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新人職員のための債権管理『超』基礎講座ver.2022 1日目 [債権の種類とその管理]

ごきげんいかがですか?
まっつんの「明日からできる債権回収」にようこそ。

今回のシリーズは,新人職員のための債権管理『超』基礎講座 です。
これだけは知っておきたい基本中の基本を6回に分けておはなししますので,一緒に勉強していきましょう。

それでは早速,1日目を始めたいと思います。
今日は,債権の種類とその管理 です。

地方自治体が管理している債権ってどんなものがあるでしょうか?
一部になりますが、代表的なものを表にしてみました。
地方税や国民健康保険税は,皆さんもご存知だと思います。
そのほかに、保育料や介護保険料,公営住宅使用料などが身近なものですね。
学校給食費なんかは,一時期全国的な問題でニュースになったこともあります。

これらは全部自治体の債権なのですが,それぞれ少しずつ違いがありますので,この違いを理解することが,重要になります。

債権を分類するには,種別や法的措置などの違いがあるのですが,少しずつ勉強していきましょう。
それと、この表の,私債権と分類している債権の消滅時効期間は,令和2年4月の改正前のものになります。

消滅時効の詳細は次のnoteで解説します。

では,債権の性質のうち,公債権と分類されるものについて説明しますね。一番分かりやすいのは,地方税です。

これは公債権となります。
租税債権 なんて言ったりもしますけどね。

そのほかにも法律で明記されているものがあります。
「地方税滞納処分の例」とか「国税の滞納処分の例」とか書かれているものがあります。
介護保険法とか地方自治法で規定されている使用料や分担金なんかがそれに当たります。

つぎに,行政処分による場合 というのがあります。

いろいろ難しいことを言っていますが,ある決定や通知に対して,不服申立て(審査請求)や取消訴訟をできる規定が設けられているもの ということで覚えておいてください。

でも,やっぱり難しいですよね。

すごく簡単にいうと,法律で決められた条件に該当した場合は,行政側から一方的に決定や通知がされて,何らかの義務が課せられるものです。
税金を例に取ると,自動車税の場合,自動車を持っているという条件を満たしていれば,納税義務が発生しますよね。 

それです。

続いて,私債権に移ります。

私債権とは・・・一言で言うと 契約に基づいて発生するもの・・・と理解してください。

もう一つの要件として,私法関係にあるもの なんてのがありますが,私法なんて言われても何のことやらわかりませんよね。

これは、いわゆる民法に基づく関係と覚えてください。
民法上の契約によって発生するものということになります。

公営住宅の場合がわかりやすいと思いますが,住宅への入居の申し込みをして,賃貸借契約をするという考え方です。
一般の賃貸マンションなんかと同じです。

しかし,留意点や考え方として書いているように,いろんな着眼点によってその判断が分かれることがありますので,それぞれの自治体にそった判断をしていく必要があります。

現在、私債権と言われているものについては,学説でも実務でも見解が分かれているものもあり,判断が悩ましいところです。

そうは言っても,債権管理を適当にするわけにはいきませんので、適正かどうかを見極めるポイントをお伝えしますね。

適正管理を見極めるには,7つのポイントがあります。

なかでも超重要ポイントを3つ説明しておきます。
まず,納付通知書は送達されているか という点です。
税金にしても住宅使用料にしても,年度はじめや,条例などで決められた時期に,この金額を納めてください という通知書を送るのですが,この書類が送達,届いていないと 請求の効力が発生しません。

ちょっと難しくいうと,債権債務が確定しない  なんて言ったりします。

これは,法律で決められている手続きなので,きちんと書類を届けるようにしてくださいね。

もし,引っ越しなどで届かなかった場合は,住民票を調べるなどして,本人に届けないといけません。

次に,消滅時効期間です。
さっきも少し触れましたが,それぞれの債権には消滅時効期間というのがあります。

簡単にいうと,その期間を経過すると請求権が消滅するというものです。
これを放置していると,裁判を起こされて,損害賠償請求される恐れがあります。

実際にそう言った裁判も起こっておりますので,消滅時効の管理は特に気をつけるようにしてください。
知らんぷりしていると,かなりの金額を請求されることになりかねませんよ。

最後の一つは,記録の保管ですね。

これも重要です。

債務者からの問い合わせの際はもちろんですが,支払い請求の裁判を起こしたときに証拠資料として求められることもあります。

裁判関連は6日目のnoteで説明しますね。

適正管理ができていないと,支払いの請求すらできなくなる可能性もありますので,少なくともこの3点は必ず覚えておいてください。

債権管理においては,守らなければならない法令が数多くあります。適用法令も数多いですが,それらの条文の中に,

「なになにをしなければならない」

と規定されているものがあるのですが,
いろんな理由をつけて守っていないケースをよく目にします。

法令で決められたことをやらないということは,違法行為とみなされます。
不作為とか怠る事実とか聞いたことありませんか?

過去を辿れば,こう言ったこともゆるゆるで見過ごしてきたこともあると思いますが,今の時代は,このようなことは決して許されることはありませんので注意してくださいね。

住民訴訟の当事者になる可能性と書いていますが,最近の裁判では歴代の担当者まで裁判の被告になって,損害賠償される事例も増えてきています。

参考までにこれまでの裁判事例を集めてみました。

これらは一部ですが,ココに取り上げただけでも結構あると思いませんか。

また,最高裁判所の判決中には,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない。

との見解が示されているように,地方公共団体の長ですら裁量がないと言っているのですから担当職員や担当部署の課長などには,その裁量が認められないのは言うまでもありませんよね。

最後の方は,裁判や損害賠償などいって,ちょっと物騒な話になりましたが,やるべきことを普通にやっていれば,なんにも問題ありませんので,これからの見直しのきっかけにしてもらえればと思います。

今日はココまでになります。
また次回も見てくださいね。

それではみなさん,ごきげんよう。

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