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ロックンロールの常識


【過去記事です】

●チャック・ベリー『ブルース』<チェス/MCA>(03)

オリジナル録音は55年~65年。

「チャック・ベリーといえばロックンロール」は常識である。しかし、その常識を額面だけで判断すると、彼の音楽の真の魅力に気付きにくい。同時に「ロックンロール」自体の解釈も、軽快な曲調の所為もあり、薄っぺらなものに終わる。

という趣旨で編集した訳ではなかろうが、本盤のチャック・ベリーはひと際ディープだ。ブルースをプレイしているからというより、ロックンロールのルーツの一つにブルースが厳然と存在する事を作品で証明しているからではないだろうか。

「ウィー・ウィー・アワーズ」「ウォリード・ライフ・ブルース」「コンフェッシン・ザ・ブルース」等のカバー曲のレベルは想像以上に高かった。加えてオリジナルの「ハウ・ユーヴ・チェンジド」等も素晴らしい出来。有名な「ルート66」もこの流れで聴くと一段と味わい深い。

演奏陣では、ピアノのジョニー・ジョーンズと、ギターのマット・マーフィーが印象的。彼らあってのブルース世界だ。

曲のリストを見た時から、どんな風にやるのか楽しみだったのが、ラストの「セントルイス・ブルース」。W・C・ハンディがもし聴いたら、苦笑から哄笑へと表情が変わるだろう。

「チャック・ベリーといえばロックンロール」という常識は正しい。後は、ロックンロールの正しい常識を感じ取る事だ。本盤はサブ教科書として最適である。

♪"How You've Changed"

♪"Confessin' the Blues"

♪"St. Louis Blues"



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