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緊急書評・山崎元さんの「息子への手紙」を読んで

山崎元さん(以下親しみを込めまして「山崎さん」と言わせていただきます)。2024年1月1日に65歳で永眠されました。改めてご冥福を心よりお祈り申し上げます。

今日のnoteでは、山崎さんへの哀悼の意を示すために、闘病中に執筆された「経済評論家の父から息子への手紙~お金と人生と幸せについて~」を読んだ感想を書きます。
とても素晴らしく涙した傑作(遺作)でした。オススメです。

まずは一言「すばらしい作品」です。涙。。。。マジで泣きました。。。。近年稀にみる人間味溢れる渾身の新書です。断言します。これから永遠に読み継がれる名著になると確信します。


山崎さんとの出会い

私が山崎さんを初めて知ったのは、それこそ「会社は2年で辞めていい(2007年:幻冬舎新書)」を本屋で立ち読みしたときだったと記憶しています。

それこそ就職氷河期世代の私にとって「なんでこんなこと言うのかな」と少なからず違和感がありました。ただインパクトはありました。私も恥ずかしながら大学生時代からインターネットやらブログやらmixiやら流行りのものは当時いろいろ触ったり作ったり見たりしていましたので「山崎元」をいろいろ調べたりしていました。いずれにしても私の興味をそそった方でした。

社会人にもなり、曲がりなりにも学生時代にアルバイトで稼いだある程度の貯蓄があったのと、社会人になって数年経ち、少しずつ貯蓄が増えていたこともあって、自然と株式投資に興味をもち、とりあえずネット証券を開設しました。
ちなみに開設した証券会社は、楽天証券SBI証券旧Eトレード証券に2005年に口座開設していました)でした。数十年前ですが、良いとこついていたと思っています。
※楽天証券は今でもそうらしいですが、日経新聞が無料で閲覧出来たり、業界紙が無料で閲覧できたので開設した記憶があります。一方でEトレード証券は、業界ナンバー1の格安手数料だったことに惹かれたと思います。
※山崎さんがいたから(この時は楽天ではないのか。。。)ではありませんよ。

2005年に口座を開設したものの、当時はまだ恥ずかしながら「投資」は「投機」(ギャンブル?)と考えていた部分もあり、ましてや20代のぺいぺいかつ根っからの臆病者でしたので、「上限50万円を元手に個別株を買おう」と決めて、四季報やら新聞の株価を見て「優良銘柄」を探して買ってました。ただ今考えればスポット少額投資です。実入りは少なかった。いやなかったに等しい悲惨な状況で、年々50万円が45万円、そして30万円・・・・と(以上)。今となっては良い勉強だったと感じています。


投資信託・インデックス・ファンドは怪しいと思った

もちろん口座を開設したのと併せて本屋やインターネットで何に投資をするのかを考えました。上述したとおり結果的に「日本株」投資のみでしたが、調べる過程で、投資信託、インデックス、ファンドなどの言葉も見かけました。しかし投資信託は手数料が高く割に合わないから避けた方がよいというような論調の本が多かったのが実情だったのではないでしょうか。インデックスも当時は胡散臭いと感じましたし、ましてやファンドなど、若輩者が投資するなんて畏れ多かったという印象があります。
約20年前の私にとってインデックスファンド(投資信託)は全く眼中にありませんでした。


「初版ほったらかし投資術」も読んだけど考えは変わらなかった。

2010年に初版「ほったらかし投資術」が発売され、発売早々に私も読みました。しかし、投資信託に対する気持ちは変わらず「やはり投資信託は怪しい。手数料が高く割に合わない」との結論でそれ以降20年間見向きをしませんでした。
※2018年からiDeCoに加入していますので、実際は投資信託デビューですが、当時投資信託だという認識は全くありませんでした。ほんと無知な若造でした。恥ずかしいです。


経済評論家の父から息子への手紙を知る。

2010年から2024年までは週刊誌、経済誌、そしてインターネットで山崎さんが書かれた投稿記事を何度か見たり読んだりしましたがあまり印象に残っていなかったと感じています(なぜなら結果的に自分の投資行動は変わらなかったからですね)。
ほったらかし投資術を読んで約13年が経過して、2023年のとある日に山崎さんがステージ4の食道がんを患っていることをyoutubeで知って、再び私の頭の中で突然あの「山崎さん」が離れなくりました。映像を見たときに絶句しました。「痩せている・・・。」とにかく驚きました。
以下がそのyoutubeです。

私の大嫌いなXをブロックしやがったホリエモンとの対談動画を見て山崎ワールドにゾッコンとなりました。

そして今まで怪しいと思っていた投資信託が最も合理的で賢い投資方法の一つと考える決め手となったのは次の2動画。

これは私の人生を変える超インパクトがある動画となりました。おそらく一生に一度あるかないかくらいの衝撃になるかと思います。まだわかりませんが(後藤達也さんとの対談というのも何か縁を感じるのは私だけでしょうか)。

ReHacQ−リハック−【公式】動画です。

私はこの動画を見て山崎さんの死期は近く、失礼極まりありませんが、この動画で「今まで言えなかった投資の真実をありのまま伝えている」と感じました。遺言のようにも思いました。
そのくらい鬼気迫る神動画だと今でも思っています。最初は元気に話をされていますが、途中からとても苦しそうに話をされているのがわかります。動画を見ながら自分の胸が痛くなったことを覚えています。

まさしく山崎さんがやりたいと感じている
3原則
「(1)正しくて、(2)できれば面白いことを、(3)なるべく多くの人に伝える」を実行している
と直感しました。
自分の残り時間を推測しながら、自分の行動選択を最適化する。まさしくこのことだと今振り返ると感じるのです。


この本には人生で大切なことが全て書かれている。

付箋だらけの私の山崎さんの本

上述の動画を見てオルカンやがん保険(意味なし!!)にも興味を持つと同時に、今まで出版した全ての山崎さんの書籍およびこれから出版予定の新刊を読もうと、最寄りの図書館で借りたり新書を予約して買ったりしている中、ようやく届いたのがこの本です(その他にも「予想と希望を分割せよ」も予約済み)。
※なお北海道出身でなんと北海道立札幌南高校卒という、詳細はノーコメントですが、めちゃくちゃ知っているのでより親近感が沸くと同時に応援したい気持ちが強くなりました(出典:山崎元さんのWikipedia)。

非常に読みやすい本ですが、節々に珠玉の言葉が散りばめられており、涙なくして読めない歴史的名著です。


家族の絆をストレートに表現する散弾銃レベルの言霊

これから読む皆さんにネタバレは避けたいので私が読んで涙した言葉を一つ取り上げます。本を読んで泣くなんて今まで一度もありませんでした。そんな私が涙してしまうなんて。まさに神本。山崎さんスゲー。

息子へ実際に送った手紙全文の中にその一文があります。

「東京大学に合格した貴君はもう大人であり父親から指示したり頼んだりしたいことは何もない。好きなようにやってくれればよい。それがいいと思えば大学を中退してもいいし、学生結婚して孫でも連れてくるなら大変面白いし、才能があるかどうかに疑問ががあるけれど詩人だのアーティストだのを目指してもいい。革命でもいい。仮にやったことが違法でも、その意図が理解できれば、私は息子の味方だ。貴君は「父の思い」にこだわる必要は全くない。」

経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて 178p

絶句しました。こんな人間愛があるなんてと。


「昭和生まれの働き方常識」は終わり「令和Z世代の働き方常識」へ。

いくつか重要な提言をまとめてみます。若い人のこれからの働き方、投資の考え方の参考になることがたくさん書かれています。ぜひ若い方(就職活動予定の方)に読んでほしいです。

1.必要なマインド・セットは(1)常に適度な「リスクを取ること」、(2)他人と異なることを恐れずにむしろそのために「工夫をすること」の2点。そして働き方としては(3)株式性の報酬と上手く関わること。
⇒経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている。【非常に重要な考え方だと思います】

2.人生にあってはコントロールできないことについて悩んでも仕方がない。できることは確率・期待値的に良い選択をして、後は好結果を祈るだけだ。それ以上はない。損をしても「お金で済む」話。
⇒市場競争にあってはライバルの平均である「市場の平均」を持ってじっとしていることが有利である。【まさしく投資の原則ではないでしょうか。オルカン!】

3.労働者に限らず、工夫のない人は損をする。これは責任論以前の経済の現実だ。他人と同じであることを恐れよ。無難を疑え。
⇒これからは取り換え可能な労働者(安定労働者)は安い賃金で我慢する時代になる。【ベンチャー企業、起業を目指して株式を保有することが成功のカギ】

4.労働者タイプB的な社員が有利でかつ徐々に存在感を持ち始めていることに世間はまだ十分に気づいていない。
⇒労働者Bとは高額な報酬を取る米国企業の経営者などのがその典型。ほどほどのレベルで、資本家の隙を突くことは必ずしも悪いことではない。

5.株式投資は「働かないで稼ぐ」ことではない。
⇒「生産」には「労働」とともに「資本」が必要。株式投資は自分のお金を資本として提供して「働かせる」ことであり、この際にリスクを負担している。

6.稼いだお金はおおらかに使うべし。特に自分への投資が大切。①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間
⇒お金が足りないと思ったら、節約よりも先に「もっと稼ぐ方法はないか」と考えるようにすることが大切だ。

7.自分の時間にも相手の時間にも、経済価値があることを意識すべき。
⇒年収1,000万円なら時給5,000円、2,000万円なら10,000円だ。

8.頭のいい奴、面白い奴、本当にいい奴と付き合え。
⇒人との出会いが大切だ。

9.新時代は稼ぎ方が変わりリスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった。「株式性の報酬が有利だ」。
「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」ことを目指すパターンよりも、「自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る」のが新しい時代の稼ぎ方のコツ。
⇒でも一般ピープルはなかなか難しいよね。であるならばインデックスファンドの長期投資が効率のよい株式リスクとの付き合い方だ!そうだオルカンだ。

10.子供は出来るだけ早く持つといい。
結婚しても子供がいても自由にするといいのだ。
⇒これからの日本にとって必要な考え方だと思います。

・・・・・・etc。


そんなこんなでぜひ手に取っていただきたい一冊であることはまちがいないです。おすすめ。

明日本屋にGO!!


山崎さんに捧げる明日から元気になるPositive Song ‐葉加瀬太郎「Etupirka」‐

山崎さんに捧げる私の大好きな葉加瀬太郎さんの名曲。天国でも人生のモットーである3つのことを胸に発信し続けてくださることを心から祈念して本日のnoteを終えたいと思います。

合掌。


山崎さんに捧げる明日から元気になるPositive アンコールSong ‐Mr.Children 「Tomorrow never knows」‐

この曲については何も言うことはないですね。明日は誰にもわからない。未来は誰にもわからない。人生も。投資も。ですね。

合掌。
合掌。
山崎さん本当に素晴らしい投資術を伝授していただきありがとうございました。安らかにお眠りください。涙 涙 涙・・・・。

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