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Kort roman

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私のそばに常にある、短編小説
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#彗星

暖

 祖父の持っていた本を燃やして、僕たちは暖を取ることにした。別に室内を温めるには暖房をつければいいし、外で暖を取るなら焚き火やどんと焼きのように火を起こせれば良いのだけれど、祖父の遺した大量の本を手放すのにこれ以上のタイミングはなかったのでまとめて燃やすことにした。秋の終わりに祖父が亡くなったので、今年は久しぶりの喪中の正月だ。その前は祖母の亡くなった時だったけれど、それは僕がまだ保育園に通ってい

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