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#19 プール冷えてます

としまえんの閉園が、8月31日に決まりました。歴史ある遊園地、としまえん。僕にとっては、広告史にのこる名作を残した遊園地という印象です。
この「プール冷えてます」はあまりにも有名ですし、エイプリルフールに発表された「史上最低の遊園地。」など
個人的には、「冷やし温水」が結構好きです。


**プールが冷えてるなんて当たり前じゃん

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まあ、プールって冷えてるものですよね。夏のレジャー施設ですし。それが普通なんだけど、わざわざ書いてしまうところに良さがある。

本来、冷えてるプールでも「冷えてます」なんて書かれてた日には、「どれくらい冷えてるの?」なんて確認しに行きたくなる。

横のペンギンのイラストも絶妙にダサい。ゆるいフォントと合わせて、思わず笑ってしまう。


**「プール冷えてます」の覚悟

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上司が「見た人が思わず豊島園のプールに行きたくなるポスターを作れよ」と言ったんです。
「そうか、広告は人を呼ぶという目的のためにあり、優秀な広告作品を作るためのものではないんだ」
                                                    by大貫卓也

コピーライターの大貫さんは、この広告を任されるにあたっての上司のアドバイスに目から鱗が落ちます。

広告の本来あるべき姿に気づく。当時の作品然として、どれだけ人を動かせるか?を度外視した広告ではだめだと。そこで、自らの作家性を捨てて決死の覚悟で作り上げたのが「プール冷えてます」。

こんなにもゆるい広告の裏側では、自分のキャリアを賭けた挑戦があったのです。

目的達成のためなら惜しみなく自分を捨てるというか、本物のアートディレクターというものになってやるんだと思いましたね。

本当にいいものをつくるため、時に自分を殺すことができるのか。何かのつくり手として、作品のために自分を捧げられるのか。

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