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コトバはどこから「広告コピー」になるのか?

こんにちは。名古屋のコピーライターkosakuです。
最近入社したばかりの新人コピーライターから「広告コピーってそもそもなんですか?」と質問されることが多く、そういえば何をもって広告コピーなんだっけ?と答えに窮することがあり改めて表題について考えてみたいと思った次第です。

一般的に広告コピーとは「広告表現のなかで用いられるすべてのコトバ」と規定されることが多いのではないでしょうか。いわゆるキャッチコピー(キャッチフレーズ)だけでなく、コピー本文(ボディコピー)、スペック(仕様・明細説明)、タグライン(企業メッセージ)なども広告コピーに含まれます。

ただ先述にある質問の真意は「キャッチコピーってどう書くんですか?」でありました。彼は前職で雑誌の編集者をしておりコトバを扱う経験はあったのですが、こと「広告コピー」となると感覚が分からないということでした。

私が所属している会社では新人コピーライターの課題としてまず「デコンストラクション」が課せられます。世の中の広告やコピー年鑑などを見て、そこに掲載されている広告コピーの体系を解体理解し、自分なりのコピーや意見を構築する訓練です。ここで広告コピー特有のレトリックやコトバの使い方を身に付けてもらえれば良いのですが、なかなかそう容易に体得できるものでもなく、結局のところ現場仕事の場数をこなした上で「広告コピーの感覚=型」を身に付けていってもらうのが実情です。

しかし昨今キャッチコピーを書く仕事は稀ですし、かといってデコンストラクション的なキャッチコピー制作の練習をずっとさせてあげられる余裕もほとんどの広告会社やデザイン制作会社には無いでしょう。なるべく効率よく「広告コピーの型」を身に付けてもらうために、教える側もどう理解してもらうのが一番早いのかを考える必要があるのです。昔気質の職人が如く「背中を見て覚えろ」なんて、口が裂けても言えない時代なんですね。

話を戻して、新人コピーライターの質問に答えましょう。
広告で求められるキャッチコピーには以下のような条件があると私は思います。キャッチコピーをどういう手順で考えるか?はまた別の回答になりますが、自分が書いたキャッチコピーを以下と照らし合わせてみて「あまり当てはまらないゾ?」となったらそのコピーは疑うと良いでしょう。

【広告キャッチコピーに求められる条件】

・短くあること
できれば20文字以内。広告は基本「見てもらえないもの」と考え、最短で伝わるコトバ使いがコピーライティングには求められます。紙媒体の場合はスペースに制限もありますので、キャッチコピーが「短いこと」はより大きな強みとなります。

・興味をひくこと
「キャッチ」するコトバですから、注目を集める何かが必要です。広告なんて普段見ない人や、広告が嫌いな人も呼び止める。そんな工夫ができているでしょうか?

・共感を得られること
興味をひいた後で「共感」も得られれば、そのキャッチコピーは ほぼほぼ成功したようなもの。共感を得られる主張やメッセージはどこにあるのか?コピーライターは常に世の中に目を光らせています。

・機能すること
コピーがきちんと「ワーク」しているか?キャッチコピーは何か目的があって、それを果たすコトバでなければなりません。広告の歯車として機能しなくては、ただビジュアルにくっついてるだけのコトバで終わってしまいます。

・企業や商品の利益になること
意外にこれができていないものも多いのですが、我々コピーライターは広告主様のお金をもってキャッチコピーを代筆している立場です。どんなに素晴らしいコトバでも、広告主の利益にならないキャッチコピーは認められません。

キャッチコピーに「正解」はありませんが、いいキャッチコピーと呼ばれるものは上記の条件を複数満たしていることが多いと思います。

「コトバはどこから広告コピーになるのか?」
「いいキャッチコピーとは何か?」

私がコピーライターを引退するまで、ずっと考えていきたいテーマです。

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