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シンエヴァに対しての情けない本心【ネタバレ有】

※深くネタバレはありませんがエヴァという作品は面白かった、面白くない、完結した、完結しなかったといった情報さえもネタバレに近いものだと感じたためネタバレ有とさせていただきます。




公開初日に友人と観に行きました。久々に直接会ったのもあり喫茶店で楽しく談笑してから劇場に向かいました。予想のし合いは盛り上がりましたが、劇場が近づくにつれて僕達は自然と、『怖い』という表現を多用するようになりました。

【完結しなかったら怖い】【シリーズが終わらない可能性が怖い笑】【つまらなかったら怖い笑】【面白すぎても怖い笑】【唐突の実写が怖い】【Qから全然続いてなかったら怖い】等々。

特に終わらない可能性についてはエヴァンゲリオンZZとか始まる可能性も0ではないよねwwwと馬鹿みたいにはしゃいでいました。我らが庵野さんだから何やらかしたとしても驚かないようにしよう‼️‼️と意気込んでスクリーンに入場しました。



そして、上映が終了しました。 

誰か1人から始まった拍手は数分間鳴り止みませんでした。僕はそれを聞きながらよく分からない感情でいっぱいでした。

本作はまごうことなき完結編です。完結編でした。テレビシリーズから新劇場版にかけてのエヴァンゲリオンという映像作品の全てに決着をつけた映画といって全く過言ではありません。

やはりシンジとゲンドウの対立・ゲンドウの本心というテレビシリーズ・旧劇場版において物語の主軸では無くなっていったテーマ(参考:パラノエヴァンゲリオン)をしっかりと描くことがエヴァの完結編としての必要条件だったのだと思います。

ゲンドウは陰キャラ。ゲンドウとシンジは似ている。S-DATの使い方も同じ。人類保管計画によってユイさんに会いに行くよりも、息子のシンジと一緒に暮らした方がずっと良い。そんな、視聴者がなんとなく理解していたことの明言によって、エヴァンゲリオンは完結したのだと感じました。

他の登場人物達も全員成長や誤解の解消がなされて、全員が見せ場というかポジティブな印象を視聴者に与えていたように感じます。そのため宇多田ヒカルさんの曲もあって、作品全体を通して風が吹き抜けるような爽やかな感覚を得られました。本作によって新劇場版4部作はアニメ好きならば、批判の多かったQ含めて万人に進められる最高のシリーズになったと思います。


話を戻しまして、拍手が鳴り止んだ後僕は立ち上がれませんでした。コラボドリンク・ポップコーンセットのポップコーンはほぼ全て残してしまいました。清掃の方が入って来たタイミングで友人に促されトボトボ退出しました。他にも何名か立ち上がれない方々がいらっしゃいましたが、僕と同じ感情だったのでしょうか。


事前に決めていた通り、友達とおしゃべりやパンフレットの開封をするためにカラオケに向かいました。電車の中や道すがらボーッと考えを巡らせていました。カラオケルームに入りパンフレットを開封して一通り読み終わり、ホットカフェラテを飲み終わった後にやっと感情の整理がつきました。

【いや、なに本当に終わっているんですか。】

これが僕の本心でした。今作でエヴァンゲリオンは完結して欲しくなかった。ずっと問題作でいて欲しかった。なんなら一生完結しなくても良かった。

そんな制作されている方々へのリスペクト皆無な失礼で、醜い感情が自分の中に根深く存在していることに自覚して深く落ち込みました。

もっと突き放して欲しかった感情もあります。説明はもっと少なくて良いし、一般の人々の暮らしの素晴らしさを美しく描かなくても良いし、シンジくんも劇的に成長しなくて良いし、訳の分からない終わり方で、素敵なハッピーエンドじゃなくて良かった。それに文句を言われている『エヴァンゲリオン』でいて欲しかった。

これは酷いハナシ、酷い感情です。いつまでも公開されない(終わらない)なぁと友達と笑いながら結局、終わりを望んでいませんでした。旧劇、Qはファンには面白いけど…と批判しながら最高の完結編を望んでいませんでした。

もちろん完結したことに、それをリアルタイムで観れたことに感動している自分もいるのですが…、底知れぬ寂しさがそれを上回っています。


先に大人になられた感情。そう表現するしかないのでしょう。色々な考察があるでしょうが、シンエヴァンゲリオンは同窓会のような様相を呈しています。周囲の人間は成長し、結婚し、子供がいて(ミサトさん含め)それぞれの人生、こちらが知らないエピソードを経験しています。シンジくんはQ同様当然成長しておらず、視聴者と同じく置いてきぼりにされています。安心します。

ですが僕はシンジくんにさえも置いてきぼりにされた感覚を味わいました。黒波との別れを経て覚悟を決めたシンジくんは、劇中グングンと成長をして最終的に1番大人に近い場所に位置したと感じました。途中、アスカとの『昔好きだった』を目を見て自然体で言い合うなんて同窓会での大人の言動としては鉄板です。カッコよすぎます。

作品にも置いてきぼりにされました。前半の村のシーンの農作業や人々の暮らしの描写は本当に美しく東北出身で、災害からの復興が小学生の頃から身近であった自分は本当に心が動かされました。展開も非常に王道で、シンジくんが初号機に乗る流れは納得があり、またキャラクターそれぞれの思いが画面を越えて伝わってきて最高に熱かったです。解説も多く理解しやすい表現方法でした。特撮のスタジオシーンやラフのシーンもラストへの伏線、前フリになっていて素晴らしい構成でした。

そしてそれは本作は完結編に相応しい真っ当な映画であったということであり、そして庵野監督を含めた大勢のスタッフの方々が、エヴァンゲリオンという作品の完結に際して、ファンに対して真摯に誠実に向き合った【大人の対応】をしたということのように思います。

これが劇場で真っ直ぐ受け止められなかった僕はまだまだ大人になりきれていない、アスカの言葉を借りるならガキなのでしょう。情けない話です。きっと大人の方にはシンジくんの成長をやっと大人になったか、やっとこちら側へ来たか、そう感じられる人が殆んどなのでしょうね、 


エヴァンゲリオンという最高の作品はこれから僕が生きていく中で、観る度に自信の成長を確かめるバロメーターのような確かな作品になると思います。そして観る度にエヴァが終わってしまっている寂しさに包まれるのでしょう。このような素晴らしい作品を作り上げて頂き、製作陣の方々には本当に心から感謝しています。ありがとうございました。


※駄文にお付き合いいただきありがとうございます。もし同じ感情をお持ちの方がいましたらこっそり教えていただけると心が落ち着くので是非お願い致します。


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