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必見! 他では読めない「ソウル焼肉事情」旅ブロガー女医が解説します

なんかこの内容、日本人にはあまり知られていない!? ガイドブックには書かれていない角度からの「焼肉事情」、ここでお伝えしちゃいます


海外旅行もいよいよ大々的に解禁&再開ムード!

私もなんだかんだ言いながら、4月のソウル行きを皮切りに「海外旅行リハビリ期間」に入りました。

このソウルという地は、ワタシが医師になりたてのころから、隙を見つけて年に2~3回、週末弾丸旅行に行っていた場所。いわば「旅するフリーランス女医」の原点ともいえる場所で、今までの渡韓回数は30回近くになります。そういった背景もあり、海外旅行を再開して、一番の行き先としてソウルを選ぶのも、ごくごく自然な流れでした。

医師でソウルに30回近く、ともなると、まだまだ貴重がってもらえるのではないか、ということで、ソウルリピーターだからこそ書ける内容を、どんどん出してまいります。

前回(コロナ禍後初の海外「旅する人生の原点」ソウルで見えたもの)はコロナ禍後、初のソウル訪問について、3年半ぶりにも変わらず自分を迎え入れてくれたソウルの現状を書かせていただきました。今回は3年半ぶりに訪れても変わることがなかったと感じた、ソウルの食事情、中でも「焼肉」に関して、お届けいたします。



韓国に「焼肉屋」!? ございません

30回もの渡韓で気づいたのです。そういえば「焼肉」「焼肉屋」に該当する単語も、お店も、韓国では聞いたことがないな、と。
答えは簡単で、そもそもそんな言葉が「ない」からです。
これだけ日本と言葉が似ている韓国なのに「焼肉」って言葉と同義語に当たる言語はないのです。行ってみてわかりました。「そんな単語は使わないからだ」と。

とか、言い切ってみたものの、自分の韓国語スキルが足りないから知らないだけなのか、その可能性は、必ずしも否定しきれない部分がございますので笑、ググってみました。
焼肉は韓国語で「야키니쿠(ヤキニク)」と言うのだそうです。“karaoke” や “emoji”と同じ、“日本語がそのまま”パターン。これすなわち、韓国語に該当する単語がないから、ですよね。

近い意味合いで「불고기(プルコギ)」ってのがありまして、直訳すると「불(プル)」=火、「고기(コギ)」=肉で「火肉」ですけど、プルコギってのは、焼いたお肉を総称しているのではなく、それはそれで一つの料理なんです。日本の「すき焼き」に近い感じですね。

불고기(プルコギ)(「산더미불고기(サンドミプルコギ)」にて)​​


「소금 구이(ソグムクイ)」という単語があります。「소금(ソグム)」=塩、「구이(クイ)」=焼きという意味で、直訳すると「塩焼き」。対義語は「タレ焼き」で「양념 구이(ヤンニョムクイ)」と言います。が、これも日本の焼肉における「塩」、「タレ」とは別物で、「양념 구이(ヤンニョムクイ)」はお肉の色が変わってしまうほど漬け込まれており、日本にないスタイルです。

日本の焼肉に近いのは「소금 구이(ソグムクイ)」ですね。塩胡椒の下味が効いている感じ。しかし豚焼肉でしかあまり聞かないような気がします。

牛の場合は「생고기(センコギ)」=生肉、「생갈비(​​センカルビ)」=生カルビ的な、「生」を頭につけることが多いですね。生肉といっても、ユッケとは違うんですよ。ユッケは韓国でも「ユッケ」なので。生のままで食べる、という意味ではなくて、タレにも漬け込んでないし、冷凍もしていない料理用のお肉の総称を「생고기(センコギ)」=生肉と言ってます。焼くだけでなく、鍋の具材としても出てくる表現ですね。

牛肉の写真があまりなくて、豚カルビの写真になりますが、これが「양념(ヤンニョム)」
タレに漬け込まれたカルビです。
(「마포 진짜 원조 최대포(麻浦チンチャ元祖チェデポ )」にて)


소금 구이(ソグムクイ)(「소금구이갈매기살(ソグムクイカルメギサル)」にて)

ええ!? じゃ、焼肉は韓国料理じゃないの? これについて、いろいろな見方をすることができますが、「日本の『ラーメン』って中国料理ではないの?」的な方向性だと思います。
中華圏で、確かにスープに入った麺を食べますが、あれ、いわゆる日本の「ラーメン」とは違うじゃないですか。それと同じで、韓国でも「肉は焼く」んですよ。ただ、日本の「焼肉」とはこれまた違うのです。

「肉を焼く」焼肉の店は韓国でもたくさんあり、「焼肉屋」は「고기집(コギジプ)」と言うそうです。
「고기(コギ)」は「肉」、「집(ジプ)」は「家」という意味なので「고기집(コギジプ)」は直訳すると「肉屋」ですね。

ただ、自分は使ったことのない言葉です。「今日はサムギョプサル食べたい」「いや、タッカルビでしょ」って感じでは言いますけど。


はい、そうです。韓国の焼肉って「部位別」なんです。

さらに言うなら「なんの動物の?」ってのも韓国でお肉を食べる際には重要です。日本でもお馴染み「삼겹살(サムギョプサル)」=三枚肉→豚バラ肉ですし、「닭갈비(タッカルビ)」の「닭 (タッ)」は「鶏」って意味です。鶏をまるっと1匹煮込んだお鍋「닭한마리​(タッカンマリ)」の「タッ」と同じですね。ちなみに「한마리​(ハンマリ)」は「一羽」って意味なので、「닭한마리​(タッカンマリ)」=鶏一羽って意味です。

ちなみに、私のお気に入りは「삼겹살(サムギョプサル)」に「皮と皮下脂肪」がもれなく追加された「오겹살(オギョプサル)」=5枚肉です。済州(チェジュ)島とかの、いいとこの黒豚を扱ってるお店とか行くと、皮から黒い毛が生えてるんですよ笑 ヒゲの濃い男性の夕方みたいな感じの(笑笑) 

よく見ると皮のところに黒い点々があるの、見えますかね!?

(「흑돈가(フットンガ)」黒豚屋 흑돈가​​ 汝矣島(ヨイド)店にて)

強い火力で焼くので、毛は焼けてなくなっちゃいますからご安心を。
カリカリに焼けた皮と皮下の脂身と、その下の「サムギョプサル」部位と、たまらんです。

ともかく、韓国語のお店とか、料理ワードって「どの動物の」「どの部位を」「どう調理するか」で成り立ってることが多く、サムギョプサルだったらサムギョプサル「だけ」で勝負してるお店がほとんどです。あとサイドメニューに味噌チゲとかスープ系があったりなかったり。モツ焼き屋さんはモツ焼き専門のお店が、それはそれであります。

日本みたく、牛のカルビ・ロース・タンと、豚トロが同じ店で、って概念が、ないんですよ。だから逆に、そういう「どこのお肉でも」的なお店があると「完全に日本人観光客からぼったくる目的のお店だな」とかって、勘ぐっちゃいます笑

韓国で焼肉を食べたけど、期待外れだった、美味しくなかった、という意見、たまに聞きますが、それは日本の焼肉と韓国のそれは全然違うものであるということと、それを踏まえた情報収集が足りないのが敗因です。

そもそも韓国の話をするのに「焼肉」ってワードが出てくるのがおかしいんだよ、ってことになるんですよね。このイメージ、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。


せっかくなら日本では食べられない部位を!

日本で「肉」というと、まず思い浮かぶのが牛。焼肉ともなると「牛カルビ」「牛ロース」なんでしょうが、私、韓国では牛カルビや牛ロース、めったに、というかほとんど食べません。

ちなみに韓国の牛カルビには「생갈비​​(センカルビ)」=生カルビと「양념갈비​​(ヤンニョムカルビ)」があって、日本で食べるカルビに近いのは「생갈비(センカルビ)」の方です。

「양념갈비​​(ヤンニョムカルビ)」は日本のタレ焼肉とはものが違って、お肉の色が変わってしまうほど漬け込まれている、日本にないスタイル、というのは先も書いたフレーズですが、この「양념(ヤンニョム)」=漬けダレっていうのがお店の勝負どころで、このチョイスを間違うと、本当に美味しくないので注意が必要です。

「생갈비​​(センカルビ)」のほうが「양념갈비​​(ヤンニョムカルビ)」より高いので、「양념갈비​​ (ヤンニョムカルビ)」を選びがちですが、「양념갈비​​(ヤンニョムカルビ)」で有名なお店、とかでなければ「생갈비​​(センカルビ)」を選ばれた方がいいと思います。が、それにしても、よほどの高い店に行かないと牛は美味しくないと思います。

韓国にも韓牛というものはあります。輸入牛よりお高めの。しかし、世界的になりつつあるWagyuブランドに、勝てるものは、ございませんw

和牛は日本の誇りです。これを超える牛肉は、世界のどこでも出会えません。日本人代表として断言します。牛カルビだけだったら、日本で食べるのが一番美味しいと思います。

最近は日本でも、骨つきの牛カルビをハサミで切って、といった「韓国スタイル」のお店もありますよね。なもので、私は、牛(とくにヒレ・サーロインやカルビやハラミなど)は、韓国では食べません。

韓国で牛肉を焼いて食べるとしたら、私が好きなのは「차돌박이(チャドルバギ)」です。
牛あばらの霜降り肉である「ともばら肉」のことで、薄くスライスされた状態で運ばれてくるのが一般的です。脂身のところが、焼くとジューシーになって、美味しいんですのよ。これを食べに行くときは一人5000円くらいを覚悟しますね…韓国の焼肉では高い部類かも、です。

차돌박이(チャドルバギ)(「봉산집(ボンサンチブ)」にて)

牛でもう一つ、おすすめは「대창(テッチャン)」ですね。
これは「大腸」をそっくりそのまま韓国語読みした単語になります。脂が乗ってるのをカリッカリに焼くの、最高です。

牛ミノと「대창(テッチャン)」焼き。丸い筒状のが「대창(テッチャン)」です

(「오발탄(オバルタン)」仁川パラダイスシティ店にて)

豚だったら、先ほど申し上げた「오겹살(オギョプサル)」=5枚肉かなあ。あと「목살(モクサル)」も好きです。「목(モク)」は首、「살(サル)」は肉という意味で、 日本語では「肩ロース」にあたります。が「出され方」が、日本ではあまりお見かけしない形態なんですよ。

목살(モクサル)
(「마포 진짜 원조 최대포(麻浦チンチャ元祖チェデポ)」にて )
ちなみにモクサルも、このようにハサミで切って食べます

(「소금구이갈매기살​​(ソグムクイカルメギサル)」にて)


焼肉の「〆」も、日本とは違います!

これまでの写真を眺めるだけでも、韓国の「焼肉」、日本のそれとはかなり雰囲気が違うのが、おわかりになりましたでしょうか。
焼いた後のお肉をどう食べるか、これまたお店や個人の好みによってもまちまちで「サンチュ」があったりなかったり、特製のタレや薬味が出てきたり、いろいろです。

そして、〆に冷麺と石焼ビビンパとクッパがいっぺんに頼めるというパターンも、韓国ではありません。冷麺は冷麺屋さん、ビビンパはビビンパ屋さんがあります。
お店によってはお店特製のキムチチゲや味噌チゲ+白米というパターンですとか、麺料理があるケースもありますけど、だいたい味噌チゲ+白米か麺料理のいずれか又は両方か、1~2品ある程度です。

先出の「차돌박이(チャドルバギ)」の名店「봉산집(ボンサンチブ)」では、お店のお母さん特製の「차돌된장찌개(チャドルテンジャンチゲ)」=チャドルバギがたっぷり入った味噌チゲも看板料理の一つで、お肉とペアで頼むのが「テッパン」です。韓国のチゲ料理はご飯と一緒に「猫飯」スタイルで食べるのがお約束。たっぷりチャドルバギとお母さん特製のスープが最高にマッチした一品です。

차돌된장찌개(チャドルテンジャンチゲ)
(「봉산집(ボンサンチブ)」にて)

ちなみに韓国ではお肉だけじゃなく、鰻もタレ焼きにして、サンチュでくるんで食べたりしますので、鰻好きの方、ぜひ食べてみていただきたいです。絶対ハマります。

「장어 구이(チャンオクイ)」=ウナギ焼き。「장어(チャンオ)」=長魚=鰻です

(「고향풍천장어(コヒャン・プンチョンチャンオ)=故郷楓川うなぎ 」にて고향풍천장어​)​


知らぬと大損!? 韓国焼肉事情

焼肉、だけで、かなり書いてしまった(笑)しかも、出てきたお店の数もなかなか。しかもきたないお店ばかりだな(笑笑) 
まあ、こうしたお店に高級車で乗り付けるお国柄でもありますので、ご容赦ください。

お店の名前と代表メニュー全てにハングル表記をふりましたので、これそのまま地図アプリで検索すれば場所が出ますから、韓国焼肉ガイドブックとして使えます。
しかも、おそらく、どこのガイドブックにもこのラインナップ、ないんじゃないかな笑 

場所をお調べいただくと、マニアックなところばっかりで、お店の場所は見事にバラバラでございますが(笑)、韓国の場合、Googleマップではなく、Neverマップをお使いいただくと、かなり詳しいルートが調べられて便利です。ちなみにワタクシこのところ、GoogleマップとNeverマップ両方で検索して、ともにクチコミ点数の高いところに行く、という小ワザをヘビーに使用しております。チェーン店であちこち展開しているお店もございますので、ぜひ探してみてください。

今年あと3~4回くらい韓国(ソウル・釜山)に行くことになりそうですので、その際は順次、本連載でアップデートしてまいります。今後の記事をぜひお楽しみに!


<関連サイト>

コロナ禍後初の海外「旅する人生の原点」ソウルで見えたもの


<参考サイト>

【韓国旅行するなら!】ハングル文字は意外と簡単!わかりやすい読み方講座

【韓国】ソウルや釜山でグルメするなら知っておきたい!ワンポイント豆知識

【韓国旅行】日本とは全く違う!? 本場韓国の「焼肉」その違いを解説します!
【ソウル 合井(弘大)】「山盛り」プルコギタワー!!《サンドミプルコギ》
【ソウル 孔徳】《麻浦チンチャ元祖チェデポ (마포 진짜 원조 최대포)》デジカルビの老舗!
【ソウル】韓国焼肉は「日本ではレアな部位」其の弐:カルメギサル編 《ソグムクイカルメギサル》
【ソウル】韓国焼肉は「日本ではレアな部位」が正解!其の一:チャドルバギ編《ボンサンチブ 봉산집》
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