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異端の鳥〜絶望的ロードムービーの極み〜

異端の鳥を観ました。

ほぼほぼネタバレかもしれないけども、実際に作品を観て、感じたり受ける衝撃の方が強いと思うので今回は敢えて書いちゃおうと思いました。

ユダヤ人の少年がホロコーストから逃げて彷徨い成長して行く物語なのですが
めちゃくちゃ鬱展開で成長して行きます。
過去に私はダスティン・ホフマンの小さな巨人を観てとても感銘を受けたのですが、
言わばこの作品は、小さな巨人の絶望版です。

これがモノクロで3時間近くに渡って繰り広げられるのですが、少年の行く末が気になって、
この長い時間が少しも苦になりませんでした。

暴力と攻撃とセクシャリティとカオスで綴られたこの物語は、本当に救われない。絶望感を観るものにひたすら与え続けるものとなっております。

両親を離れて叔母の家に疎開するも、叔母が亡くなり身寄りがなくなり、ユダヤ人だからか悪魔の子の罵られ暴力を受けたり、
助けてくれた使用人の家の主人がモラハラDV野郎だったり…
行く先々で一筋の光や希望が見えるものの、優しさや人の温もりを感じられるのは僅かな一瞬でそこの人達の苦悩や闇の部分を見せられ現実を叩きつけられてしまいます。

ある男は恋人が暴行死の後に自殺。
司祭に助けられるも死期が近い司祭に少年の世話を申し出た男は性的暴行を与え、老人と住む女に助けられるも、老人が亡くなった後は少年を玩具のように扱ったり…。
もうね。人間の欲望とか失意とか闇を目の当たりにしてどんどん少年の心が蝕まれていく様から目が離せませんでした。

常に少年に味方は居ない状態でもはや動物ですらも敵。
最終的には人も襲うし殺すし遂には言葉も無くしてしまいます。
絶望ロードムービー。果たして少年が報われる日々がやってくるのでしょうか……。
と、いった内容です。

私は鳥を飼う男との生活が1番平和だったように思います。

少年の、様々な人間の死や闇や裏切りを目の当たりにしながらも懸命に生きていく姿にはとても胸を打たれました。戦争らしい戦争映画ではないけども、その時代の残酷さ、現代は現代で色々な事情があるけども今の時代を幸せに生きられることの有り難さを教えられた気がしました。


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