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デンマークビールにまつわるエッセイ

世界一飲まれているビール、ご存知ですか?

1位がベルギーの「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」、2位にオランダの「ハイネケン」、3位に中国の「華潤雪花」

たのしいお酒.jp

これらが世界のビールの半分の生産量をしめているんですって!!
まじか!!ハイネケンしかしらないわ!!

と思ったら、これらはすべて企業名でした。アンハイザー・ブッシュ・インベブは、バドワイザーやコロナビールを売っている会社なので、さすがに知ってます。

なるほどね、ベルギーたくさんビール飲んでそうだもんなーと思ったら、一人当たりのビール消費量の国別ランキングをみてみると関係ないようです。ただ美味しいビールを作っている会社のだけみたい。なにごとも、イメージでものを語るのはよくないです。ファクトフルネスッ!

KIRIN

ちなみにデンマークは27位、日本は52位でした。これはビールだけなので、なんとも言えませんけどね。「デンマークとビール」のテーマで短編エッセイを6本お送りします。好きなものだけ読んでください。

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ありがとうの次に大切な言葉

「杯(さかずき)を乾かすと書いて乾杯〜〜!」

そう言って、いつも上手に周りを飲ませているゼミの先輩がいました。すごくアホなことを、インテリ風に言っているその先輩が好きでした。

デンマーク語で乾杯は「スコール(Skål)」です。覚えておきましょう。日本にも(もしかしたら西日本だけかも)スコールっていうジュースありますよね。やっぱり、ここからきているみたいです。

由来は、古代スカンディナヴィアの戦士(多分ヴァイキング)が、戦勝の祝いとして敵の頭蓋骨で飲み物を飲んでいた。このカップを「スカル」(Skull、頭蓋骨)と呼んでいたことが「スコール(Skål)」の語源とされています。目の部分から、たくさんの酒がこぼれていたでしょうね。普通にこわいですね。

日本で言うと、武士が敵の首を取る、みたいな感じでしょうか。日本も「乾杯〜!」が「首取り〜!」だったかと思うと、普通にこわいですね。

CarlsburgとTuborg

デンマークには、世界4位のカールスバーグがあります。1847年に創業。創業者はJ.C.ヤコブセン。彼の息子カールの名前に由来しています。1875年には、世界初のビール研究所であるカールスバーグ研究所を設立し、ここでの研究成果がビールの品質向上に大きく貢献しました。

プロモーションの仕方が愛おしくて、いかにもデンマークって感じです。「Probably the best beer in the world(おそらく、世界で最高のビール)」というキャッチフレーズなんですよね。乾杯をもっとおいしく。おいしさを笑顔に。ウイスキーがお好きでしょう?全部いいんだけどさ、Probably the best beer in the worldっていう控えめなような、主張がつよいような感じがいいよね。

ちなみに最近は、あの!デンマーク出身俳優のマッツミケルセンさまが、カールスバーグのCMに起用されています。(ファンタスティックビーストで、ジョニーデップの後任としてグリンデルバルド役をしたあのイケメン)マッツミケルセンは、国を背負っていると言っても過言ではありません。

(カッコよすぎます)

でですね、そのカールスバーグに買収されたTuborgも絶対覚えてください。
1873年に創業し、1970年に吸収されます。ラインナップはそのまま残っていますが、会社は一緒。サッポロに買われたエビスのようなイメージ。

1990年からは「J-Day」というTuborgのクリスマスビールの販売イベントがありまして。(毎年11月の第1金曜日または第1金曜日に近い木曜日の夜8時59分)トラックが全国のバーにクリスマスビールを届け、バーが一斉に提供するボジョレー・ヌーボー解禁のようなお祭り。これで「ああ今年ももうクリスマスの時期か〜」ってなるらしい。デンマークの竹内まりやですね。そういう風物詩、いつまでもなくならないでほしい。

世界一好きなビール

わたしが一番好きなのはこの「Tuborg classic」というラインナップです。ひいき目ありで、世界一好きなビールです。

20そこそこで初めてデンマークに来たとき。わたしはビールが嫌いでした。日本では梅酒かワインしか飲んでいませんでした。でもこのビールをきっかけに、ビールが飲めるようになりました。ビール界の初恋です。

友達の彼氏とはじめて会ったとき、彼がビールを好きというので、わたしもデンマークのビールが好きだと伝えたら「何が好き?」と聞かれました。

満を持して「Tuborg Classic」とこたえると「わかってる。あなたが信用できる人間だとわかりました」って言われたエピソードが大好きです。9年前に、ビールは黙ってこれを飲め!とスパルタに飲ませてきた友達に感謝しました。あやうく、信用を失うところでもありしたが、このビールが好きなわたしを誇りに思っています。

9年前に留学した時には、カールスバーグは1回くらいしか飲みませんでした。それくらい国内ではTuborgが圧倒的なイメージがあります。もちろん、同じくらいカールスバーグも飲まれているんですが、一強というわけではない、そのことを忘れないでください、と偉そうに伝えておきます。

手に入りやすいビール

デンマークはコーラのペットボトルが2本で800円の国です。1本だと500円。スタバのコーヒーが1,000円。

ビールだけは1本140円で買えるんですよね。発泡酒じゃないですよ、ビールです。

そりゃビール、飲みますよね。

パックで売ってるようにみえますが、単品で買ってもオッケー。最初びっくりしましたが、このように封を切って買うのは日常。

デンマークでは、スーパーやコンビニで度数の低い(ビールやワイン)を買うには16歳、度数の強い(14度とか)お酒を買うには18歳じゃないといけないと決まりがあります。ほろよい(3度)が幅を利かせている日本では「ビールが度数が低い方」ってカウントされてるの、まじか!って感じですよね。

この年齢制限のミソは、飲酒を禁じているのではないことです。あくまでも「購入」つまり飲酒は何歳からでもいいんです。だからティーンも結構飲む。ティーンの飲酒率でいったら多分世界一飲むと言っていました。

18歳以下だったんでしょうね。一度、女の子がスーパーのレジで男の人に「お酒を買って」とお願いしている場面を見たことがあります。そのあと、日本のPaypayみたいなので送金してました。送金のために電話番号を伝えている姿をあとにして、わたしもビールを買って外に出ました。

これがヴァイキング

わたしは本当に、一晩で1ダース+α飲んでしまうデンマーク人の飲みっぷりが好きです。スロバキアの子が「うちの国では、酒豪をデンマーク人って呼ぶのよ」って言っていたくらい。まあ飲む。

デンマーク語でビールはølというので、Olympicとかけて「ølympic」なんてイベントを友達同士で開催していて、いろんな種目で戦うんですよ。種目なんてかっこよくいっていますが、全部飲むだけのゲームです。愛おしすぎますよね。

ビールを買うために、ビールを飲む

ビール缶・瓶にはPantと呼ばれるデポジット制度があります。リサイクルを促進するしくみで、こんな感じのマーク。このマークのついたものを、集めるとお金が戻ってくるというわけです。

しかもこれが、かなり気前よく戻ってくるんです。140〜200円で買って、20円戻ってくるみたいな。20円って大きくないですか?(1DKKは現在、22円)PantA・PantB・PantCの3種類あります。

Pant A = 1DKK (1リットル未満のガラスボトルとアルミ缶)
Pant B = 1.5DKK (1リットル未満のプラスチックボトル)
Pant C = 3DKK (1~20リットルのすべてのボトルと缶)

お金を得る方法は、スーパーとかにある専用の機械に通すこと。するとレシートみたいなのが出てきて、それを見せるとお会計で値引きしてくれるしくみ。(わたしが知らないだけで、コインが返ってくる場所もあるかも)

7本飲んだら1本飲める、どんな宝くじよりレートがよいですね。

この日は壊れてた

結構な額になるので、これを探してゴミ箱を漁るホームレスもいます。友達は「ここに置いておくことで誰かの生計につながるから、社会貢献なんだよ」とえらそうにビール缶をポイ捨てをしてました。デンマークにだって、ホームレスやポイ捨てするひとは、います。

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エッセイと言いつつ、ちゃんとした情報もあったなあと感心しております。

そうそう、日本にもあるクラフトビールのお店Mikkelerもデンマーク発祥なんです。ぜひ、日本在住の方は手始めにカールスバーグまたはMikkelerをお試しくださいませ。


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