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コピーライターが実践する「失敗しない取材ライティング」のコツ

こんにちは。名古屋のコピーライターkosaku(@kosaku)です。4月に入って季節柄か、noteで「取材ライティング」に関する素晴らしい記事をいくつも見かけました。採用案件でニーズのある取材は年末から2月ぐらいまでがピークと言われていますので、皆さんいったん取材案件が落ち着いたのかもしれませんね。いい機会なので私もコピーライターの視点から、取材ライティングの仕事についてnoteをまとめてみたいと思います。


コピーライターが受ける「取材ライティング」の仕事はどんな内容が多い?


私のような広告畑のコピーライターに依頼があるのは、多くは企業サイトやパンフレットの中にあるインタビュー記事の取材ライティング、もしくは広告に起用された著名人が登場するタイアップ記事のライティングでしょうか。カメラマンと共に依頼主の会社へ赴き、取材対象に対してインタビューを実施。取材後に記事を書き起こすのが基本的な制作の流れです。「話を聞いて文章にする」なんて誰でもできそう?いえいえいえいえ…実際はそれなりのスキルが必要な仕事になります。

これは私の主観なのですが、ある程度規模感のある企業案件の取材ライティングは、ライターでなくコピーライターがアサインされるケースが多いような気がしています。受注した会社内のコピーライターがそのまま担当するのもありますが、コピーライターこそが取材案件に最適な人材だからです。コピーライターが持つ専門的な知識がなくとも話の要点を理解し、分かりやすくアウトプットする能力。これこそが取材ライティングにおける最も重要なコアスキルなのです。

例えば、BtoB企業のサイトに掲載される技術者インタビュー。下手に専門領域のライターをアサインしてしまうと、出来上がった文章が専門的な内容になりすぎてしまう恐れがあります。実際はBtoB企業のインタビュー記事にこそ、コピーライターの分かりやすく端的に伝える技術が必要です。一方で業界紙に掲載されるようなインタビュー記事の場合は、専門領域に強いライターに依頼するのが正解かもしれません。もしあなたが発注側の立場だとしたら、そのあたりを意識して取材ライターをアサインできると失敗を最小限に抑えられるでしょう。

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コピーライターが取材ライティングで実践していること


ここからは取材ライティングの際、コピーライターである私がそれぞれのフェーズで実践していることを紹介していきたいと思います。ただ取材と言っても色々あるので、ここは分かりやすく企業サイト内にあるインタビュー記事の取材ライティングを想定したものと考えてください。
取材ライティングの仕事は、納品までに大きく分けて3つのフェーズがあります。【①準備】→【②取材】→【③ライティング】です。

①取材の準備として何をするか?

「仕事は段取り8割」という格言があるように、取材ライティングも準備が一番大事です。私は取材する前に次のような準備をしています。

・取材企業の情報収集
・事前アンケートの制作→展開
・インタビュー記事の大まかなプロット制作

取材企業の情報収集は文字通り、対象のことを可能な限り事前に知る努力をするということです。今は主にネットで情報収集を行うのですが、企業サイトのチェックはもちろんのこと、業界内での記事も探して目を通しておきます。正直、かなりの時間を要する作業です。しかしこれをするのとしないのとでは取材時の負担が大きく違います。事前にしっかり勉強をしておけば、取材本番でメンタル的に追い込まれることがありません。そしてどうしても時間がない時は【採用データ 企業名】で検索すると出てくる、○○ナビの学生向け採用データページを調べます。分かりやすく端的に情報がまとまっているので、短時間で企業を知るのに便利です。

次に、ExcelかWordで制作した事前アンケートを、取材対象の方へ展開します。事前アンケートには所属と肩書き・名前(ふりがな付き)・入社年と取材当日の質問リストがあり、すべて記入できるようにしておきます。加えて、事前に記入済みアンケートを回収してもらえるよう取材先にお願いできれば完璧です。取材当日の質疑応答がとてもスムーズになります。

最後に、インタビュー記事の大まかなプロットも事前に制作してしまいます。勘違いしてほしくないのが、決して自分のシナリオ通りに取材を進めたい訳ではありません。ある程度取材前に道筋のイメージを付けておきたいということです。イチローは試合前の準備について「考え得るすべてのことをこなしていく」と言っていましたが、コピーライターも事前に考え得るすべてのことをこなしてから取材に臨みたいものです。

②当日にどう取材をしているか?

準備をしっかり済ませておけば、取材日に多くのことを考える必要はありません。ひとつだけ意識するなら、プロらしくリラックスした態度で取材に臨むこと。取材される側はそれなりに緊張しているので、こちらも緊張していては会話が弾まないのです。アイスブレイク的な話題から入って、後は質問リストに沿ってインタビューをしていきましょう。事前アンケートを渡していれば相手も事前に答えを準備してくれているはずなので、話の中で気になる箇所や分からない点について深掘りする余裕も生まれます。ちなみに取材にセンスは一切必要なく、完全に場数がモノを言います。私も基本的には他人と話すのが苦手な人間なのですが、取材は場数を踏んでいるので大丈夫です。

③上手にまとめるライティングのコツ

取材を終えた後は、なるべく早めに原稿制作に取りかかります。ここからは人により様々なやり方がありますが、基本はICレコーダーの録音データを聴き返しながらテープ起こしをすることから始めます。取材慣れしているライターは、録音データをすべて聞かないことも。取材の際に原稿にしたい話が出た時間をメモしておいて、録音データの必要な部分だけを聴けば良いのです。

推敲前のベース原稿がひとまず完成したら、いよいよ文章の編集を行います。取材初心者が陥りがちな失敗として一番に挙げられるのが、聞いた話をすべて盛り込んでしまうという失敗です。インタビュー記事には大抵文字数制限がありますし、重要な内容を端的に伝えるためにはムダな内容をスッパリ切る勇気が必要と心がけてください。時間をかけて取材した内容が、すべて愛おしくなってしまう気持ちも理解できます。ですがそこはシビアな目で見ること。その文章は初見の人が読んだとして、理解しやすい文章になっているでしょうか??

原稿が9割程度まとまれば、いよいよ完成に向けたラストスパート。誤字脱字や表現のかぶりを丁寧にチェックしましょう。一晩寝かせたり、声を出して読んだり…養豚所の豚を見るような客観的かつ俯瞰の視点で原稿をチェックできると、より完成度の高いインタビュー原稿に近づきます。自信がない人は身近な人に読んでもらい、理解しにくかった箇所を聞くといいかもしれません。

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若手コピーライターこそ取材ライティングをこなすべき!

今回コピーライターの視点から「取材ライティングのコツ」をまとめた理由は、私が若手コピーライターこそ取材ライティングをどんどんやるべきと考えているからです。お客様から有益な情報を聞き出し→取り上げる内容を取捨選択して→誰にでも伝わるよう端的な文章に編集する。取材ライティングには、コピーライターの仕事の基礎が詰まっています。若手コピーライターはとかくキャッチコピーだけに注力しがちですが、取材ライティングが上手い人はキャッチコピー制作も上手いです。ぜひ取材ライティングの仕事にも積極的に取り組むことをおすすめします。いざという時に食いっぱぐれがないのも取材ライティングの仕事だと思いますよ!

(おわり)



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