107 「聖」からの変転の果てにディスコやジムに
写真:ライムライト・マーケットプレイス(Wikimediaより)
寺や神社や教会などは未来永劫、その役割を変えることがないと思っていました。ところが、どうもそうではなさそうだと考え直さざるをえない事例がみつかりました。
ずいぶん古い話になりますが、1980年代の中国の、確か西安の仏教寺院でこんな話を耳にしたことがあります。
「あらゆる宗教的なものが否定された文化大革命の時代、この寺は百貨店に姿を変えていたんですよ」
そういえば同じころ、ニューヨークのチェルシー地区でも19世紀の煉瓦造りのキリスト教会が「ライムライト」という名のディスコに改造されて人気を呼んだといいます。
高い天井、優れた音響効果などが、ロックミュージックに最適だったのだそうです。
ただ2003年、治安上の問題などで閉鎖され、その後はフリーマーケットなどに利用され、2010年にはライムライト・マーケットプレイスとしてオープンし、大方の人気を呼んでいるという話でした。
それが、同地で調査中の人類学者の友人の話では、なんと2015年の段階では「ライムライト・ジム」に役割を変えたというのです。
こうした動向について彼は、外観を規制で残しながら内部を大胆に変えていくことが、結果的に一等地に古い建築を残すことにつながっているのかもしれないというコメントを加えていました。
そうでなければ、ソーホーやチャイナタウンなどの町並みもぶっ壊れていただろうというわけです。
なるほど、大阪・堂島の近代建築や京都の町家などがブティックやカフェとして活用されるようになっているのも似たような話なのでしょう。
ただ、寺や神社や教会などが大きく役割を変えると、ちょっと不思議な感じを受けるような気がしないでもないのですが、どうなんでしょうかねえ。
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