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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.44

【過去記事です】


[53枚目]●アン・ネスビー『アイム・ヒア・フォー・ユー』<パースペクティヴ>(96)

ゴスペルの爽快な迫力と、現代R&Bの軽快なリズムが融合したサウンドで話題を呼んだ、サウンズ・オブ・ブラックネス(以下SOB)。リード・シンガーの一人だった、アン・ネスビーのソロ第一作が本盤だ。SOBをブレイクさせたジャム&ルイスの仕事である。

必ずしも、打ち込みばかりではない。2曲目の「アイム・スティル・ウェアリング・ユア・ネイム」で早くも、ペリ・シスターズのゴスペルライクなコーラスを従え、余裕の歌唱を聴かせる。時々アレサを思わせるが、若干潤いが足りない感じも。そもそもこの人、全般的に聴き疲れする。極私的感想ではあるが・・・。

③「イフ・ユー・ラブ・ミー」は、メアリー・J・ブライジが似合いそう。この曲への乗り方は好き。

⑤「(ホワット・ア)・ラブリー・イブニング」⑥「アイル・ドゥ・エニシング・フォー・ユー」は、しっとりと歌い上げる。シャウトもこの程度に抑えて欲しい。アン・ネスビーは、パティ・ラベルやグラディス・ナイトに曲を書いているそうだが、その予備知識のせいか、⑥ではパティを連想した。

⑧「スリル・ミー」や⑭「アイル・ビー・ユア・エブリシング」は打ち込みだが、引き摺り気味のリズムが自然に身体を揺らす。本盤では、この辺の曲が気に入った。

⑨「ホールド・オン」は、高速スキャットが微笑ましい。スティーブ“シルク”ハーレイのプロデュース。

⑩「イン・ザ・スピリット」。リズムの刻み方は好きなのだが、シャウトを頑張り過ぎ。

⑪「ディス・ウィークエンド」。オールドソウル色濃い。シャウトの出しどころも良かった。

⑫「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」も、ちょっと感覚が違うなと思ったら“シルク”ハーレイがコ・プロデュース。12インチ向けの曲みたい(勝手な推測)。

タイトル曲⑬は、アーバンというか、ほとんどポップス的R&B。

⑮「レット・オールド・メモリーズ・ビー」⑯「ロード・ハウ・アイ・ニード・ユー」と、正統ゴスペルで締める。

順調にソロ活動を重ね、ミュージカル女優としての顔も持つアン・ネスビー。最近の活躍ぶりを詳細には把握していないが、確固たる地位は築いているようだ。 本盤に限って言えば、買っても損はない一枚。ジャム&ルイスのポイントが高い気はするが・・・。

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