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リアル?ありえない? ドラマやマンガの世界のコピーライター

こんばんは。名古屋のコピーライターkosaku(@kosaku)です。

 なんやかんやでもう夏ですね。。。オリンピックもどうにかこうにか開催されそうですが、私が気になっているのは7月スタートの新ドラマ。テレビ欄から面白そうなタイトルを発見してしましました。WOWOWで 2021年7月9日からオンエアされる『男コピーライター、育休をとる。』です。普段日の目を見ることないコピーライターですから、主語が「コピーライター」になっているドラマ、興味が無いはずはありません。

 電通の現役コピーライターによる育休体験エッセイを映像化した本作。内容的にもリアルなストーリーが期待できそうですが、実は私、WOWOWに加入しておらず、、、『男コピーライター、育休をとる。』のレポートを期待して記事を踏んでしまった方、タイトルサムネ詐欺でスイマセン。こちらのドラマについては単品オンデマンド配信がスタートしたら必ず見て、改めてレポートしたいと思います。
 お詫びという程でもないですが、今回のnoteでは私がおすすめの「コピーライターが主役のマンガ」を作品舞台の年代毎に少しだけ紹介してみます


【1980年代】
古き良きバブル時代のコピーライターが主役
『AD物語(国友やすゆき)』

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 『AD物語』は故・国友やすゆき先生による「売れっ子コピーライターの痛快な仕事ぶりを描いた広告業界コミック(紹介原文ママ)」。1980〜90年代の広告業界で活躍するコピーライターを主役にした作品で、分かりやすく言えば糸井重里や仲畑貴志がブイブイ言わしていた頃の広告業界の話です(タイトルがADになっていますが、アートディレクターやアシスタントディレクターではなく「ADVERTISING」のエーディーです)。
 主人公の名前は畑中広志(はたなかひろし)。参考の表紙画像のように髪の毛がフサフサなので、若かりし頃の仲畑さんがモデルと言っても間違いないでしょう。ここでは細かなストーリーは紹介しませんが、CMのロケハンで女優と一緒に一週間バリ島へ行ったりとバブル時代の広告業界の空気を味わえる内容となっています。令和時代を生きる広告業界の方なら、読んでて哀しい気持ちになること請け合いです。AD物語は無料まんがサイトで試し読みできますので、気になる人はこの作品から古き良きバブル時代を覗き見してみてください。
 国友先生はもう一作『企画アリ』という広告業界を舞台にした作品も描かれています。Wikipediaに弘兼憲史先生と同じ早稲田漫研出身と記述があったので、もともと広告宣伝業界に興味があったのかもしれませんね。


【2000年代】
広告代理店の闇と光を描いた群像劇
『左ききのエレン(かっぴー)』

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 noteをご覧になっている方は今更でしょうか? 元広告代理店のアートディレクター かっぴー氏原作の『左ききのエレン』は記憶に新しい広告業界マンガだと思います(正確にはデザイナーが主役の作品ですが、コピーライターも準主役として出てくるので取り上げました)。
 2016年からcakesで連載された同作は広告業界やネット界隈からジワジワ話題となり、2017年にジャンプ+にてリメイク作品の連載がスタート。2019年にはテレビドラマや舞台化されるなどメディアを超えた広がりを見せています。
 左ききのエレンの主な舞台は目黒広告社という架空の広告代理店。恐らくかっぴー氏の実体験からストーリーが描かれており、特に広告制作の現場描写は非常にリアルです。広告業界人からの評価が高いのも頷けます。主人公の光一が2004年に目黒広告社に入社しているので、舞台設定は2000年代前半〜2010年代中盤でしょうか。先に紹介したAD物語とは正反対の緩んだ空気は微塵も感じられない超絶ブラックな広告業界を垣間見ることができます。群像劇と言うだけあり登場人物も多いのですが、このマンガで出てくるような人たちは広告業界に実在しています(笑)。ちなみに私が好きなキャラクターは断然、柳CDです


【2030年代】
「怒り」を失ったディストピアで老コピーライターがもがく
『しわあせ(山田芳裕)』

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 『へうげもの』や『デカスロン』で知られる山田芳裕先生による同作は、2030年代の近未来日本を舞台にした短編マンガです。主人公は1962年生まれでバブルの申し子ジュンじいさん(画像のおじいちゃん)。AD物語の時代にバリバリ活躍していたコピーライターで、73歳の今も現役コピーライターとして仕事をしています。作品では全編に渡りこのジュンじいさんが孤軍奮闘しているのですが、なぜ一人もがいているかというと2030年の日本がめちゃくちゃ平穏なユートピアになってしまっているからです。戦争も不況もコロナもなく、誰もが平穏に暮らせる世界。煌びやかなバブル時代を経験し、何より刺激的なものが好きなジュンじいさんはそれに耐えられないという訳です。

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▲老人以外は、家族も皆「くそてーねーな文法」でしか話さない世界。

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▲「犯罪者が登場しない刑事ドラマ」を見ながらCM用のキャッチコピーをつくるジュンじいさん。

 本作では80年代の分かりやすい舞台装置として「コピーライター」という職業が使われています。2000年に発表された作品ですが、全ての人が「くそてーねーな文法」でしか話さない世界は、一億総クレーマー社会の行く末を描いているかのようで私は少しゾッとしてしまいました。
 広告コピーも昨今は叩かれないよう当たり障りのない内容が増えていますが、私もジュンじいさんのように抗っていきたいですね。本作『しあわせ』は全1巻。とても面白いマンガなので、気になった方は是非ご覧になってください!

ではではまた!
(おわり)

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