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読了のおっさん9 トリコ(島袋光年/週刊少年ジャンプ)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。
概要的なネタバレは含みます。

トリコ
(島袋光年/週刊少年ジャンプ)
2008年〜2016年 全43巻

① タイプやテーマなど
 少年漫画、グルメ・食、バトル、料理、冒険、世界旅行、絆、鍛錬、自然、宇宙、家族愛

② 簡単な内容
 様々な食材(動植物)で溢れかえる架空の地球が舞台で、人々が未知の食材や料理の味を求めて探究する「グルメ時代」と呼ばれる時代の物語。主人公の美食屋(自然界に食材を調達しに行くハンター)「トリコ」と、料理人の「小松」、そして仲間達が様々な食材を探して各地を冒険をし、人生のフルコースメニューを完成させていく。
 大きな流れとしてのフルコースメニューの完成、食材を狙って争う敵対組織との戦い、料理人による調理パート、グルメに関わる技術の修行などの展開が続く。

③ 読みどころ

 バトルや、料理に係る駆け引きや成長、発見が面白い。また、様々な食材との出会いや、それに伴う様々な自然の脅威(海底、上空、雪原、大瀑布、危険生物の生息区域)は、なんとも言えず印象的。

 頭を使って対処する場面、体を張って食材をハントする場面、運に導かれる展開、捕獲方法や調理方法の探究、調理器具の作成など、食に関することに結びつけて、なんでもありの面白展開が続き、その発想に楽しまされる。
 
 トリコを含めた「美食屋」達。人間離れした体力と調理方法で、様々な食材を調理していく「料理人」達。そして、過去に失われた食材を現代に蘇らせる「再生屋」といった、この世界ならではの職業があり、各々のキャラクター達の役割に応じた登場や展開が全43巻の中で豊富に用意されている。どのキャラクターも非常に個性的で魅力的であった。

④  雑多な感想
 作者の島袋光年先生は、「世紀末リーダー伝たけし」など、ギャグものを多く手がけていて、本作もその類といってもいいと思う。リアルな世界とは全く違う度肝を抜く発想で描かれていて、少年漫画的なお約束としてのギャグや、思わず笑ってしまうキャラクターの動きや展開が随所にあり、純粋に「エンタメ作品」として楽しめる。

 おっさんは本作はテレビアニメから入った。ワンピースの30分前に同時放送しており、OPの「ガツガツ」や「豪食マイウェイ」の曲は今でも頭にこびりついている。例によって映像作品には賛否両論が出てしまっているが、概ね原作どおりの部分については勿論、オリジナル要素についても良かったと思う(尤も、アニメから入ったので違和感が無かっただけとも言えるが)。

 そんなテレビアニメ放送の部分までのストーリーは、比較的単純であったが、後半は新要素や、登場人物ごとのチーム分けによる食材探しのパートで、場面の入れ替わりが激しく、急いで読むと理解が追いつかない部分もあった。とはいえ、最後まで読んでいくと状況の把握が追いついてくる。一瞬迷ったとしても、中弛みはないと思うので、是非最後まで読み切って欲しいと思う。

⑤ その他
 おっさんは趣味というよりも、ライフワーク的に料理をやっているので、そういう意味でも興味が湧く作品だった。無論、世界が違いすぎるので、技術的、知識的側面では、現実の料理にはあまり参考にならない。しかし、「分け合うこと」「一緒に食事を摂ること」「美味しいものを食べて成長すること(学ぶ、強くなる)」といった人間的な欲求や感動を、本作を通じて受け取ることができると思う。おっさんは漫画選びについては教養系や歴史系に行きがちで、今回は久々に純粋なエンタメ作品の堪能であったが、これはお勧めしたい。楽しい気分になる。

 逆にエンタメであるので非常に気楽に読むことも可能である。例えば、全体を一通り読んだ状態であれば、次回適当にどの巻から読み始めても、個性的な世界観・キャラクター・展開を反芻することができると思う。

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