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弁証法で意見の対立を超える 📕 哲学マップ 貫成人 著 📕

今回紹介するのは 【哲学マップ /貫成人 著】という本です。

哲学の入門書としてとてもおすすめのこちら。
古代ギリシアから現代哲学まで、西洋形而上学から東洋思想までを網羅し、哲学を「思考の道具」として徹底活用するための実用ガイドブックです。

哲学と聞くと、難しくて抵抗がある…興味がない…という方も多いかと思います。

しかし、我々は日常的に思考しないことなどありません。
その思考の根幹には、これまで先人達が積み上げた哲学が大きく影響しています。

哲学を思考の道具として学ぶことで、日常生活に生きる部分が見つかるかもしれません。

本書ではかなり幅広い思考方法が取り扱われているので、今回はとくに印象的で、身近に感じた、ヘーゲルの弁証法を取り上げます!

■ ヘーゲルの弁証法

ヴィルヘルム・ヘーゲル ( 1770年-1831年)というドイツの哲学者が提唱した弁証法という思考を取り上げてみます。

弁証法とは対話ないし問答の技術のことである。対話や問答においては、相手を弁論によって自己の正しさを証明し、説得しなければならない。このとき、一方がなにかを正しいと主張しても(「定立」)、その相手はただちにそれを否定する(「反定立」)。ふたりが対話によって、お互いの言い分に配慮しつつも、対立を超えた新しい次元を見いだし、第三の意見に落ち着いたとき、対話は完結する(「綜合定立」)。カップルが休暇の過ごし方を相談したとき、一方はカナダにスキーに行きたがり(定立)、もう一方は伊豆の温泉に行きたがったとしよう(反定立)。ふたりは互いに否定しあう。やがて、やがて屈斜路湖に行けば、温泉とスキーの両方が楽しめ、しかも北海道の海の幸まで堪能できることがわかる。このとき成立したのが、対立を超えた綜合定立だ。綜合定立は、相対立する意見へのこだわりがなくなったとき生まれるが、しかしもとの意見のどこかは尊重している。
貫成人. 哲学マップ 第5章 哲学の「頂点」-近代 より

このカップルの例がわかりやすいですね。

意見が対立した際に、「どちらが正しいのか?」というレベルを超える。
「2つの意見を踏まえ、互いに尊重した上で、1つ上の次元の意見にできないか?」という方向で思考を進めると言うことです。

■ 職場や家庭での意見の対立…

仕事の場面でも、家庭やパートナーとの間でも、意見が対立すると言うことはよくありますよね。

学校の数学の勉強のように、確実な正解が用意されていることは、世の中さほど多くはないはず…

こういった際に、弁証法を思い出してはどうでしょうか?

特にビジネスの現場では、確実な正解が出せない場合が多い。
どちらの言う意見も一理あるし、どちらも正しい可能性がある。

その際、正解を探すのでなく、2つの意見を尊重&統合し、1つの新たな意見=納得解を生み出すよう試みる。

そして、納得解を踏まえた上で、さらに解を対立させ、より上の納得解を導いていく。

こうやって階段を登るように、徐々に次元を上げて解を見出していく方法が、弁証法です。

貫成人. 哲学マップ 第5章 哲学の「頂点」-近代 より


■ 思考法を知ることで、冷静に決断を進められる

意見が対立すると、つい感情的になってしまう。それは、自分の意見が否定されることで、自分の存在意義も否定されるような感覚に陥り、根底で不安を感じるからでしょう。

それも人間という動物の特性だと思います。

弁証法に限らず、先人の積み上げてきた哲学と、思考方法をフレームワークとして引き代しに入れておくことで、

様々な場面で冷静に、決断を下せるようになるかもしれません…

■ ちなみにこちらもおすすめ本…

哲学マップは本格的に哲学を勉強してみたい人の入門書としておすすめされています。その分、少し難しい表現が多い…

もっとライトに、気軽に哲学に関して学んでみたい!
そんな方には下記の書籍が大変おすすめ!

飲茶さんという方が書かれたこの2冊は、西洋・東洋哲学の有名どころを時系列に沿って、かつ、漫画「グラップラー刃牙」テイストで描かれています。笑

説明もめちゃくちゃわかりやすいので、おすすめです!

以上になります!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!


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