組織はフォロワーが動かしている
TEDの中でもよく取り上げられている動画があります。デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすのか(How to start a movement)」です。2分53秒と短い動画ですが、とても印象に残る内容です。
社会運動はどうやって起こすのか(How to start a movement)
短い動画なので見てもらったほうがわかりやすいのですが、以下のような内容です。
フォロワーを意識した社内施策事例
この原理を利用して推進した社内施策があります。2017年に「Python3 エンジニア認定基礎試験」が日本で始まったのですが、その資格を1年間で50名取得することを目指しました。
取り組みを始める前に、TEDの動画も見てもらい、「フォロワーになってもらいたい」と伝えていました。
ゲーミフィケーションも取り入れて、5人で1チームをつくって競争して、上位3チームには副賞が出るということをしました。
スタートしてみると、最初の10名ぐらいはすぐに取得しますが、そこでしばらく停滞します。背景としては、参加者の中にネットワークエンジニアも多く、コーディングに心理的な抵抗がある人も多かったということもありました。
チームリーダーミーティングなどを行い、それを機に発奮して各チームリーダー全員がまもなく合格することになりました。その頃で30名程度の合格者に到達しました。
その後は、施策の主催者が特に何かを促すこともしなかったのですが、合格者が30名を超えたあたりが臨界点となり、その後は続々と合格者が増えることになり、目標を大幅に超えて78名の合格者が出ることになりました。
この取り組みと結果は、認定試験開始をしてから1年も経っていない時だったこともあり、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会にも取り上げていただいて、ニュースにもなりました。
どのようにフォロワーが増えたのか
この施策において、どのようにフォロワーが増えていったのでしょうか。
最初に合格をしてくれた10名程の人たちは、組織に実績を見せてくれたリーダーたちだったのだと思います。ただ、その人たちだけでは、組織を動かすところまではいきません。なぜなら、「合格できたのは○○さんだからだよ」と思われてしまうのです。顔ぶれを見ると、すぐに合格するだろうな、という人たちばかりでした。
重要なフォロワーになったのは、5人チームのリーダー役の人たちでした。彼らはスキルレベルが高いからその役割になっていたわけでもありませんでした。その彼らが合格したとき、組織の心理的な障壁を下げる重要な役割を果たしていたと思います。
そして、TEDの中の1人目のフォロワーは、重要な働きかけをしています。動画の34秒辺りですが、友達を誘っています。これと同じような働きをチームリーダーは自分が合格したことにより、他の4名に積極的に声をかけることをしていたようです。その結果、すぐに30名程の合格者になりました。
30名まで増えると、「合格できたのは○○さんだから」とは言えなくなってきます。この頃に臨界点を超えて、勢いよく合格者が増えていきました。
1年間で50名合格を目標にしていましたが、半年程度でその目標を達成し、最終的には大幅に上回って終わることになりました。
組織を動かしたのは誰だったのか
それでは、この施策において、誰がこの結果に貢献したのでしょうか。
30名までの合格者たちだったと思っています。
それも、大きくは3つのグループに分けられると思っています。
①最初の10名の合格者
最初に動くには、勇気が必要でもあります。
あるいは、自分のスキルに対する自信がないとできないかもしれません。
ゼロからイチをつくってくれた、重要な役割で、結果をつくった「実質的なリーダー」でもあると思います。
②チームリーダーたち
重要な役割を担った「最初のフォロワー」だったと思います。
他のメンバーたちに、どう動けばいいのかを示した人たちです。他の人に声をかけてフォロワーを増やす、という重要な役割を果たしていました。
③チームリーダーに促されてすぐに合格した人たち
組織の臨界点に達する集団を形成することに貢献しました。臨界点に達しないと勢いよく組織が動いていくことになりません。一見すると特別ではないように見えますが、特別な役割を果たしていました。
いわゆるリーダーではなくとも、ついて行く(フォロワーになる)ことが、組織を動かすことにつながる重要な働きになります。もしも、共感できる孤独な変わっている人を組織の中で見つけたら、勇気を持って、早い段階で立ち上がってついていくことが、あなたが思う組織を良い方向に動かしていくのだと思います。
この話も含め、何を考えて組織運営をしてきたかを話したことがログミーにも残っています。興味を持っていただいた方は、ぜひ読んでみてください。
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