- 運営しているクリエイター
記事一覧
出来るだけ早く来てね
「1971番、そろそろ時間だ」
私は椅子から立ち上がった
「1971番、何か言いたいことはあるか?」
首を横に振り前を向く
本当は言いたいことは山ほどある
「では行くぞ…」
*
「出来るだけ早く来てね、宇宙船に乗るまでは毎日連絡して!」
「もちろんだよ、できるだけ早く今の仕事に目処をつけるから」
「うん!」
私より20歳以上若いのだから当たり前だが、目が細くなった笑顔は何処となく幼
そして彼は来なかった
この星での最後の食事は、ため息と共に独りの食事となった。
彼となら“宇宙の果ての先の星”でも楽しくやっていけるとおもってた。
でも彼が今日こないこともわかってた。
でも私は決めたんだ、あの星で生活するって。
「ホットコーヒーお待たせしました」
「ありがとう」
あれ?コーヒーってこんなに美味しかったかな。
この星で最後に口にした食事は、味気ない気持ちとは裏腹に想い出深
今夜旅に出ることにした
急に思いついたわけではない。前からそう思っていた。ただそれが今夜実行されるだけだ。
最低限の荷造りの用意をして、先日買ったショルダーにそれを詰め込んだ。
荷物といっても型落ちどころかジャンクショップで偶然見つけたタブレット端末とモレスキンノートに筆記用具。タブレット端末なんて今どき持っている奴なんていないだろうが、以前の所持していた野郎が純文学が好きだったのか電子書籍がそのままインスト