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読書感想文〜聖書のなかの女性たち〜

聖書を読んだことはありますか?
私は最初から最後まで
通しで読めた事はありません

辞書を「あ」から読むのと
同じハードルを感じるのは
フォルムのせいかもしれない
とにかく世界で1番売れている書物であり
ベストセラー作品であることは
間違いないので
読書家を名乗るなら
1度は読むべき作品なのです

とはいえ
なかなか手に取るには
難しいかと思います
そんな時に
こんな聖書入門編はいかがでしょうか

遠藤周作 「聖書のなかの女性たち」

<あらすじ>

血にぬられたキリストの顔を布で拭ったヴェロニカ、マグタラのマリア、大司祭長カヤパの女中、ヨハネの首を得たサロメ、良妻賢母型のマルタ、ローマ総監ピラトの妻など。聖書のなかから11人の女性を選び、『苦しみの連帯感』ともいうべき人間論を展開。遠藤文学の基調音を奏でた、感動を呼ぶエッセイ

と、文庫裏表紙に書いてありますが
感動を呼ぶかどうかはちょっと疑問ですが
『聖書』とはこのような作品ですよ
という小説家ならではのアプローチは
読んでいてとても勉強になります

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私はこの作品を読むのは2回目でした
いよいよ付箋がこんな事になりました

遠藤先生自ら
『聖書入門編』と言っている割には
遠藤先生のナイツばりのギャグなのか
文中でたびたび見かける
読者へのこんな問いかけ方↓

『キリストがこのナザレからベトレヘムに至る旅の途中に生まれたことは今さらみなさんにご説明するまでもありませんが・・』
『それはみなさまもご存知のあのシーザの思い出が人々の胸に未だに深い印象を残していた時代です』

いやいや、知らねええええ!
と思わず突っ込まずにはいられません
基礎知識!高井戸!
その情報が、常識もしくは一般教養のように
『皆さんご存知の!あの浅草の大師匠!』
みたいなナイツのノリで書かれています
最初は当時の日本人の教養として
普通だったのかなと思いましたが
いやいや、遠藤先生のギャグだなと
今回は思いました

この作品で遠藤先生は
『聖母マリア』と『イヴ』を対比して
書かれています
全ての女性は
「マリア」でもあり「イヴ」でもある
人間は弱いものであるということを
聖書のなかで女性を通して伝えています

最後に、遠藤先生の女性観が滲み出ている
文章を紹介したいのです。
このような言葉は男性から言われると
尚更、女性は報われるのだと思うのです
この言葉で救われる女性は多いと思います
少なくともわたしは。

彼女は我々と同じ弱い女性にすぎなかった。だが彼女は最も高い試練を受け入れたのです。ここにすべての女性の象徴であるマリアの特性のひとつがあるように僕には思われます。女性の高貴さには彼女たちがこの人生や運命をそのまま受容する、あの不思議な力がひそんでいる。彼女たちは男とちがって、子供の運命も愛する男の運命も受け入れます。男はその点、自分一人の運命しか背負おうとしません。だが、女性は自分だけではなく自分の夫と子供の運命まで肩に担うのが常です。

脱線しますが
「フェミニスト」って男性への言葉よね
女性が自らフェミニストを名乗る違和感って
この辺りな気がしますが
デリケートな話なので
ぼんやり考察したいと思います

遠藤周作の聖書入門編
聖書にご興味あるかたには
おすすめです




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