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2017年8月の記事一覧
プリンセス・クルセイド #3 【心の剣】 10
上空を旋回する剣目掛けて、斬撃波が襲い掛かる。
「そうはいかない!」
ミーシャが剣に向かって手をかざし、剣を垂直に上昇させた。斬撃波は標的を外れ、虚空に消えていく。
「ダメか……」
アンバーはその様子を見送ると、すぐに身を翻し、岩場から飛び降りた。振り返ると、再度軌道を変えて後を追ってきていたミーシャの剣が、旋回して戻っていくのが見えた。先程からこのように、攻撃しては隠れるといった動
プリンセス・クルセイド #3 【心の剣】 9
イキシア・グリュックス。マクスヤーデン国王女である彼女の二つ名は、太陽のプリンセス。その名の通り気高く、麗しく、そして情熱的なプリンセスである。
「……熱いですわね」
しかしそんな彼女でも、当然ながら自分自身がが熱に強いというわけではない。もしも周りを炎に囲まれていたら、滝のような汗が出てしまうだろう。そのもしもが今、現実のものになっている。
「意外と余裕がありますね」
そう口を開い
プリンセス・クルセイド #3 【心の剣】 8
「はあっ!」
アンバーは掛け声と共に岩場へと飛び乗った。体勢を立て直し、荒くなった呼吸を整えながら、辺りを見回す。
「ここって……私のチャーミング・フィールドだったんだ」
緊迫感を駆り立ててくる胸の鼓動を抑えながら、アンバーは思案するように呟いた。視界に広がるのは、見渡す限りの岩と砂、そして所々に台座のようにそびえ立つ岩場。アンバーがこの荒野を訪れるのは、これで二度目だ。一度目はジェダイ