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一日一文まとめ

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ほぼ毎日一文ずつ更新される小説『一日一文』がまとめて読めるマガジンです。
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2018年6月の記事一覧

Take Me Out to The... 第51週

 女神は照れ臭そうに頬をかいた。

「別に隠してたわけじゃないけど……やっぱり恥ずかしいね。のめり込みすぎるっていうのは」

「そこまでのめり込める結城さんの趣味って何なの?」

 透は諦めずに踏み込んだ。

「……教えてあげたら、青山君は私をそこに連れてってくれる?」

「も、もちろん!」

つづく

Take Me Out to The... 第50週

 それは、ともすれば冷淡ともとれる反応で、透は内心焦り出した。しかし、彼女の目は穏やかだった。

「なんか……私のこと色々見てたみたいだね」

「うん、まあ……気持ち悪いかな?」

「そうだね……ちょっとだけ怖いかも」

 ホットな女神は無慈悲なまでに素直だった。だが、同時に微笑んでもいる。

「でも……そうか、分かっちゃってたか……参ったなあ」

つづく

Take Me Out to The... 第49週

 透は言葉を選ぶようにして話を続けた。

「結城さんは……何て言うかいつも楽しそうにしてるから。いや、時々メチャクチャ落ち込んでたりとか、明らかに元気のない時もあるけど……そんな時でも全力で生きてるって言うか」

 話しているうちに、自分でも説明のつかない感情が沸き上がってくる。

「それが……凄く不思議って言うか……羨ましいんだ。何が結城さんをそこまでさせるかは分からないけど、俺には……そういう

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Take Me Out to The... 第48週

 確かに、先程の女神の金銭事情分析など、会話のきっかけにすぎない。だが、自分の気持ちをどこまで伝えればいいのだろうか。経験豊富な人間ならこんな時にでもうまく対処できるのだろうが、残念ながら透はそのようなタイプではなかった。では、一体どうするのか。答えは一つしかなかった。

「結城さんのこと……気になるから。何でも知りたいって思うんだ」

 すべて正直に言うしかない。

つづく