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勇気は「欲しい」と思うほど出てこない。ある親子が教えてくれたこと。

前回の記事で
「贈り物はコミュニケーションが生まれる時間」ということをお伝えしました。

贈り物には「願い」を込める方が
多くいらっしゃいます。

今日ご紹介するのは
「子どもの願いとともに
一歩を踏み出したお母さん」のお話です。

ある日、一件のご相談を受けました。

ご相談の内容は
「子どもの名前を使って
詩の作品を作ってほしい」
というもの。

「実は、娘からカミングアウトがあり
 男性として生きたいと言われたんです」

この時、
お子さんは10代で思春期真っただ中。

何度も話し合いを重ね、
子どもの背中を押していくことを
決めた経緯を教えてくださいました。

「いずれ名前を変えたいと希望しているんです。
 最初はそれが寂しいと感じましたが
 変えて良いと思えるようになりました。」

「ただですね、
 名前はなくなったとしても
 形に残せないかなと思ったんです…」

生まれた時、
我が子の顔を見て愛おしかったこと。
たくさんの願いを込めて考えた名前のこと。
勇気をもってカミングアウトしてくれた
子どものへの尊敬と、
一緒に頑張ろうと思ったこと。

「名前が形になるのをあの子がどう感じるかは
 分かりませんが、背中を押せるような言葉も
 一緒に贈りたいんです。

 でも…自分が一番残したいのだと思います。
 うまく言葉にできないんですが
 自分の背中を押したいのかもしれません」

電話越しの声は細く、
優しい声でした。

きっとその話が親子で出来るようになるまで
いろんな出来事があったと思います。

でも、その度に少しずつ
築いた思いがあるのだと感じました。

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名前:芽愛

ある日吹いた風が
心の中を駆け抜けた。

風は雨を呼んで
小さな勇気を「芽」ぶかせた。

雨が降るたびに、勇気は育つ。
風が吹くたびに、涙は乾く。

ありのままを
「愛」のままに抱きしめていこう。

この心が花咲く頃、
喜びの雨が虹を作る。

ほら、何色にでもなれるんだ。

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作品をお送りした後日、
親子で会いに来てくれました。

わざわざ遠くから来てくださって
本当にうれしかったです。

その時にはすでに男性としての
お名前で呼んでいました。

ご相談頂いた時の
電話越しの少し細い声と違って
親子で笑いながら
スマフォをのぞき込む姿に
「踏み出している」ということが
伝わってきました。

そして、自分の話でもし
勇気がでる人がいるなら
話してもいいと作品の紹介について
了承してくださったのです。

決断した自分、
受け入れるまでの葛藤、
それから踏み出した勇気。

話す側、受け止める側にも
どちらも勇気がいると思うのです。

でも、

極論、勇気なんていらないかもしれません。
「勇気が出ないと行動できない」
と思えば思うほど、
勇気はひっこんでしまうものです。

歩み寄りながら、
模索していくこと。

迷っていいし、戸惑ってもいい。
そのまま模索する行動が
振り返った時に「勇気」と
名付けられるだけ。

そんなことを思いました。

作品を見るたびに、
込めた願いと
あの日踏み出した勇気を
思い出しますように。

そしてこの話が、
勇気が欲しい誰かの背中を
そっと押しますように。

書芸家のさゆりでした。

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