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保健師さんの協力求む

新生児聴覚スクリーニングという検査があります。生まれて間もない赤ちゃんを対象に、耳の聞こえを検査するものです。出産した医療機関などで生後数日で受けることが一般的で、赤ちゃんが眠っている間に小さな音を聞かせて、検査機器で反応を確かめる検査です。

「パス」  今のところきこえに問題はありません。
「リファー」より詳しい検査が必要です。
詳しい検査は生後3ヶ月くらいで行うことが多いです。
この3ヶ月が保護者にとっては辛い。
私が聾学校の乳幼児教育相談で出会ってきたお母さんのほとんどの方が、
「この時期が一番辛かった!」「地獄だった」とおっしゃいます。

生まれつききこえにくさを持ったお子さんは、1000人に1人から2人。新生児聴覚スクリーニング検査でリファーになるお子さんは、耳音響放射(OAE)で1000人に25~90人。自動聴性脳幹反応検査(自動ABR)で1000人に10人程度だと言われています。

生まれて間もない赤ちゃんを前に、「リファーです」と言われたお母さんが受ける衝撃はとてつもないものです。
「羊水がたまっているだけの可能性もあります。」
「少し検査への反応が鈍かっただけかもしれません」
「詳しい検査をしたら大丈夫だったということがけっこうありますよ」
と言われても、心配が消えるわけではありません。
この状態が詳しい検査をするまで約3ヶ月続きます。

きこえているかもしれない、でもきこえないかもしれない。
まだ産後で自分の身体もシンドイ状態なのに、眠れなくなっちゃうお母さん、とにかく不安で押しつぶされそうになるお母さん、安心したくてスマホで検索し、かえって不安になるお母さん。
とうの赤ちゃんは、すやすや寝ていて、いろいろ音を鳴らしてみるけど、反応はよくわからない。

そして、この時期のお母さんをフォローするシステムがまだまだ整っていない地域がたくさんあります。私が住んでいる地域もそうです。

この時期のお母さんに一番関わっていただけるのが保健師さんなのではないかと思います。保健師さんしかいないかも。
だから、聾学校で乳幼児教育相談を担当していたときは保健師さん向けの講習会をさせていただきました。

すると、「保健師さんから紹介されました」と、リファーと告げられ、不安を抱えている保護者が、確定診断前でも教育相談に来てくれるようになりました。
不安な気持ちを出す場、この先の見通しを話してくれる場に出会うことで、不安が消えることはないけど、少し気持ちが落ち着いたと言っていただけます。

保健師の皆さん、お住まいの地域で新生児聴覚スクリーニング検査でリファーになった方がみえたら、聾学校の乳幼児教育相談に連絡してみてください。
私もできることがあればお手伝いしたいと思っています。

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