙なバランスを保ってる、いや絶妙なバランスとか言ってられないくらい、圧倒されるアルバムです。



9. Slow Pulp - Moveys (10/9/2020)

画像9

アメリカ、ウィスコンシン州出身でシカゴを拠点とするバンド、Slow Pulpのファーストアルバム。割と直近の作品なのでおまけ的な感じでチョイスしたんですが、これもSoccer Mommyの系譜で繋がるような、90年代のオルタナ・ロックやシューゲイズ、ドリームポップ、おそらくスローコアなどからも影響を受けた作品で、こういうダウナーでノスタルジックを煽られてグッとくるバンドは毎年いるんですけど、今年ハマったのはこれでした。でもこのバンドをシューゲイザーとかドリームポップで括るのは間違ってると思ってて、それは随所にフォークやカントリーの雰囲気が感じられたり、やっぱり根底がアメリカーナのミュージックにあるなと感じたからです。全体通しても26分で、その空気感と相まって耳にスッと馴染む作品ですし、ラストの曲のように遊び心も感じられる素敵なアルバムです。




ということで2020年の個人的なベストアルバムの感想、というかちょっとしたコメントを書いてみました。なぜ9枚かというと、Twitterでコラージュした画像を貼ろうと思った時に、9枚のやつが一番楽で、しかも作品が平等に映るようにコラージュされるからというつまらない理由です()。

去年は新型コロナウイルスの影響で大学も全面的にオンライン授業に移行していて、ほぼ家にいるステイホーム状態だったので音楽も色々と掘りたいなとは思っていたのですが、課題やらで割と忙しく、なんだかんだでメインストリームの音楽に限定されてしまいました。。。。それでも素晴らしいポップ・ミュージックに出会えた、充実した一年でした。

今年も良い音楽と巡り合って音楽ライフを充実させられたらいいなと思います。何よりこの状況下でも素晴らしい音楽を奏でてくださるアーティストの皆さんには頭が上がらないですし、その恩返し(?)のためにもしっかりお金は還元させて行きたいですね。コロナが収束に向かってまた現場で生の音楽に触れ合える状況になるように祈っています。

それでは初めての投稿で拙いところはありましたが、記事をお読みいただき本当にありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?