マガジンのカバー画像

酔狂道中記:旅を遊び、旅に学ぶ

196
世界各地を旅して出会った面白い人や興味深い体験などを短い文章にまとめて、ご覧いただこうという趣向です。
運営しているクリエイター
固定された記事

000 「酔狂道中記:旅を遊び、旅に学ぶ」目次

054 世紀初めに「世紀末ウィーン」を思う
053 三すくみのジャンケンとコイン投げ
052 ウィーン大学で過ごした楽しい半年間
051 ときに夢は凡人を天才にする
050 自分の尻尾をくわえるヘビの夢
049 夢の変容・鎌倉から室町へ
048 眠りのなかで目覚める夢の力
047 見てみたい芭蕉の夢の枯れ野の風景
046 虚と実のはざまに遊ぶ夢時間
045 寒暖差が誘う睡魔の快楽
044 イタリア

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

108 なぜ人は旅をするのだろうか

    写真:「旅行者の銅像」@スペイン、オビエド(Wikipediaより)

 肌や髪や目の色、背の高さなど、人間の姿形は著しく多様です。
 が、ヒトという動物は一種類だけなのです。その学名はホモ・サピエンス――「賢い人」という意味です。

 東アフリカのサバンナで進化を遂げた人類は、最新の学説によると約18万年前にアフリカを出て世界中に広がったとされます。

 その間にタンザニアのオルドバイ渓

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

107 「聖」からの変転の果てにディスコやジムに

      写真:ライムライト・マーケットプレイス(Wikimediaより)

 寺や神社や教会などは未来永劫、その役割を変えることがないと思っていました。ところが、どうもそうではなさそうだと考え直さざるをえない事例がみつかりました。

 ずいぶん古い話になりますが、1980年代の中国の、確か西安の仏教寺院でこんな話を耳にしたことがあります。
 「あらゆる宗教的なものが否定された文化大革命の時代、

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

106 信心と享楽への欲求を満たす門前市

          写真:浅草寺とその参道の仲見世(Wikipediaより)

 人は、旅と観光に「聖なる情動」を求めるのでしょう。
 といっても、それだけで人が動くわけではありません。当然こうした事情は、神も仏も熟知しておられるのだと思います。

 で、寺や神社や教会の周囲には珍しい品物やおいしい食事、面白い芸能を提供する街が成立するのです。
 そこでの買い物や見物が今ひとつの楽しみとなるわけで

もっとみる
スキ、ありがとうございます。うれしいな。感謝かんしゃ、です。

105 旅人たちは神仏に出会ってみたいと思うようだ

            写真:「天使にラブ・ソングを」ジャケットと
                 シャルトル大聖堂(Wikipediaより)

 マルチメディアとしてのキリスト教会の楽しみは、ウーピー・ゴールドバーグ主演の映画「天使にラブ・ソングを」が教えてくれました。

 数十人が全身を揺らして大声で聖歌を合唱するゴスペルの場面では歌う側、聴く側の人々が皆、涙を流し歓喜の表情を浮かべ始めます

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

104 電子テクノロジー以前のマルチメディア

       写真:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の天蓋と
              ミラノのドゥオモの内部(Wikipediaより)

 ここで、マルチメディアの本来の意味を訊ねておくことにします。

 それは、
 「複数の種類の情報をひとまとめにして扱うメディア」
 だということでしょう。

 これを言い換えると、
 「目や耳、鼻や舌や肌など複数の感覚器官に働きかけるメディア」
 と

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

103 五感を揺さぶるバーチャル極楽見物

            写真:京都・宇治の平等院鳳凰堂(撮影:筆者)

 伊勢神宮もさることながら、優れた宗教施設は、太古に成立した魅力的なマルチメディアである場合が多いように思われます。

 たとえば世界遺産の京都・宇治の平等院です。
 11世紀半ば、藤原頼道が建立したこの寺の阿弥陀堂、すなわち鳳凰堂は、

  「この世に極楽浄土を現出させる」
 
 という思いに由来するとされます。

 浄土式

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

102 伊勢神宮は日本古来の文明と文化を今に伝える壮大な「活きた野外博物館」

            写真:伊勢神宮の本殿と神田(Wikimediaより)

 昨日は伊勢神宮の博物館について記しました。
 それからは話が変わりますが、2009年に「神社再生推進機構」というNPO法人が設立されたと聞いたときには驚きました。

 それというのも、
 「神社はもともと、古くから存在するNPO(非営利団体)にほかならなかったはずやのに」
 と思えたからです。

 で、少し考えたのち

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

101 「常若」という神道の思想と神宮徴古舘

                 写真:神宮徴古舘(Wikipediaより)

 伊勢神宮には、小学校の修学旅行以来、何度か出かけたことがあります。
 が、20年ばかり昔の参詣以前には、その関連施設に3つの博物館のあることを知りませんでした。

 ここでいう3つの博物館とは、神宮徴古館、神宮農業館と式年遷宮記念神宮美術館のことです。

 これらのうち最初に設立されたのは、農業の神様である豊受大神(

もっとみる
スキ、ありがとうございます。およろしければ、コメントもお願いします。

100 『宗教年鑑』の数値の不思議と権力の神仏への愚かな干渉

 写真:伊勢神宮の門前町おかげ横町のおかげ座前風景(Wikipediaより)

 少し前まで、日本政府が発表する統計資料は種類が多く、かつ信頼性が高いと言われたものです。
 世の中の移り変わりを考える際に、それらは大いに役立つように思います。

 ところで、文化庁所管の『宗教年鑑』には不思議な数値が並んでいるのをご存じでしょうか。

 いま手元にあって容易に検索できる1994(平成6)年と2017

もっとみる
スキ、ありがとうございます。うれしいな。感謝かんしゃ、です。

099「廃仏毀釈」は近代日本最大の過ち、かも知れない

       写真:神仏が共に祀られる医王山神宮寺(Wikimediaより)

 女子大生の寺や宗教への思いから、1995年の「オウム真理教事件」を思い出しました。
 この事件には、名だたる大学の工学部や医学部を卒業した少なからざる若者たちが関与していたことでも世間を驚かせました。

 このとき、やや唐突ながら、明治初年前後の「神仏分離」や「廃仏毀釈」など、新政府の試みが、こうした事件の遠因として

もっとみる
スキ、ありがとうございます。うれしいな。感謝かんしゃ、です。